阿曽原温泉小屋

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なんで、そうなるの!

2019-08-17

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オイッ、近くねえかっ! 三代目県警ヘリ「つるぎ」メイン・ローター(プロペラ)の数が5枚です。

続き!

遭難者は消耗しており、自力歩行させて帰るとなるとどれだけ掛るやら?と言う事で、ヘリコプターを呼んで載せて帰るのがベターと言う事に。

しかし当時の無線機とネットワークでは現場から無線の電波が届かないので、剣沢派出所と連絡が取れる真砂沢ロッジまで誰かが行くことに。(現在は当たり前のことですが、どれだけ便利になったかを知る事は災害等トラブル対応の勉強になるはずなのですが)

「一般登山道なんだから、若いの一人で充分」と言う事で、一番若い私が一人で連絡に走る事に。

真砂沢ロッジまで走って走って連絡とヘリ要請、ヘリコプターは直ぐに飛んでくれる事になって、遭難者と現場隊員をピックアップしてくれるとの事でした。

「よっしゃ」モタモタしていられません!

真砂沢ロッジ前はキャンプ場となっており、私がヘリコプターに拾ってもらうには張りっ放しのテントが有っては着陸できません。「遭難対応です。もうすぐヘリが着陸しますからテントを畳むなり押えていてください」テントキーパーにお願いして回って了解を取り、準備万端待っていると頭上をヘリが二又方面に向って飛んで行き直ぐに折り返して剣沢を昇り返してゆきます。

機体は割と余裕のある「ベル204B」だったとおもいますが、当然ながら遭難者優先搬送です。 しばらくしてもう一度頭上をヘリが二又方面に向かって行き、残りの隊員と帰りには私をピックアップしてくれる筈なので、仮のヘリポートに吹き流しを用意して警備隊の制服を脱いで頭上で振り回しながら着陸ポイントを指差して合図を送りました。(これで数分後には、私も機内の人となって颯爽と帰れるものと思っていたのですが・・・)

二又から帰ったヘリは、スピードを落とす事も無く一気に頭上を通り過ぎて?先輩隊員は、機内から手を振っています。 もう一度来てくれるのかな???そこへ小屋の従業員が、剣沢派出所から連絡で「イズミは歩いて帰ってこい」って言ってきましたと・・・。

「ガーン!一番走ったのは俺なのに・・・なんで」若い頃は、苦労は買ってでもしなさいと言う事でしょうか。テントキーパーにお礼を言って回ってから、トボトボ1人剣沢まで登り返したのでした。(帰ると満面の笑顔で???先輩隊員から迎えられて、少しイラッとした私なのでした)

※結局

遭難者は二又でパーティと逸れてしまい、下流側の水量計測機器が設置してある場所まで付いていた足跡を登山道と間違えて剣沢を下り出して。途中で薮と急な岩壁に出くわして「オカシイ」と思ったけど登り返すのがきつく感じたのか「川を下れば何処かに着くだろう」って自分に都合の良い思い込みでとんでもないエリアに入り込んでしまっていたのでした。

反対に言えば、捜索側も「剱大滝方向には常識的に考えると行かないだろう」と捜索範囲を自分達の常識に沿った思い込みで決めてはならない事に成るのです。(行方不明者が、予想外の場所から発見された事例が沢山あります)

「自分には不幸が降り掛からない!」なーんて何の根拠もない自信を持っている人はいませんか?

「自分はヘリに乗れるはず」と思い込んでいた男からの忠告です!

どうして、そこ行っちゃうかな~?

2019-08-17

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デカッ!阿曽原上空に飛来した富山県消防防災ヘリコプター「とやま」

「行方不明」関連で昔話を一つ。

夏山シーズン真っ盛りのある日、10人位のパーティが仙人新道を下って剣沢に向って歩いていたのですが「最後尾を歩いていたはずのサブリーダーが途中で見当たらなくなった」との通報が入りました。

仙人峠では確認されていたのですが、「二股吊橋」 通過以降誰も姿を見ておらず・・・迷う様な場所でもないし転落して藪の中で動けなくなっているのでは?

翌早朝、当時は県警にはヘリコプターが導入されていなかったので民間ヘリに出動依頼して、剣沢から搭乗して我々は先に仙人峠に降り立ち捜索開始。 もう一班は、空からヘリで一帯の捜索に向かいました。

歩き出して直ぐに、無線で遭難者らしき人間を発見との連絡が入りました。 発見場所は、なんと二又から剣沢を十字峡に下った「剣大滝」手前左岸の急斜面で、木にしがみついた状態で進退窮まっているとのこと。

発見した隊員は二又まで戻って、ヘリから降りて遭難者と合流すべく左岸沿いに向かうので、我々にも後に続くようにとの無線連絡が入りました。 20分位で仙人新道を駆け下って二又から下流側に向いましたが、最初は広い河原で剣沢の急流からも離れていたのですが、進むに随って急峻な両岸が狭く成って潅木帯の急斜面にフイックスしながらトラバースしながら進むと遭難者と先行の隊員とが合流したのが目視確認出来ました。

目出度し目出度しだったのですが・・・。

続く。

登山道情報!(宇奈月エリア)

2019-08-17

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まだアオイけど、大きく育った山ブドウの実

僧ヶ岳~越中駒ヶ岳(2002m)までの、登山道の草刈りは大仏達が先週終わらせています。 しかしこの先、宇奈月温泉からの僧ヶ岳林道1050m地点手前道路の改修工事が予定されているとの情報が有りますので、もしかしたら僧ヶ岳第三登山口へ車でのアプローチは難しいかもとのことです。(黒部市役所に問い合わせてみて下さい)

台風通過後に小屋の周りを見回したら、山ブドウの実が大きく育っていたりススキの穂が出ているのを見付けました。

毎日「暑い」と言っているうちに・・・いつの間にか秋の気配が漂い始めた阿曽原です。

反省!(まだまだ修行が足りません)

昨夜は、台風通過後の寄り戻しの雨の中を大阪と東京からの単独二人の男性のお客さんが泊まってくれました。

早目に届いて、風呂上がりのビールやチューハイをそこそこ飲んでおられたのですが、

「こんな人達は、ぶっかけ蕎麦・ミニパスタも付くし夕食でも飲んで御飯はそんなに食べないだろうから、一人一合ずつで二合炊けば丁度かな」(御飯の使い回しを極力したくないので)

って提供したのですが、二人とも御飯の御代わりに来られて・・・1人目の御代りで御飯が無くなり、慌てて余計に作ってあったパスタを器に盛り付けて・・・。

お腹は膨れてもらえたとは思うけど、申し訳ないのでマグカップに従業員の晩酌用に作ってあるオシャレに丸氷を入れた安ウイスキーを出して上げたら大変喜んで頂けて。

この登山情報も読んでおられる方々で、私も一緒に安ウイスキー飲みながら「アーダ・コーダ」と男三人で黒部の話で盛り上がって・・・。バイトが揃っていないのに、毎日こんなことしていたら私が壊れてしまいますが「暇な夜なればこそ」たまには良いかっ!

勘弁して下さい!

2019-08-16

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トンネルは大きくなったけど、まだ堪えています。

先ほど14時前に1件の電話が「予約してある者ですけれど、遅くなるけど向かいます」って聞き捨てならぬ事を・・・、何処から電話して来ているのか尋ねると欅平上部の水平道の少し阿曽原寄りとのこと。

「何回か歩いている登山道だし、雨宿りをしていて出発が遅くなったけど今からでも18時には到着します」って言われても・・・。(心配するだろうとの良心で電話をしてこられたのだろうとは思うのですが)

○夏場は皆さん時間が掛かっている。

○雨上がりといえど気温は高いままでタイムを短縮することは大変。

○何回歩いていようが、時間に追われて歩く道ではない。

○今日は通行人はすでに無く、万が一どこかで転落しても擦れ違いも同方向の登山者も居ない水平道を一人で歩くのは勧められない。

等と説明して向かうのを断念してもらいました。(今夜は欅平に泊まって、明日来られることに)

ご本人には申し訳ないし残念ではあったでしょうが、山小屋の主人が「シャーナイな、待っている!」なんてことが言える訳が有りません。

先のページでも説明しましたが、山小屋は山を楽しんで頂くためのサポートの仕事と考えております。 危険なのが分かっていているのに、阿曽原マニアのリピーターだとしても貴方だけを特別に見て見ぬ振りは出来ませんので勘弁して下さいなのです。

※平成5年以来、水平歩道で行方不明のまま見つかっていない方が3名おられます。どなたも単独登山者で通行人の少ない時期・時間帯だったため目撃情報も得られずに捜索範囲も絞り切れず捜索打ち切りに。 数年後にザックだけが、欅平駅操作場奥の雪渓で見つかった事案が1件ありますけど遺体は未だ見付かっていません。

山は黙って。

2019-08-16

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黒部川上空上流側からの阿曽原小屋とキャンプ場!

台風10号の影響は、昨日の夕方に少し風が強まっただけで、強めの雨は降っていますが拍子抜けです。

昨日のページで紹介しましたが、写真中央左側(小屋の左手前)コンモリと茂った樹木が見えますが、台風接近時の南風をガードしてくれているのです。

小屋の上部斜面が草薮になっているのが判りますが、戦前の写真を見ると宿舎が建っていた平地で人工的に伐採されたものです。その上部には大きな樹木が生えているのが確認されるのは、その斜面では雪崩が発生していない証拠です。(欅平駅の待合室に、ホウ雪崩で壊滅する前の阿曽原の全景写真が有るので見て来て頂ければ)

対して、キャンプ場トイレ(ベージュ色の小さな箱)の上部斜面に、大きな樹木が見られないのは雪崩の通り道だからと考えてもらえば!

雪の無い今は沢とキャンプ場は別々に見えますが、雪の積もった時期に見ると一つの斜面となっています。その上部で発生したホウ雪崩は、勢いが強いので少々の斜面の変化等お構いなしに真直ぐに爆走して雪崩降っているものと。

H30年冬に露天風呂に下る道に大きな薄茶色の岩が運ばれて来たのは、阿曽原谷左又上部で発生したホウ雪崩が、キャンプ場を通って露天風呂まで走って浴槽を壊したホウ雪崩によって運ばれて来たものではないかと推察されます。(信じられないかもしれませんが、岩の角が丸く削られているのは沢の中に有った岩が吹き飛ばされて来たからでは?)

山は黙っていろんなことを教えてくれているんだ!って、考えてもらえれば自分の身を守る事にも繋がるし、知見が広がればもっと山歩きが楽しくなるのでは???

接近中!(リセットしてますか?)

2019-08-15

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怪しい雲が、南風に吹かれて黒部川の上流から流されて来ます。

台風はまだ離れているのに、怪しい雲が流れて暖かい風が吹き始めています。(暑いからか?セミも早朝から鳴いてます)

阿曽原小屋の建っている場所は、上流側に小さな尾根みたいな出っ張りがガードしてくれて、台風接近時の黒部川沿いに吹き下る南風には割と強いのです。

小屋の下流にある阿曽原谷はL字型に屈曲しているので、南風は左岸の斜面にぶつかって樹木を大きく揺らして草と潅木は斜面に押し付けられているのを見ると、仮設の小屋が被害を受けにくいのは立地場所のおかげと痛感させられます。

しかし、台風が通過した後の吹き戻しの北寄りの風が川下から吹き付けると、真面に風を受ける形になって・厨房の屋根が浮いて飛ばされそうになったり玄関の波トタンが飛ばされて無くなったりと・・・進路によっては、それなりに対応をしなければなりません。

阿曽原に限った事では有りませんが、災害を前にすると「人間ってチッポケ~ッ!」実感させられますよね。 強引な論法ですが、ってことは人間関係の悩みなんかは「チッポケ」な事って考えれば悩んている事自体が???ってなりませんかね?

登山される方々は、それが分かっているから「自分をリセット」するために山懐に入り込んで来られる方々が沢山おられるのではないのかと・・・秘かに思っている小屋主なのです。

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