阿曽原温泉小屋

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今シーズンの営業について。(料金改定について)

2021-03-22

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ノンビリしていた訳ではないのですが・・・。

今シーズンの営業について、ご心配をお掛けしております。

基本的には、例年通り小屋建てをして宿泊営業を行う方向でおります。

宿泊定員は、各客室12畳半で6名余に抑えた宿泊人数にする予定です。

ただし今冬の大雪の影響で、大規模な雪崩が発生して大量のデブリの残雪で旧日電歩道・水平歩道が塞がれているかもしれません、夏にルート確認してみないと今シーズンが普通に営業できるかは今現在では分かりません。

なので登山計画を立てられる際には、夏以降このページをチョイチョイ覗いてみてください。

元々小さな小屋なのに収容人員を絞りますので、希望通りの予約を受けることが出来ない事も出て来るかと思います。 

定員オーバーの日が出てくれば、このページでお知らせいたしますので参考にしてください。

料金改定について

まだ正式に決めてませんが、今シーズンの宿泊・テント場利用等々、遅ればせながら料金改定をお願いいたします。

当ページ 小屋情報 に改定金額を載せましたのでご確認ください。(遅くなってすみません、前ページの文書関連で決めかねていました)

北アルプスの山岳を利用される皆さまへ

2021-03-22

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室堂平より剱御前方面(奥に早月尾根)

本日付で、環境省中部山岳国立公園管理事務所と北アルプス山小屋協会の連名で中部山岳国立公園を利用される方々向けに対して

「北アルプスにおける山岳利用についてご理解・ご協力のお願い」

と題した御願い文書を公開させていただきました。 (ホームページトップ にて閲覧できます)

昨年末から「宿題に追われている」と書いておりましたが、今回の文書を公開するにあたり調整等々に当たってきました。 (こんな年に限って持ち回りの、「北アルプス山小屋協会会長」が巡って来てしまい・・)

内容については一読して頂き御理解を得られれば幸いと考えます。 今回のコロナ渦においては全ての業種が被害を被っているところですが、山を預かる我々も今までと同じ経営スタイル・利用方法では立ち行かなるとの危機感の表れであると思っていただければと思います。

北アルプスの中でも方面によっては「キャンプ場利用料」の大きな変更がある場所もありますので、登山計画を立てられる際には事前確認をしっかりされてから入山して頂ければと思います。

正しい雪洞生活?Ⅹ(嘘やろ)

2021-03-21

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「小窓ノ王」池ノ谷側岩壁は険しくそびえて。

翌朝は小雪が舞っているもの、薄いガスで視界も数百メートルあり雪面も案外締まってラッセルの苦労させられる事も無かった記憶が・・・小窓尾根隊は「小窓ノ頭」(2,650m)でビバークしていたらしく「小窓ノ王」基部から先はルート工作が省けて「三の窓」で合流できるはず。

早月尾根隊も、剱岳頂上まで向かっている連絡が入る。順調に行けば、今日中に剱岳頂上で三隊が合流して、上手く行けば早月尾根にトレースが付いているのだから安全地帯の2600mか2400mまで下山することが出来るだろう。

「小窓ノコル」から「小窓ノ頭」に慎重に登ると、稜線上には小窓尾根隊のトレースが「小窓ノ王」に向けて続いています。

「小窓の王」基部 から「三ノ窓」までは、写真で見る通り「池ノ谷左俣」から立ち上がる大岩壁(地形図を参照してもらえば、等高線が書けない岩壁って)

高度感のある岩壁の中、雪が積もった狭い外傾バンドをザイルで確保しながらの下りトラバースになり緊張させられるし慎重になり時間も掛かります。

私はルート始点の岩場で、雪に腰掛けながら前進する隊員を次々とザイルで確保していました。

ガスが濃くなって来て視界が効かず、ザイルの動きで先行する隊員の動きを想像しながら寒さを堪えていた時です、いきなり慌てた声で無線がガサガサと騒ぎだします???

「カニのハサミ」で、鍛冶分隊長が雪崩に巻き込まれて池ノ谷に流されたとの早月尾根隊と馬場島の訓練本部との信じられない交信内容でした。

「嘘やろ!」視界が効かず吹き付ける風の音しかしない酷寒の岩壁で、ラストで確保していた私は近くに話し掛ける人間もおらず、身体の力が抜け宙に浮いた感じで動けなくなった記憶があります。

正しい雪洞生活?Ⅸ(雪洞のありがたさ)

2021-03-20

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春分の日!夕焼けも北に移動して来ました。(新川黒部橋右岸より)

「小窓」は、富山平野側の 「西仙人谷」 は急傾斜で風も強いのですが、風下の「小窓雪渓」は吹き溜まりで風も弱く大量の積雪が有るので雪洞を作るには適地になります。

前に書きましたが正月登山の救助でこの場所でテントを張ったのですが、降雪で動きが取れずテントで一週間ほど沈殿したことがありました。 降雪でテントが圧し潰されそうになって、座りながら背中で押し潰されない様に踏ん張って一日中チョイチョイ外に出てテントの除雪に追われた経験があります。(風除けに雪のブロックで立派な壁を作ったのですが、吹雪きで運ばれるる雪で壁もテントも全て埋め尽くされてしまいました)

雪洞の利点は、キチンと作れば潰される心配がありませんし、入り口が新雪で塞がっても雪の結晶の隙間の空気があるので酸欠もそれほど心配いりません。(盛大にコンをを何台も同時に焚けば✖)

時間は沢山あったのですが・・・前日の長時間行動と寝不足で、ソコソコに穴掘りを止めて湿気て重たい寝袋に潜り込んで、時々入り口の除雪をしに外へ出ますが視界不良のまま雪は降り続いています。

新雪が積もったばかりの不安定な急斜面を無理やり登り返していたら、雪崩を誘発させるリスクが大きかったはず!ここで行動を止めて大正解と納得の沈殿でした。

※富山の雑学

「小窓ノ頭」=コマドノズコ  頭をズコと呼びます。(「ウドノ頭」 ウドノズコ)

「池ノ谷」=イケノタン   谷をタンと呼びます。

どちらも「カシラ」「タニ」と呼ばれることもありますが、富山弁ではズコ・タンと呼ぶと教えられました。

今年はガマンです!

2021-03-19

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富山県消防防災航空隊のパンフ&グッズ

昨日の午後自宅前で黄砂で汚れた車を洗っていたら、ヘリコプターの飛ぶ音が聞こえて来て、あの重低音音は「とやま」?と見上げると、濃紅色の「とやま」が黒部川上流方向から富山市方向へ飛び去って行きました。

しばらくしてアンテナが目立つ?ワンボックスカーが家に近づいて来て、乗車している2人は遠目に見てもレスキュー配色の服装です。停車した運転席からは、消防防災航空隊長H隊長とT副隊長が笑顔で降りてきました。

黒部川「中ノ口緑地公園」 で訓練を終えた帰り道に寄ってくれたとのことで、新年度からH隊長は元の消防組織に転属になり、Tさんを後任隊長として引っ張り戻したのでヨロシクとのことでした。

一昨年シーズンは、消防防災ヘリ「先代とやま」には連日の様に遭難対応で飛んでいただいたのを改めて感謝しつつ世話になりっ放しなのに、あらたまって来られると「ありがたい」「照れ臭い」みたいな・・・。

一旦遭難事故が発生すれば、警備隊も消防防災も山小屋・電力会社・交通機関・病院等々関係機関がそれぞれの持ち場で対応しますが、普段から連絡を取り合っていてこその本番でのスムースな連携に繋がるはず! 

そのための、歓送迎会・忘年会・新年会・総会懇親会なのですが(尊い使命が飲ませるのです???)・・・今年はガマンです。

正しい雪洞生活?Ⅷ(状況に合わせて)

2021-03-18

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マッチ箱ピーク~剱岳本峰まで(左側ギザギザ稜線の裏に下った所が小窓ノコル)

慎重に「小窓ノコル」 に下降しますが、雲行きが怪しくなって来て・・・全員がコルに集合したころには、雪が強くなりガスも濃くなり視界は数十メートルでルートが見通せないし、富山平野から吹き上げる風も強くなって来ました。

「小窓のコル」から「小窓ノ王」基部までのルートは、不安定な積雪が張り付いた複雑な地形の急斜面(岩壁)で、もちろん登山道が有る訳ではなく方向やアプローチを間違えると雪崩に遭遇するリスクが、そもそも北方稜線の中では一番事故が発生しているエリアになるので、この時期にテントを持たずに北方稜線を攻めようとする「鉄砲玉?」ですが流石に慎重になってしまいます。(写真を見れば、険しいのが解るかと)

小窓雪渓側に少し下った風が弱まる斜面でしばらく待機しますが、増々天候が悪化して来てとても登樊どころではなくなったので、ここは自重してこの場で行動を止めて雪洞を掘ることにします。

時間は11時、出発して2時間ほどしか行動していません。 また新しい雪洞を掘り始めると思うと・・・「池の平山」の雪洞は狭かったけど楽チン出来たよな~等と「これっぽっちも頭に浮かべず!」訓練4穴目の雪洞を掘り始めたのでした。

何があっても状況判断して対応する能力を身に付けるための訓練なのです。

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