阿曽原温泉小屋

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長期間の捜索に! Ⅳ(サメになれ?)

2020-01-09

写真

天然ブリ!(胴の厚さが・・・旨そうです)

河原・沢歩き~藪漕ぎ~雪渓歩きしながら現場に通い、来る日も来る日も雪渓掘りをする日が続きました。

ほとんどの阿曽原チームは、登山靴は使わずに長靴・地下足袋(ゴム引き)で向かっていました。 歩くのに足が軽く飛び石や藪漕ぎにも、踏ん張りが効くので使っていたわけです。(そもそも、まともな登山靴を持たないので)

底が薄いので、下手にスコップを蹴り込むと痛い目に遭ったり、何より雪渓は当たり前のことですが冷たくて・・・。

行動中・作業中は、それほど冷たさは感じないのですが動きを止めた途端に足が冷たくなって来るのです。

聞いたことありませんか?「サメは泳ぎ続けていないと、呼吸が出来なくなって死んでしまう」って???

我々はサメのごとく、足が冷たくならない様にほとんど動き回っていたのでした。(昼食時は、ザックに座って足はスコップのバーに乗せて雪から離して)

あの頃は、みんな元気でした。(最近は「働き方改革」とか言ってるけど・・・どうなんでしょう?やらねばならない時にやるだけやって、飲むときは腹一杯飲んでればいいんじゃないのかな?そこを脱線しない様に調整しながら引っ張ってゆくのがリーダーの仕事かと)

写真は、昨日出席した「黒部市新年を寿ぐ会」が終わった後に、気の合う仲間と「吉今日」さんに飲みに行って見せてもらった魚津漁港に水揚げされたサメではなくブリ

入っているのを知っていたら、カマを焼いてもらっておくのでしたが・・・大きなカマなので焼き上げるのに時間が掛かるので諦めました。

一昨日は、氷見漁港に1000本オーバーの水揚げがあったそうです。 この時期は本当に美味しいですから「富山に魚を食べに来られませ!」(ブリしゃぶの写真を見て、早速関東の知人からお店を予約してくれとの連絡が)

長期間の捜索に! Ⅲ

2020-01-08

写真

一昨日の朝焼け。今日は全国的に大荒れに!

二人目の捜索は、デブリのウネリを読んだり、雪渓の盛り上がる場所ではないだろうか?いろいろと想定して掘ってみたり。 魚群探知機みたいな機会を持ち込んで調べて、反応が有った場所を掘り返したら流木や岩であったり。 

とにかく、毎日毎日雪渓を堀り返していました。

先に見つかった遭難者を掘った穴に、落石で岩が落ちてきていた話をしましたが、ある日、上部の何処から発生したのか分かりませんでしたが3m足らずの穴を掘っていた場所の真上の雪渓を転がってくる漬物石ほどの石が!

「ラーク・ラーク!!!」直前で穴の外に居た者が気付いて大声で叫びます。 一直線に掘っている穴に、勢いよく転がって向かっています。穴の中で作業していた三人のうち、二人は慌てて外に飛び出してきたのですが一人は出遅れて・・・。

その一人は思わず上流側の雪の壁に身を寄せて、頭を手で覆った途端に転がってきた石は頭上で勢いよく雪面からダイブして落下、壁に張り付いた人間の1m先の掘って平らになった雪面にめり込んで・・・!

雪渓上を転がる落石は音が殺されて、気付くのが遅くなりがちです。常に上部に注意を払っておくことが肝要なのですが・・・にしても広い雪渓のど真ん中の幅数mの雪の穴に、なんで吸い込まれるように向かってくるのやら???

夏山の雪渓上に転がっている、石・岩はどこから来たんだろう?考えながら歩いてみてくださいな!

王子が表彰されました。

2020-01-07

写真

「ブリしゃぶ」、脂がのって最高でした。

昨日、白馬の王子が「黒部警察署長感謝状」を受賞致しました。(そもそも王家の一族が表彰って?)

昨秋多発した遭難で、事故現場に出動して救助活動に協力した功績での受賞です。

わざわざ白馬から黒部に出てきたのだからと、阿曽原関係者と黒部署の山岳警備隊員(1名は事案待機で飲めませんでしたけど)とで飲みに出ました。

黒部でお馴染みの「吉今日」さんは、Wメインで「ブリしゃぶ」「タラ鍋」を用意してくれていました。

カワハギの肝・ガス海老・ブリ・中とろ・シメサバ等9種の刺身の盛り合わせ、真鱈の白子のポン酢・天ぷら、ゲンゲの天ぷら、白エビのかき揚げ、香箱カニ、エビのレンコン挟み揚げ、雑炊等々、白馬村ではなかなか口に入らない魚で次々と熱燗の二合徳利が転がって・・・。(ガス海老?ゲンゲ???知らない人もいるかと)

昨年は大仏も県警本部長から受賞しましたが、事故が無ければもっともっと美味しい酒が飲めるのだけれども・・・。(多分明日も「黒部市新年を寿ぐ会」で飲み歩く羽目に???)

長期間の捜索に! Ⅱ

2020-01-07

写真

今朝の白馬岳(天気予報は下り坂!荒れなければいいのですが・・・)

結局二人目の遭難者を発見できた7月11日まで、2ヶ月足らずほとんど毎日現場まで歩いて通うことになりました。(夏山相談会・小屋建て等で私が行けない日もありましたが、期間中は阿曽原の関係者は誰かが参加してくれました)

毎日通っていると驚かされること・なるほどと納得させられたこと等々、随分と山の勉強になりました。

雪渓横の斜面を、熊の親子が藪を駆け抜けてゆく速さに!

ブロック雪崩発生時の音と砕け降りてくる迫力に!

朝に通過してきた雪渓が帰りには崩壊していたり!

状態が毎日変わる雪渓や谷を観察していると、今後どこが危険な状態になるのか? (地形・高度・天候・痕跡・雪の融けやすい場所等々、なぜ変わってゆくのかが納得させられたような)

今はどうなのかは分かりませんが、小学生の時に夏休みに宿題で「観察日記」を書いた記憶がある方もおられると思います。(朝顔の成長とか)

毎日の変化に興味を持って「なぜだろう」と考えたり検証したりすることによって、山中で自分の身を守ることに繋がると教えられました。 前にも書きましたが、山菜取り・キノコ狩りにも通じることで闇雲に藪に入っても収穫があるわけではありません。

どんな事にも、それなりの理由が!

まだまだ???な事もも沢山あるのですけど、だから山に入るのが楽しいって思えるのでは?

長期間の捜索に!

2020-01-06

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今朝の白馬岳(天気が悪い割には積雪がありません)

発生から2ヶ月余の5月15日、「大日山谷」 の雪渓の4mの深さから(雪崩ビーコンの数値通り)1名の遭難者が収容されたのでした。

翌日からも、もう1名の発見収容に向けて体制を整えて連日通いました。

「ひぇーーーっ」翌日発見現場に着いてビックリ! 夜間に落石が発生したのか、掘り込んだ穴の底に一抱えではきかない「岩」が・・・もし作業中に転がってきていたら、二人くらいは潰されていたことでしょう!(広い雪渓上でのホールインワン的な)

未だ発見されていない遭難者のほうは、雪崩ビーコンの反応がなく(電池切れ?)広い谷の雪渓の何処に埋まっているのか???

常識的に考えれて事故発生時の雪崩の層まで4mと考えると、そこまで雪渓が融けるには・・・梅雨時の温かい降雨で一気に融雪が進むのは分かっているのですが、悲しみに暮れながら待ち続ける家族縁者のことを思うと一日でも早く帰してあげねばなりません。

果たして同じ標高まで流されてきているのか?同じ標高でも、少し方向が違えば100m以上の幅がある雪渓を掘り返す事を想像してみてください。

連日通ってデブリの流れなどから推測してみるのですが、掘っても掘っても・・・せめてザック・スキー板等、手掛りが見付かればと広大な範囲の雪渓を見て廻りますが全くの徒労に終わってしまいました。

当時の阿曽原チームは、ゴールデンウイークまでトロッコ列車沿線の浮石調査の仕事でメンバーが集まっており、阿曽原小屋を建てる6月上旬までは割と自由が利く男達なのでした。 

私個人は、登山研修所と長い付き合いなので出来るだけの応援が出来ればと考えていたのですが、小屋のスタッフ達はそれほどの義理もなく、ましてや全く見ず知らずの遭難者の捜索に積極的に参加するには・・・? しかし先にも書きましたが、山歩きと土木作業に慣れた人手が必要になってくるので、都合のつくメンバーに御願いして一緒に捜索に参加してもらったのでした。

いろんな「縛り」「決まり」があって、他のバイトに行ってた方が日当は全然良かったはずですが、みんな快く引き受けてくれました。

再始動。

2020-01-05

写真

前ページから繋がります。

雪面には姿も見えず極寒の中相当な時間も経過しており、続いた吹雪により新たな雪崩の危険性が増して二重遭難の危険を避けるために、苦渋の決断ではあったが第一次捜索は打ち切りとなり、山の雪が概ね落ち着く5月の連休明けまで待つことになりました。

(落ち着くと言っても、表層雪崩の心配なくてもブロック雪崩の危険はずっと付きまとったのですが・・・)

連休明けに、捜索隊が大日山谷1450m付近の雪渓でビーコンの反応を確認。(雪崩発生地点から、高低差1000m余り流されていたことに)

確か4m位の深さからの反応だったと記憶していますが、我々阿曽原チームも馬場島側から応援に現場入りしました。(餅屋は餅屋! 土木作業に慣れていないと、パワーと思いだけではなかなか・・・って、俺たち何屋さん?))

雪を掘ると言っても、竪穴で4mも掘り下げることはそもそも無理があります。勾配が低くなっている下流側からアルペンルートの雪の大谷?状態にして掘り進んでゆくのです。(4mの雪の壁を想像してください)

スコップだけでは捗るはずもなく、チェンソーで雪渓を切り出してブロックにしてからスコップとスノーダンプで雪渓の外に運び出すのですが、谷の勾配が緩くなってきている場所だったので10m以上手前から掘り進めたような記憶が・・・。

広くすれば仕事量が増えるし狭ければスコップが振り回せないので、案配を見ながら交代しながら進みます。掘り出したブロックを捨てる場所が、だんだん遠くなってゆくので運搬係も大変です。 (雪が硬く重いので力任せに作業をすると、スノーダンプが壊れるばかりで・・・)

いくら4m下部に反応があるからと言って、チェンソーで闇雲に雪を切り出しては石・流木・装備に歯を当ててはチェーンが切れてたり噛んだりのトラブルの危険が。 

ましてやビーコンが身体に固定されているとは限りません。 万が一にでも遭難者を傷つけようものなら大変です!

雪渓にチェンソーの歯を入れる前に、ゾンデ棒で丁寧に雪面を突いて障害物が無いことを確認してからの作業になります。

(ゾンデの反応は硬いは硬いでも、石・氷・樹木・カチカチに凍り付いている人間等それぞれ反応の違いが解ります)

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