阿曽原温泉小屋

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山を安全に楽しんでもらう為には

2023-02-12

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チェンソーを操る大仏とサポートのトシ

登山道を整備すれば確実に事故は減るはずです。

しかし一口に登山道といっても、3,000mクラスの岩稜と低山帯の奥山・渓谷沿いの様なコースでは管理に掛かる労力は大きく違います。

例えば雪渓が途中に残るコースでは、雪渓が融けた場所から草・藪が生い茂りシーズン中何度も刈り込みに行かなければならないし、融ける時期がシーズン毎に天候や残雪量の違いで大きく違う事もあるし、残雪も残る時期が遅く成れば硬く氷化して危険度も違ってきたりなので、稜線とは管理の負担度合いが全然違ってくる事はこのページでお伝えしてきました。 

利用者が多いからといっても「過剰な整備」は自然景観を台無しにしてしまうし、そもそも「困難・アクシデントを自力で克服する」登山の魅力を奪ってしまう事になるはずです。

話しは逸れますが、バックカントリースキー・クライミング・沢登り・雪山登山等々も「山に入る」ということでは根っ子は同じと考えれば、事故を起こした?巻き込まれた?からといってタダタダ非難されるのは可哀そうな気もするのですが・・・。(立山室堂の様な観光客と共用部分は?どうするのかの別の課題も出て来ます)

入山者が多いコースではそれなりに整備も行き届いているのですが、人が少ないコースも登山道としてマップに記載されている以上は最低限の整備をしておかねばなりません。 

しかし地元黒部市を例にとると、利用者は格段に少ないのですが管轄するエリアは・広大・黒部峡谷の谷底まで高低差・標高が低く藪が濃い・大雨大雪の影響を受けやすい等々、管理には多くの手間と労力が掛かるのですが、予算は限られており遣り繰りしながらなんとか毎年管理して来ているのですが・・・「利用者も少なく、そもそも地元の人間がほとんど利用しないのに税金を注ぎ込んでも??」って意見も出て来ます。

しかし殉職者が出ても救助体制を充実させてゆかなければならないのと同じで、地元の責任?プライド?みたいなもので「地元民に関係ないから!利益が無いから!」みたいな理由で疎かにしてはヨロシクないのではと考えます。

※写真は祖母谷温泉奥での倒木処理ですが、標高が低いということは樹木が大きくなるし草藪も背丈ほどあるということは・・・大変なのですが、誰かがやらないと!ちゅーことで近場の者が出て作業しています。(この作業風景は、一昨年6月末にNHK山岳班が「登山道整備」に危機感を持って取材に来てくれた時のものです)

安全に楽しんでもらうために(情報編)

2023-02-11

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気楽に遊んで見えますが・・・最新の情報を仕入れましょう!

安全に山を楽しんでもらうために!

最新の現場からの情報提供として

「入山指導員制度」

「富山県山岳警備隊 ツイッター」

等が富山県では行われてます。

更に基本情報としては

「登山道のグレーディング」 

ネットからコース別にマップが閲覧できるので基本情報を知ることが出来ますが、残雪量等最新の情報は直前に山岳警備隊・コース上の山小屋等で確認してください。

これ以外にも、ガイドブック・ネットの紀行文・山小屋からの情報提供等々を利用して、事前にコース研究をして入山時期に合わせて防寒対策を追加する等の対応を考えた上で、自分の体力・経験・装備・メンバー等などを含めて計画を立てていただければ。(当たり前の事ばかりですが)

※写真は、春先に発見された巨大な「岩」ですが、この周囲は屑石が無くキレイなモノでしたが、斜面上部を調査しに入ったら比高190m上部で30mX15m範囲で地滑りが発生していて下まで落ちて来たのは写真の巨岩だけで、発生源から下部の斜面は巨木がなぎ倒され広範囲で斜面が抉られて大崩壊!大荒れ状態で「黒部は生きている」って実感させられました。(春先の融雪時期に地滑りが発生したみたいです。幸い設備には被害がありませんでしたが、考えて見れば山はそのままの形でズ~ッといる訳はないのですから)

次からは「本題」である登山道整備について書いてゆきます。

山に入るということは?

2023-02-10

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近い!

話しがズレて来てしまいました・・・。

救助隊は救助を要請されれば向かってゆくのが基本なのですが、当然のことですが二重遭難が危惧される危険なエリアに無理して入って行くべきではありません。

しかし訓練や講習会等を通じて、季節折々に変化する厳しい気象条件・積雪による地形の変化等「山を見る眼」(危険を察知する眼)を養いつつ、体力錬成しながら困難を突破する技術・気力を養われた上で「良い仕事」(救助)が出来る様になるはずだと。

警察の大幹部?みたいな話しになってしまいましたが、何が言いたいのかといえば山岳警備隊みたいに遭難現場に向かう人間だけでなく、一般登山者の方々にも「山に入るということは、どういうことなのか?」心構えを持たずに歩いていないでしょうか?一旦じっくり考えてもらえればと思うのですが。

登山道は高速道路ではないのですから四六時中パトロール出来るはずもなく、台風等で倒木が登山道を塞がれていれば乗り越えれば良いだけ! 夜中の落石でクサリ場やハシゴのアンカーが破損しているかも?って考えれば毎回利用する前に確かめてみるだけ!等々当たり前の事なのですが想定外の事態に遭遇するとどうして良いか分からなくなる方がおられます。

実際にあった話ですが、水平歩道で丸太桟道を通過中に滑って転落された事故が発生して同行者が小屋に来て「丸太桟道だから滑ったじゃないか!誰が管理しているんだ!」と苦情を言われたことがありますが、「丸太桟道を見れば滑る可能性が有ると分かるはずなので、慎重に歩いてもらえれば滑落することは無いのですから」と諭したことがあります。

そもそも「山に入る」ということをアヤフヤにしたまま利用していないでしょうか?

その上で、自然公園を保護しながら安全に利用してもらうにはどうしてゆけば良いのか?なのです。

しつこく続きます

簡単な話しではないのです

2023-02-07

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かなり視界がクリアになり着陸

今回連続して発生してしまったバックカントリースキーの雪崩事故についてネットの意見を見ていると

〇救助に当たる人の危険を考えて! 〇危険エリアに入っての事故については救助費用を全額請求するべき! 

等々の意見が出ています。

富山県警山岳警備隊は、剱岳で冬山訓練中に二名の殉職者を出してしまっており、更には警備隊OBの警察官が山菜取りで転落死?された方の御遺体の搬送中にもスノーブロックの崩壊により殉職者と重傷者を出してしまいました。(NHK「プロジェクトX」で紹介された方)

殉職された三名は私の住む黒部市出身者二名と隣町の朝日町出身で黒部市内の交番勤務を通じて地域に溶け込んでおられた方でした。(なんで黒部に縁の人間だけ?って・・・)

三名の方々とは近くに住んでいた事から仲良くしておりましたし、富山県内でも黒部周辺は「言葉訛り」があって、当然私も訛りがあって高齢の御両親親戚の方々と接し易いので御遺族対応にも関わってきたこともあって深い悲しみを間近で見て来ました。

また警察組織が受けたダメージについても、当時ペーペーだった私でも「大変なことになるモノや!」と痛切に感じたものです。

殉職事案が発生する度に「県外から遊びに来ている人間を助けるために、なんで富山の警察官が死なねばならないのか」みたいな意見が出て来てしまいます。

高齢の御遺族からも「なんで危険な剱岳へ訓練をしに行かねばならないの?」って泣きつかれたことがありましたが「遭難者と同じ条件で訓練しなければ、助けを求めている人を助けることが出来ないのです。助けを求めている人を救助するのが警備隊の仕事なので訓練しなければならないのです」

って説明したことがあります。

もう少し書きたいのですが・・これから富山市内で会合~飲み会なので明日は多分XXX

今シーズンの宿泊料金・予約方法について

2023-02-06

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吹き飛ばしながら視界がクリアに

今シーズンの、宿泊料金・予約方法等を改定いたしました。 

※トップページの小屋情報参照 願います。

若干の値上げと宿泊予約方法の変更をいたしましたので、御確認よろしくお願いいたします。

お節介ですが!

2023-02-06

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ホワイトアウト?新雪が積もった後は、ヘリの着陸も大変なのです

基本的には斜面が有って雪がその上に積もっていれば「どこででも起こりうる」ものだそうですが、「風の通り道」「吹き溜まり」「雪庇の発達し易い場所」「積雪後の落ち着き方」等々の様々な要因が作用して、同じ真っ白な斜面でも雪崩が発生し易い斜面と割と安定している場所が出て来ます。

白馬乗鞍での雪崩事故は、音?枝跳ね?スキーのシュプール??何が切っ掛けで発生したか分からないので何とも言えないのですが・・残念なことに亡くなられた米国人の方は国際大会の優勝者とのことで、一旦発生した雪崩に巻き込まれてしまえば上級者でも助からないし、不安定な降雪後に雪崩が発生し易いエリアには入ってはいけないということを改めて思い知らされました。

富山の様な態勢で経験則を生かした対応が出来るのも「立山黒部アルペンルート」を利用して周辺でのみ楽しむ方々に対してのみ対応出来る訳で・・見方によっては「お節介」と?捉えられるかもしれないのですが、実際に雪崩事故が発生して遭難者がチョイチョイ出てしまう現状に「何とかしなければ」との考えから始められたものと理解して協力しております。

ただ入山指導中に感じるのは、ある意味「お節介」なのに明らかに私などよりもスキー・スノーボードの上手なガイド連中や若い入山者もおおむね制度に協力してくれているのは、これまでの遭難現場で救助活動にあたって来た山岳警備隊はじめ地元山岳関係者が頑張って活動して来たこと、二次災害が発生するかもしれない雪崩現場で救出活動が危険を伴うものだとわかってくれているからで、その積み重ねが「信頼関係?」「頼りにされている?」みたいな関係が出来上がっているのではないかと??

「入山指導員制度」は、絶対的な指導できるものではありませんし時間の経過で朝一危険なエリアでも時間の経過で気温上昇・日射・斜面の向き・風向き等々で安定してくることもあるし、もとより立山周辺だけを対象とした活動で全国のバックカントリスキー・山スキーで入山する方々には対応出来るはずもないのですが・・・。

だんだん話の方向が怪しくなって来ましただ・・もう少し書きます

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