阿曽原温泉小屋

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「武士は食わねど高楊枝」・・・違いますから!

2020-05-23

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「のんびり感」溢れる阿曽原小屋?

ありがたいことに、方々から「阿曽原」を心配してくださっている声が届いております。

阿曽原温泉小屋は夏場は営業いたしません! と聞いて、ブッチャケ「収入が無くなるから大変だろう」と心配されての事だと思います。

我々は4半世紀余の間に、水害・落石・大雪等の災害で全く営業出来ない&ほとんど営業にならないシーズンを何度も経験して来ました。 たまたまラッキーな?廻り合わせで仕事が入ったり、その都度自分達が出来る仕事をこなして乗り越えてまいりました。

黒部という特別厳しい環境の中での経営なので、事案が有るのが当たり前で臨機応変対処してゆくのは遭難現場と同じというか、見方を変えて~考え方を変えて~知恵を出してその場を乗り切るしかない!って、考えるようにすればいいのかな~って。(当たり前・普通、なんてことは黒部には無いし「想定外」って逃げてはいけないのです)

今回のウイルス騒動では、小屋建て・食材等の仕入れ前でしたので前回までの様に支払いに困ることがないのが不幸中の幸いですし、そもそも経営規模の小さな個人経営の小屋ですので、従業員を沢山抱えている訳でもないので、大変は大変なんですが頑張れば凌げると思っております。(大規模経営の、桁違いの苦労は想像しただけで・・・)

確かに様々な事情で、一生懸命頑張っているけど「苦境に陥っている山小屋」も有るはずです。 そんな山小屋には、個人的な応援や クラウドファンディング 等で御支援を戴ければ大変有難い事ですし、暖かい御支援は必ず山好きな方々にいろんな形で還って来るものと考えます。

阿曽原温泉小屋は、現在まで関係者の「遭難」「闘病」等の支援を全国の方々に募って実際に助けられて参りました。 皆様の温かい気持ちは身に染みているつもりですので、今のところは気持ちだけありがたく受け止めさせて頂きますので、どうか御気遣いはなさららぬ様にお願いいたします。

イヨイヨとなれば(汗)お願いするかもしれませんが、今はまだ頑張れまーす!

やっぱり神様の掌の上?Ⅺ(持って生まれたもの?)

2020-05-22

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人喰い岩直下の祖母谷川(渡渉は厳しいのです)

続き。

砂防堰堤を超えて下流左岸の藪斜面を高巻きするには、かなりの登り返してからトラバースしなければならないし、最後に川に降りる辺りが高い崖斜面の直下に激流が見えて・・・その先はカーブしていて見通せません。(下流に向かえば枝沢が合流して水量も増えるはず)

見えないところに突っ込むくらいなら、「遡って渡渉すれば」と観察してみます。上流側から対岸の下流に向けて、流れに逆らわずに流されるように向かうのが基本ですが、急流の底にある川床の様子を「水流の泡立ち」「うねり方」等で予想してルートを見つけねばなりません。

(ちなみに私が小学生の頃は学校にはプールが無く、夏休みには黒部川の河原に町役場?がブルドーザーで大きなプール?池?を作ってくれて、そこに水を引き込んで「流れるプール」で泳いで潜って魚突いて育ったので水の怖さは知っているつもり)

私や大仏の体格ならば行けそうなルートを見つけたのですが、S君は小柄で体重も軽く決定的に不利なことに腰から下の寸法が・・・想像してください?私たちが股下水深でも、彼は水流・・・軽めの体重で水の抵抗が大きくなれば当然流されるリスクは大きくなるのです。(さすが「外さない男」、こんなところでも魅せてくるのです)

シャーないので、私とS君二人で肩を組んで流れの中に入って行って渡渉することに、水流の強さもそうですが見込みより深く、なにより冷たさが厳しくて「ヒーヒー」叫びながら慎重だけど慌てながら?渡り切ることが出来たのでした。

(女性には判らないと思いますが?冷たくて「縮み上がる」を通り越して「縮んでカチカチに固まる」感じで・・・人体の不思議?)

次回は、反省点を挙げてみようかと・・・。

やっぱり神様の掌の上?Ⅹ(想像力!)

2020-05-21

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旭~白馬~白馬鑓(中央白い山)~天狗の頭~大下り! 仙人池より

続き~。

藪を突破した場所は、河原からは20mほど高さで数年前に崩壊して「山ウド」が生えている急斜面の縁でした。

そのまま降るには危険なので、斜面に正対しながら「山ウド」を掴みながら(もったいないけど、次の人間が掴める様に折らずに!)足場を探りながら慎重に下って一安心です。

早速に渡渉出来そうな場所を探します。 下流側の砂防堰堤に近づけば、水流の幅は5m余りで水深も深いところで膝上位なのですが・・・とにかく水の勢いが強く、もしもバランスを崩したら止まれそうにありません。

砂防堰堤の上は、コンクリートがほぼ水平に幅1m余りで対岸まで続いていて水流も更に幅が広いのですが、高さが10数mもあって見下ろすと堰堤のコンクリートは平らで薄茶色いコケが生えている様に見えて滑れば即落下です。

私や大仏クラスの体格でも迷うのですから、私達よりサイズが少し小さめのS君なので、とても堰堤上を歩いて渡れるとはおもえません。

(「ニャンコ先生」ならば、落下しても無事着地出来そうだけど・・・「いなかっぺ大将」 の、受け身の上手い柔道の先生って?ちなみに、柔道部の顧問は「黒部先生」なのです。ヨイ子の皆は、知らんかな?)

想像してください、キンキンに冷えた雪解けの激流もろとも10数mダイブして、直下のコンクリートの基礎スラブに激突すれば全身骨折して脳天カチ割れて、激流に押えられて流木に引っかかるか?深みに沈んだまま浮き上がれずに?おまけに回収しに来る救助隊員の迷惑を想像すると・・・「僕には行けません!」ってことになります。

ダメ元で上流の様子を見に行くと、やはり川幅は狭く水量・水勢とも多く強いのですが、流れのウネリ・泡立ち・透明感等を観察して対岸までなんとか渡渉できる場所がないか探ります。

終わらんかったから、まだ続く。

やっぱり神様の掌の上?Ⅸ(チャレンジ終了?)

2020-05-20

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コゴミ以外、まだ何も生えていません!山菜によって収穫時期が違います。

続き~。

迫って来た対岸斜面までの距離を見れば、祖母谷川まではもう一息なのが分かります。

藪が薄く日当たりのよい「山ウド」畑を後に傾斜が緩い藪を掻き分けてゆくと、今迄に見たことが無い「極太コゴミ」が生えている薄暗い平地に出ました。

「ジュラ紀の草食竜がくわえている様な!」までとは言いませんが、私の指位の太さ・膝下位まで長く伸びて・なのに先端が開かずに頭が丸まったままで・・・試しに摘んでみると柔らかく簡単に折れます!

「こんなの見たこと無い、スゲー」とウヒャウヒャ騒いでいたのですが収穫していて遅くなると・・・流石にこの先に何が出て来るのか分からないし、クマの気配の濃さから早く離脱せねばと先を急ぎます。

藪を少し進むと・・・いきなり足元が切れ落ちて、赤っぽくツルツルした岩壁が両岸ともに上流から下流に向けて見える範囲全てに続います。 地形図の表記通り、ゴルジュ帯の真ん中に到着したのです。

奥山だし、もしかしたら残雪でスノーブリッジが掛かっているかも・・・?って淡い期待を持っていたのですが、雪のかけらもないどころかゴーゴーと水流は早く激しく泡立っています。 

岩壁を降りようものなら、ツルツルに磨かれた岩は水で濡れて川床に立つどころか水量が多くてそのまま流されるしかないでしょう。 (昔の「猿飛峡」みたいな)

コゴミなんぞに浮かれている場合ではありません、ゴルジュ帯の上辺の藪を下流に向かって進むのですが、下降するのと違って横移動は川に向かってなびいている藪をかわしながら進むので結構難儀でペースも上がらず、ずーっと続いている藪漕ぎに流石に体力を消耗するばかりなのでした。

ヘロヘロになって進むと谷が広がり、藪が薄くなって崩壊斜面の上に出たのでした。祖母谷川は、広い河原になって流れも広くなっており下流には砂防堰堤が見えて、今回も濃かった「中背尾根チャレンジ」も無事帰還できたと思えたのですが・・・。

もう少し続く~!

群発地震について。

2020-05-20

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虹の彼方に・・・いい事あるはず。

岐阜・長野県境で発生している、群発地震について心配しておられる方もおられるかと思います。

富山県内では最大震度2が観測されていますが、今のところ黒部峡谷方面については影響は出ていません。

○トロッコ列車終着の欅平では、若干揺れた??くらいで震度は観測されておらず、作業用列車も通常運行しているそうです。

○阿曽原の上流の「仙人谷ダム」では、昨日は体に感じる揺れが2・3回有りましたが、落石や雪崩などの報告は今のところ無いとのことです。(誰も歩きに行けてないのですが)

とのことですので、今のところ黒部エリアに関しましては大丈夫ではないかと。

※参考

東日本大震災の半年後に、黒部ダム周辺で発生した群発地震では、仙人谷ダムを境にして黒部ダム側は揺れが強く、十字峡上流で地滑りが発生して登山道ごと斜面一区間が無くなってしまう被害が有りましたが、下流側になる欅平方面は明らかに揺れが弱く被害は皆無でした。

(地表近くにマグマ溜まり〔高熱隧道〕が有ると、緩衝材になって揺れが伝わりにくい?)

更に今から20年ほど前ですが、同じような震源で夏場に地震が続いた事が有りました。

その時は、北アルプス南部の登山道が被害を受けて関係者の方々が修復に苦労なされたと聞いています。黒部エリアでは、雲切新道になる前で「阿曽原峠~仙人温泉間」の登山道が一度だけ落石で損傷を受けて迂回路を作った記憶がありますが、距離が離れているからなのか?それほど大きな影響は有りませんでした。

(後に新道を何処に作るかの調査で、尾根全体が不安定な岩の積み重なりという事が確認されて、仙人谷の対岸尾根に作ることに決めたのです)

コロナ共々、早期終息を願うばかりです。

写真は、昨日の夕方は荒天だったのですが一時だけ陽が射して濃い色の虹が出てくれました。

やっぱり神様の掌の上?Ⅷ(お気楽な三人)

2020-05-19

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新芽を誰かが食い千切って・・・太く瑞々しい茎が土の中に見えています。

続き・・・。

主稜線に戻った我々は、すぐ先の1,715mピークまで様子を見に行くことに。

ゼンゼン藪も薄くて楽勝、地形図 を読むとピークから北西に下って祖母谷川に伸びろ稜線が・・・距離も短く等高線の間隔が広く、同程度の藪の濃さでも随分歩き易すそうに思えます。

谷筋はゴルジュ帯(切り立った大きな岩壁にはさまれた狭い谷)の表記が続くのですが、最奥の砂防堰堤まで行ければ工事現場だったんだから「何とかなるんじゃね!」・・・何の根拠もない淡い期待がムクムクと。 

更には、対岸に工事用の道路(廃道)が来ているので、祖母谷温泉小屋まで道路を歩いて行けそうなのです。

なんて魅力的なルートでしょう! 「こんなに楽チンそうなのに行かない手は無いやろう」って、若く・体力充実・自信過剰で・・・結果として「山を舐めてた」「思慮の浅い」「お気楽な」三人は何の危機感も持たず祖母谷川に向かって下降始めたのでした。

藪斜面だけど傾斜が緩いので、ドンドン高度を下げることが出来ます。一気に500m余り下った辺りで一段と緩い砂礫斜面で藪が少ない場所に出ました。

「スゲーッ!」その場所はそこら中に、太くて・葉っぱが伸び切らず・茎が斜面に埋まっていて柔らかい見事な「山ウド」がワンサカ生えていたのです。

あまりの見事さに見とれていたのですが・・・先に誰か来てたの???折れたまま泥斜面に転がっている山ウドが??? その横に生えていた「太いアザミ」が無くなっていて、泥の中に引き千切られた茎が残されています! その近くには、泥に残された「足跡」と暗緑色の「フン」が!(山菜が豊富な時期は、たぶんフンの色が暗緑色に?)

そうです、紛れもないクマのモノ!ましてや「フン」は、瑞々しい?というか形も崩れておらず湯気が上がっているがごとく、足跡・フンともに大きいところを見れば相当な大物に間違なく直前までここで食事していたのでしょう。

周りを見渡しますが、クマの姿は見当たらず一安心ですが・・・それにしても「アザミ」も美味しいけれど「山ウド」だって人間様にしてみれば大喜びなのに、クマは足で踏みつけてゆくのだと知らされたのでした。

(「アザミ」を湯がいたり塩漬けを戻すと、黒くなるのは・・・「ミネラル」豊富なのかも???それともクマの好き嫌い?)

そんなことに感心している場合ではありません!早くこの場を離脱しなければ・・・幸いなことにクマの足跡は、我々が向かう方向と逆の上流側に向かっており、ホイッスル吹いたり大声出したりしながら先を急いだのでした。

続く~っ!

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