阿曽原温泉小屋

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ありがとうございます!

2020-06-29

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自粛前に行った時に出してもらった「ブリの煮物」

金曜日に壮行会?で、富山市内の「えび寿し」さんで集まったと書きましたが、店に入るなり大将が

「この前、阿曽原のホームページ見て食べに来てくれた人が!ありがとうございます」

って言われて・・・。

そういえば先日、白馬村の「おばんざい&かふぇ ごま」の事を書いた時にも、ゴマちゃんから「阿曽原のホームページ見て来てくれたお客さんが!ありがとうございます」ってメールが来ていました。

お世話になっているお店を紹介しただけなのですが、本当にありがたい話です。

って言うか、先日も激励のお手紙をいただいたりしていて・・・「適当なこと書けねーっ」って改めて心に刻んだ次第です!

お店に出向いてくださった方々、普段から読んでいただいている方々、こちらを向いていてくださる方がいらっしゃるってことは励みになりますし、これからもガンバらねばと感じている次第です。

皆様、ありがとうございます!(呪文返し???)

雪渓歩きの落とし穴!Ⅱ(ポイントでは、地図と周りをよく見て)

2020-06-29

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仙人谷最上部から雲海に浮かぶ「坊主山」(右奥の山並みは白馬方面)

続き。

行動の概略は、仙人温泉を過ぎてから~ルートを間違えて~藪稜線に出て~藪稜線を歩いてビバーク~一名が尾根から下って~仙人温泉下部の枝沢を下山!

仙人温泉から仙人池に向かって登山道を2・30分登ったポイントに、 仙人山~坊主山 の稜線から仙人谷本谷に合流する枝沢があります。(合流点には滝があって、映画になった漫画「岳」の第一話の救助現場になった滝では???)

雪渓が融ければ登山道が出て本流沿いに仙人池に向かうのですが、この時期は残雪が多くて合流点は雪渓の二股になっており(下から登るとY字に)、雪で埋まっているとパッと見では右側からの枝沢の方が広く見えるのですが、二股で周りを観察してもらえれば幅10m位の枝沢を渡った対岸に登山道が見えているはずなのですが・・・。

二人は間違って枝沢を登り詰めてしまい、「2,143mピーク」付近の稜線に出て~藪尾根(猛烈な)を彷徨い~「2,051mピーク」辺りでビバーク~一名が仙人谷に向かって下降して私と合流! みたいな流れでした。

(写真左側の三角が「坊主山」、手前の雲海の中に仙人谷と迷い込んだ枝沢が隠れています。急斜面と藪の濃さが分かるかと)

という事で、同行の男性は稜線の藪の中で助けを待っているので、遭難対策無線で状況を小屋と警備隊に連絡しますが・・・既に正午を回っていて、ヘリコプターでの「ピックアップ」又は「隊員投入」して連れ戻るかしなければなりません。(地形図を見れば、稜線が切り立つほどではないにしろ何処も急斜面なのが読み取れるかと)

遭難者の待つ稜線は藪が濃く、更には夏山は午後からガス(雲)が湧くのが当たり前なので、 そもそもフライト出来るのか? 発見できても藪が邪魔して、ヘリコプターでアプローチできるのか? 水の無い稜線のビバークで、消耗しているはずだから早く収容しなければ!

等々の問題が・・・救助隊員の現場到着が遅くなって暗くなれば、藪尾根の捜索は無謀なので救助活動は明日になってしまう。

ちゅう事で藪で動けて現場の一番近くにいる私が、今から行動すれば遭難者と今日中に合流出来る可能性が高いとの判断で、一人で枝沢を登って遭難者の捜索に向かうことにしたのでした。

続く。  

いい仕事!

2020-06-28

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「S]ちゃん製の蜂蜜!

ドキュメンタリー番組「沈黙の山」のカメラマン「O」君が新しい仕事にチャレンジすることになり、おなじみ「えび寿し」さんで控えめな激励会?が開催されて美味しい料理で飲んで来ました。

(そういえば、コロナ騒ぎで自粛になる最後の飲み会も「えび寿し」でした)

大学山岳部出身(大仏の後輩)の彼は、優しく控えめな男ですが番組制作の際には山の経験をいかんなく発揮して「いい仕事」してくれたのですが・・・本人が決めたこと、これからも「いい仕事」してくれることでしょう。

激励会参加者の中に、阿曽原小屋の元バイトで今でも時々手伝ってくれている賄い女子の「S]ちゃんが来ていて「最近、ミツバチの箱を用意して呉羽山とかで養蜂している」って言って、蜂蜜の瓶詰を分けてもらいました。

(翌朝泊めてもらったエーショウの家で、流行りの生食パンのトーストに垂らして食べたら二日酔いでも美味しいのがよくわかりました)

「O」君も「S」ちゃんも、それぞれ「いい仕事」して来たし、これからも頑張っていってくれるでしょう。

阿曽原小屋の朝は、出来る限り宿泊していただいた方々が出発する際に玄関で見送る様にしています。

靴紐の縛り方やスパッツの付け間違いのチェツク・登山靴履いてからの忘れ物を取りに行ってあげたり・登山道の注意点や説明等々の為なのですが、ほとんどの方が出発される際に「ありがとう」って言って出て行かれます。

お客さんたちは始めて来る方・リピーターそれぞれですが、休み潰して・汗かいて・怖い道歩いて・お金使って・オンボロ小屋に泊まってくれて・・・それなのに「ありがとう」なのです。

お客さんの「ありがとう」は魔法の呪文のごとく???その一言が「次も頑張ろう!」に繋がるから毎朝玄関に顔を出しに行くの自分がいるのだと。(時々、朝カレーを食べ食べ出て行く御無礼をお許しください)

人間は食べて(食べさせて)ゆかねばならないし、仕事すればお金のやり取りは付いて回るのが当たり前の事だし「キレイごと」言うつもりは全く有りませんが、そんな中でも他人様から「ありがとう」って言ってもらえるのが「いい仕事」なのだとおもうのですが・・・!

みんなそれぞれ、プライドを持って「いい仕事」をしていらっしゃるとは思うのですが、山小屋はダイレクトに毎朝「ありがとう」って呪文を掛けられながら食べて行けるので、特別「いい仕事」なのだと密かに思っているのですが???

雪渓歩きの落とし穴!Ⅰ(気付いた時には・・・)

2020-06-28

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仙人谷上部! 仙人温泉~仙人池間の雪渓から白馬方面

雲切新道が出来る前の仙人谷沿いの登山道は、枝沢を通過していましたが年によっては10月まで雪渓が残ることもあります。(2019/08/02付「スピード命」参照)

8月初旬に、雪渓が消えた斜面から次々と伸びる登山道の雑草を刈りに仙人温泉下部の枝沢の雪渓まで行った時の事です。

(リンク地図の「仙人温泉小屋」表記の「人」が印字されているポイントの沢で、現在は登山道マークが外されています。ちなみに、もう一つ阿曽原側の沢が「スピード命」の現場の沢です)

沢の前後の草刈りを済ませえて、仙人谷本谷まで下りて本谷の雪渓の状態を確認して登山道に戻ろうと振り返ったら・・・枝沢上部の急斜面の雪渓を下ってくる人間が見えました。

「エーッ!」あんな場所に行く理由が分かりません? 「オーイ!」とコールすると手を振って応えてくれますが、あまりの急斜面で恐る恐る硬い雪渓を下るのにイッパイイッパイの様で時間が掛かってしまいます。

よーく見ると、見覚えがあるような?? 二日ほど前に、阿曽原のキャンプ場に泊まっていた六十歳代の男性で、同じ日に単独小屋泊の同年代の男性と仲良くなって食堂で盛り上がっていた人ではないですか。

降りて来た男性と話してみると、

「一昨日、仲良くなった男性と一緒に仙人池に向かって登ったけれど、仙人温泉を出てからどこで間違えたか???沢を詰めて登った稜線は猛烈な藪尾根で踏み跡すらなかった。」

「引き返そうにも雪渓が急すぎて恐ろしくて下る気になれず、藪の稜線を進んだところでビバークした。」

「元気な自分が、意を決して下って来たら雪渓に出て下って来た。」とのことでした。

続く。

まさかの・・・?(難しくないのですが・・・)

2020-06-26

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十字峡!(吊り橋直下「剣沢の釜」水が冷たそうです)

続き。

この方も登山道に戻るチャンスが何度もあったはずですが、結果として間違った斜面を登り詰めてしまいました。

○入山する前にコースの概念を覚えておくこと! 仙人谷の雪渓が利用出来る時は、どんどん利用すれば良いのですが登山道に戻るポイントを見逃す致命的なミスを。普段から、休憩ごとに風景を見るはずです「向かいの尾根は何処に続く?」「あの山の名前は?」等、特に初めて入る山では地形図を広げてみるのは大切なことです。 (チョイチョイ周りを見ながら歩けばよいだけ。「雪渓歩きの落とし穴」やっぱり登山道は尾根に付けるのが王道です!)

○登山道が無くなって、更には藪・急斜面に疑いを持たなかったのか?(おかしい?と思ったら、振り返るだけで見えたはず)

○尾根に出てから、道路が見えたからと言って急な谷を下ってしまう。(行方不明者にありがちですが、どうせ戻るのならば登って来たコースを下っていれば)

○黒部川の流れを見て、「泳いで渡る」以外の選択肢に考えが及ばなかったのか?

等々、どれも難しい話ではないのですが・・・。

このような道迷い?(道じゃないけど)は、先にも書いてきましたが時々発生しているのです。

他にも、とある大学生パーティーが剣沢雪渓を剣沢キャンプ場に向けて登っていたらしいのですが、なぜか長次郎雪渓を登り続けてしまい。(ガスで視界が悪かったって言ってたけど・・・途中で気付けよ!)

「熊の岩」まで登ったところで、そこより上部の急斜面を登るにも下るにも彼等には技術・装備がなく・・・近くを通りかかった登山者に助けを求めて我々に連絡が入り、現場に赴きザイルで数珠つなぎにして下ろしてきたことが有ります。

見れば分かるはず? 途中で解らなかったの? あり得ない間違いと思われるかもしれませんが、実際に突っ込んで行く人がいて遭難に繋がる事例が沢山あるのです。

先に挙げたことは難しい事ではありません!

山を安全に楽しんでもらうには、大切なことだし「なぜ?」「どこ?」とかを考えながら歩いてもらえれば、もっと山が楽しくなるはずだと思うのですが。

まさかの・・・?(見れば分かるはずなのに)

2020-06-25

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東谷吊り橋下の本流(事件当時は、この何倍もの流れが!)

続き。

後の漂着者は、遥か下方の道路を見て右俣を下降すると決めて下り始めたそうです。

尾根からの下りだしは急斜面の藪だったであろうし、途中には岩盤の壁もあったはずで、当然ですが何処かで手・足が滑れば転落です。

谷底に降りても、右股は側壁が崩壊しており落石が間無しに発生しているであろうことは想像できるし、水流は左俣との合流位までは落石で埋まって隠されていますが、溜まった岩は不安定で足を捻って動けなくなれば通り掛かる者も目も向ける者もいない右股ですから結果は・・・。

ラッキーというか本流まで下りきったのですが、対岸に自動車道路は見えても黒部川の本流は梅雨明け直後で水量は多く勢いも強く、ましてや山に雪渓を沢山抱えている時期なので全身を冷水で濡らしてしまうと直ぐに冷たさで身体の自由が奪われてしまいます。

(子供の頃、ゴールデンウイークに友達と黒部川へ泳ぎに行って死ぬほど凍えた経験がある私なのでよく解ります)

その水流を見れば、その場所で川を渡るのは無理だと判断がつきそうなもので、少し下流に藪を漕いで下って流れの浅い・弱い場所を探すなりすれば良いモノを・・・遭難すると正常な判断が出来なくなってしまうのでしょう。

その人はザックを浮き輪代わりに前に抱えて、そのまま黒部川を泳いで渡ろうとしたらしいのですが・・・。

激流に流されて~冷たい水に体温を奪われ~身体の自由が利かなくなり~必死でザックにしがみついたまま流され続け~1キロ足らず下流のダム湖まで漂着したのでした。

その頃には泳ぐ力も残っておらず、取水口に向かって漂っているのをダム勤務員が見つけて「とび口」で岸まで引き寄せて助けたとのことでした。

続く!

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