阿曽原温泉小屋

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動き出します!(御理解・御協力のほど御願い致します)

2024-07-13

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「北アルプストレイルプログラム」の概要説明(詳細はQRコード・リンクから)

「北アルプストレイルプログラム」 が動き出します。

持続可能な登山道維持の実現を目指し、利用者や地域関係者とともに登山道維持に協力できる枠組みを検討を進める取り組みです。

我々山小屋の仕事は「山を楽しんで無事に帰って頂くためのサポート」です。

そのためには、何が出来るのか? 何をしなければならないのか? 当ページでは、登山道整備・山岳遭難の現状等もお伝えしてきました。

しかし今まで通りの管理・整備方法のままでは、立ち行かなくなり結果として登山道が荒れれば、遭難事故が増える・環境保全に支障を来す等の問題が発生してしまうのではないかと危機感を抱いておりました。

富士山の山梨県側でも「入山料システム」が導入されましたが、いよいよ北アルプスの富山県側でも「北アルプス富山側登山道等維持連絡協議会」を立ち上げて試験的ですが取り組みが始まることになりました。

本来ならば阿曽原温泉小屋にも「協力金収集箱」を設置する予定でしたが、今シーズンは御存じのとおり営業出来ませんので 他の方法 で募金協力並びに アンケート に御協力頂ければ幸いです。

感動を発見するために旅するのでは?

2024-07-10

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手前下部に名剣温泉(崩壊面は旅館よりかなり下流ですので御安心を)

名剣温泉下流右岸側の崩壊面の写真です。

二月に欅平の除雪に入った時点で確認されていましたが、地震によって崩壊したものと推察されます。

下部3/4までは灌木がポツポツ残っているので区別がつくと思いますが、崩壊面上部は灌木が見当たらないのは今回新たに崩れたから?

祖母谷川を堰き止めるほどの規模ではありませんでしたが、相当量の崩落土砂が有ったものと思われます。(下流に押し流されて黒部川扇状地の元になり含まれるミネラルは栄養豊かな海に)

以前地質学者さんから「小黒部谷~猿飛峡~祖母谷温泉~祖父谷~唐松岳に向けて活断層があるのではないか?」と聞かされたことがありますが、現場を見て検証してみて「なるほど」って思わされることが何度もあります。

険しい地形は、長い年月をかけて風化・崩壊を繰り返しながら優しい山容になってゆくのだから激しい変化も仕方ないのですが、その険しさ・荒々しさが有るからこその感動させられる黒部峡谷なはずです。

更には、百年前から現在まで電源開発で宇奈月温泉から上流に向けて「切り開き」「整備して」「維持管理」してきた人間の凄さも黒部の見どころというか感動ポイントになると考えます。

トロッコ列車が一刻も早く復旧して、多くの方々に黒部へ来て頂き「ダイナミックな黒部峡谷」と「頑張って来た人間」を体感して感動して頂きたいと切に願うものです。

当たり前じゃないのが当たり前??(ベタベタ祭り)

2024-07-09

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途中の沢も大暴れしてました。

先ページの続き

祖母谷温泉に荷物を運びこんで遅い昼弁当を食べ始めたら・・・小屋主のトシ君が「温泉は来てるけど水が来ていない」って暗い顔して呟きます。 半月前に下見に来た時にはガバガバ水場から送られていたそうですが、水が無い事には源泉が熱くて温泉に入れないし食事も作れません。

目の前の祖母谷川には濁り水がゴーゴー流れていますが・・どう見ても食事には使えそうにないし、欅平側に戻った場所に湧き水は有るにはありますが16人分の食事を作る大量の水を取りに行くわけにもゆかず・・。

レトルト等で準備してあるわけではなく、大量の生肉系メニューだし、なにより酷暑の中脱水症状で降りて来るメンバーが喜ぶだろうと大仏の実家から送っていただいた「三輪そうめん」を作るには大量の水が必要です。

トシ君が水場の様子を見て来てくれることになりましたが、サポートに救助隊の事務局の市役所職員がついて行きました。

私と残ったものは、新品の発電機にエンジンオイルを入れたり使われていなかった部屋の掃除したりしていたのですが、カンカン照りだった空が??薄雲が広がり出したかと思ったら見る見る黒い雲に入れ替わりザーザー・ゴーゴーと強い雨が降り出して祖母谷川は一気に茶色の濁流と化してしまいました。

水場の様子を見に行ったメンバーは強雨なんて考えてもいなかっただろうし、そもそも祖父谷対岸までだし雨合羽など持って行かなかったはずです。

しばらくしてトシ君達はずぶ濡れになって次々帰って来たのですが、配管の途中で塩ビ100㍉パイプが落石で粉々になっていたそうで、補修材料を取りに来て再度向かってゆきましたが、雨は降り続いていているのですが「今更着替えても」ってことで全身に衣服がベッタリと濡れて張り付き長靴を逆さまにすればジヤーって水が流れ出すのですが・・そのまま作業に戻って行きました。

相前後してパトロール隊も次々と下山してきましたが、「もう少しで降り出されたから」ってことでレインウエアーを着ている者はおらずベタベタ人間が玄関に溢れてしまいました。

当たり前ですが普段下界で生活していると、スイッチ一つで明かりが灯りエアコンで快適になり蛇口をひねればキレイな水が出るのですが・・・今更ながら「俺達の稼業は、沢の暴れ方然り!エライところでやってるわ」なんてことを思い知らされたのでした。(そりゃ落石災害も起きてしまう訳です)

やることやっておかねば!

2024-07-08

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御柱??祖母谷温泉手前トンネルを塞ぐ土石流と巨倒木

白馬岳~祖母谷温泉・唐松岳~祖母谷温泉 両登山道パトロール隊の迎え入れに祖母谷温泉に行って来ました。(工事関係者扱いで、一般の方は入れません)

先日までの大雨の影響を少しは心配していたのですが・・・。(自分には不幸やトラブルは起きないと信じている多くの方々と同じ???)

一応道路は先週までには車が走れる程度になっていると聞いていたので、祖母谷温泉の車両を当てにしていたのですが・・・道路を少し進むと道路が洗堀され抉られているし、岩・流木で埋まり車では前進することが出来なくなりました。

進めないどころか、写真の様に完全に土砂で埋まって重機を持ち込まないとどうにもならない場所が三ヶ所ほど出て来ましたが、重機を持ち出して土砂をどかしていては明るいうちに到着できません。

仕方ないので皆で手分けしてボッカですが、道路はガタガタで足場が悪く山奥とは言え標高が低いので猛暑の中を汗だくになって歩きますが、持ち切れないものは引き返して再度ボッカして搬入が終わりました。

腹空かせてヘトヘトになって下山して来るであろうパトロール隊を迎えるために、大量の肉・肉・肉と喉をカラカラにして降りて来た時のお楽しみのビール・ワイン・ウイスキーやもタップリ用意して、加えて欅平から奥は電気工事業者が来れていないのでポータブル発電機(こいつが重いけど冷蔵庫も電燈も使えないのでは)と燃料も用意したら相当の荷物になってしまいました。

今回は帰りの人員を乗せて帰る車両台数の関係で、運転手と補助者がいてくれたので本当に助かりました。

今シーズンは両登山道の利用は控えてもらう様に登山者には呼び掛けており、利用者はほとんどいないと考えるのですが、パトロールして通常の草刈りを済ませておかねば藪の濃い黒部の登山道は、来シーズンからの管理が大変な目に遭わされるのが目に見えているので登山者の利用の有る無しに関らず「やることやっておかねばならない!」なのです。(トロッコが止まって、普通と違う分苦労するのですが・・・)

動き出さないと!

2024-07-03

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増水ってことは、宇奈月ダムは水位を下げて洪水調節&排砂

今回の大雨では、黒部川の増水だけでなく立山町では避難勧告が出ていた様だし、「横尾~」槍沢の登山道や上高地 で被害が出ているとの情報も・・・。

画像を見る限り、槍沢の水量が減り山腹からの湧水も減らない事には手が出せないのでは???

突発的な荒天で登山道が被害を受けてしまう事は、時々発生してしまうのですが・・・被害場所や状況によっても違ってきますが、取り合えずの復旧を行うにも費用も掛かってしまいます。

当黒部地区の「欅平~祖母谷温泉道路管理組合」では、毎年予備費的なモノを少しずつ用意しておくようにしています。

突発的な災害が発生した場合に備えているのですが、一昨年八月末の大雨で発生した土石流で道路が土砂で埋まってしまった時にも、予備費のおかげで直ぐに復旧に着手することが出来ました。(ちなみに他の山域で吊り橋が流失してしまったのですが「予算が無い」ってことで、翌年まで吊り橋が架かりませんでした)

富山県内の中部山岳国立公園への入山者の方々に、試験的に今シーズンから入山協力金的なモノを頂く取り組みが始まります。

槍沢のある「鑓・穂高」方面は先行して実施しておられますし、最近マスコミで「富士山への入山料徴収」について取り上げられていました。

どちらも根っ子は同じで「今まで管理体制が曖昧で、仕方ないので現場の山小屋等が一部分ですが整備・管理・情報発信して来ていたのが立ち行かなくなって来た」ってことかと?

いままで無かったことを始めるのですから、想定外・トラブル・運用方法等々問題が起きてしまうとは考えられますが、現場で対応している者からすれば「とにかく動き出さねば」立ち行かなくなってしまうだろうと心配しているのです。

流木が有るということは!

2024-07-02

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川道沿いに大量の流木が引っ掛かっていました(向こうの岸が抉られているのが分かります)

黒部の山奥では、大雨での斜面崩壊・雪崩によっての倒木等々が発生して山中に留まっていたものもあるはずなので、今回の大雨だけでこれだけの流木が発生したものではないと思います。

漂着した多くの流木の皮が剥がれた様子を見れば、まだ生きていた樹木なのだろうと見て取れます。

大量の濁流と流木ってことは、山腹が崩れて河川の堆積土砂も押し流し更には樹木が倒され流されれば流域の構造物も破壊しかねません。

太古の昔から黒部川は出水を繰り返しながら現在に至っていますが、人間が本格的に手を加えるようになってからたったの百年!しか経っていません。

昨日も書きましたが黒部は災害がついて回るのですが、開発したことによって・下流域が安全安心に生活できるようになり・流域の発電事業と治水工事で仕事を得られ・治水されたおかげで旨い米が採れるようになり・元々の自然景観と開発に伴ったトロッコ列車を利用しての観光地として賑わってきました。

近年は上流のダム・砂防堰堤と流域の護岸整備で洪水被害的なモノは無くなって来ましたが、しかし中流域沿線で十年毎に災害が発生して観光事業にダメージを受けているのも事実です。

「ヘリコプター」の観光利用は研究してみる価値があるような・・・。

法規制・地形や送電線網・料金等々、クリアしなければならないものは有るでしょうが・・・。(何度かヘリに載って黒部を飛びましたが、ズ~ッと載っていたかったです)

ちなみに立山・剱岳で遭難が発生した場合に、富山平野から立山連峰が雲で隠されていて直接アプローチできないことが時々あります。(暖められた空気が、上昇して立山連峰に当たって雲が湧く)

そんな時は、黒部川沿いに上流に向かい剱岳の遭難の場合は十字峡から剣沢にアプローチすることもあります。

ということは、立山がガスで視界が利かなくても黒部川沿いは視界が利いていることが多ってことになります。観光ルートとすればアドバンテージになると思うのですが・・・。

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