阿曽原温泉小屋

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集中力を切らさずに!Ⅱ(体力と反射神経は衰えるのは仕方ありません)

2023-10-18

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続き

夜明け午前5時20分に、阿曽原小屋常駐の隊員二名が現場に向かうのに合わせて助っ人スタッフSちゃんがオニギリを握って持たせてやります。

続けて夜明けに合わせて午前6時に富山県消防防災ヘリコプター「とやま」がフライトして、現着している隊員から現場の天候・状況等が無線で伝わって来ましたが、昨日確認されていなかったザックカバーが約50m下部の斜面に確認出来ると連絡が入ります。

宇奈月からは7時11分発の作業列車で、陸上部隊の山岳警備隊員で向かう段取りです。

小屋の宿泊客の朝食中に、消防防災ヘリ「とやま」が阿曽原上空を通過して直ぐ上流の「権現峠」下部の尾根裏付近でスピードを落として現場隊員と無線連絡を取りながら捜索を始め、しばらくしてから遭難者を確認して隊員をホイスト降下させて収容に当たり富山空港に帰投してゆきます。

宇奈月駅で出発直前の陸上部隊に連絡して帰らせるやら、現場の隊員の後片付けやら・・・・事後処理する傍らで忘れられがちな「肩脱臼」の方の対応しながら、ドタバタした朝が過ぎていったのでした。

目撃者・同行者等からの話では、「躓いて、そのまま転落されてしまった」とのことで、長時間歩いて集中力が途切れだした~足が上がらなくなる~躓く~加齢と疲れから反射神経が衰えて「手摺り番線」を掴めなかった。

みたいな流れになるのではないかと推察されるのですが、加えて「コロナ禍中」の数年間は思う様に山歩きが出来ていなかったのも大きな原因ではなかろうかと・・・。

70歳代で元気な方も毎日来ておられるので、年齢だけでドウノコウノ言うつもりは毛頭ありませんが、事実・現実を理解したうえで計画を立てて行動して頂けたら事故は減るのではないかと考えます。

ちなみに、このツアーは少人数のお客さんをガイド・添乗員が付き添っているので、ケアが行き届いているとおもうのですが、一人ずつ手取り足取り歩く訳ではありませんのでツアー会社が悪いとは言えないと思います。

黒部に怪我無し! 「下の廊下」「水平歩道」を歩かれる方々は、集中力を切らさずに歩いて頂きますようお願いいたします。

集中力を切らさずに!

2023-10-17

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早朝からフライトしてくれました。

昨夕受付がゴチャゴチャし始めたところへ、テント泊予定の男性が「肩を脱臼」して到着しました。

明らかに右肩が下がってしまい痛そうです。常駐している二名の山岳警備隊員が対応して一旦は元に戻ったのですが、少ししたら再度外れてしまいます。

以前にスノーボードで転倒した際に外れてから癖になっている様で、痛がっているのですが鎮痛剤を飲ませるくらいしか出来ずにいるところへ、阿曽原に向かっていたツアーガイドから

権現峠 のトンネルから仙人谷ダム側で、74歳の男性ツアー客が転落した。下を覗いても確認できず、呼び掛けにも応答がない」

との連絡が小屋に入りました。

権現峠とは、阿曽原と仙人谷ダム間の水平歩道にある短いトンネルですがその前後は樹林帯の様に見えますが急傾斜が数百m続き特に転落地点の仙人谷ダム側は断崖と言ってもよい場所です。

更に隊員が現着した頃には暗くなり雨も降り始めてしまい、転落地点は垂壁と支点も取れず直接降下できるような場所ではなく少し離れた場所から降下できる場所を探してみても、そもそも目標が見えない断崖と藪のミックス斜面を目標もない中下りてみても遭難者が発見される可能性は限りなく小さいと考えられます。

遭難者が目視できる・呼び掛けに反応する・ヘッドライトの明かりが見える等、確認出来ているのならば別ですが、大きな二重遭難の危険を冒してまで下降することはあまりにもリスクが大き過ぎます。

以前私自身、権現峠の阿曽原側の道から転落した女性を担ぎに降りて落石が顔を掠って自分の出血を味わいながら?怪我人を背負って帰ったことがありますが、藪の急斜面は浮石の巣なのでそこで行動するには明るさは必須です。(前に、ここで書いたはず?)

残念ですが翌早朝からヘリコプターと応援隊員を増強しての空と地上からの捜索に方針決定されます。

混乱する夕食時の小屋内を捌きながら、無線・電話の中継やら遅く帰って来る隊員の夕食やら忘れられそうになっていた「肩脱臼」に方の対応やら・・・。

小屋内もドタバタしますが、想定外の事案が発生した時の対応力も小屋の実力???

続く

ダイブツと私の長靴が無くなりました!

2023-10-16

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小屋から見上げた紅葉は少し色付きました。

天候不順な日が続いた阿曽原ですが、立て続けに「トレッキングシューズ」のトラブルで、シューズがバラバラ寸前で来られる方がおられました。

登山靴と違い、ビスや結束バンドで補修しようにも全体に軽く薄く作ってあるため手の施し様が無く・・・。

仕方ないので私の長靴と大仏の長靴を続けて貸してあげて、欅平駅に預けておいてもらうことにしました。

忙しくて長靴が回収せれてませんので、次に貸して差し上げるものがありません。

阿曽原に向かわれる方々におかれましては、出発前にシューズ・登山靴の点検を今一度行われてから向かって来られますようにお願いいたします。

※200回目!

昨晩、予約電話を200回ほど掛けて予約が取れた方が目出度く小屋に来られました。

せっかく200回もReダイヤルしてくださったのに、昨日は雨でキャンセル続出でユルユルだったので・・なんだか申し訳なくて・・・。

それでも喜んで泊まっていただいたみたいで、勿体ないことに「40日前予約は公平で良い」「もっと料金上げてもいいのに」みたいなことを話して欅平に向かわれましたが、200回お疲れ様でした、そしてありがとうございました。

いい仕事!

2023-10-15

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お弁当用に、三種類用意しています。

宿泊された方々には、黒部ダム方向については距離とコースタイムの長さから! 欅平方向については、トロッコ列車の混雑具合! のために早出されることをお勧めしております。

朝食を食べてもらおうとしても、今シーズンはコロナ対策で食堂を寝床にする日も多いので早朝から叩き起こして?配膳する訳にもゆきません。

なので、ご希望の方には朝食弁当を作らせてもらい夕食後にお渡ししております。

せめてものサービスとして、お弁当用の「お茶」「白湯」「冷め茶」(ペットボトル用)を、夕食後に受付カウンターで無料でご持参の容器(テルモス・ペットボトル等)に注いで差し上げております。

私の毎日の仕事なのですが、この時に容器を受け取り湯茶を注ぎながら「お腹いっぱいに成りましたか?」「明日も頑張って」とか少しだけですが声掛けさせていただいています。

「オカワリしました」「ブログ読んでます」「助かります」等々返事が返って来るのですが、実は私の小さな楽しみだったりしていたりします。

頑張って歩いて来られた方々に、喜んでもらえるというか喜びを分かち合えるというか、「アリガトウ」を言い合えるって「いい仕事だな~」なんてことを思ってしまうのです。

ちなみに、ペットボトル用の冷め茶をストックしておくために利用している大型のプラスチック容器は、「ブラック・ニ〇カ」ウイスキーのジャンボボトルを利用しておりますが、この空容器を作るのに毎年小屋開けからダイブツと頑張らねばならないのです??

山小屋舐めんな!

2023-10-14

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祖母谷お母さん手作りの辛子味噌を入れた麻婆丼でランチを頂きました。

「ちょっと聞いてよ!」 祖母谷温泉のお母さんから先程電話が入りました。

昨夜泊まった4人グループが、13日と14日に名前を変えて連日予約を入れていて、14日の宿泊をキャンセルするって言って阿曽原に向かって行ったわ!!!

頭に来て文句言ったら「二日分の宿泊費を払います」って言っていたけれど、そんな問題じゃないやろ!腹が立って息子に対応を任せて奥に引っ込んだわ!

ってことでした。

祖母谷温泉は現在定員16人の零細な山小屋ですが、そんなところに4人で予約を入れておいて自分達さえ泊まれたらヨシなのでしょうか?

行楽シーズンの週末です。泊まりに行きたいと思っている方々が大勢いるはずです。

二泊分払うからって、自分達さえよければよいのでしょうか? 

ズルい事してまで、他の人達の楽しみを奪ってもいいわけありません!

我々山小屋は、少しでも多くの方々に公平に楽しんでいただくように頑張っているつもりですが・・・その頑張りを踏み躙ることになるとか考えが及ばないのだろうか???

小屋に届けば玄関先で私に山小屋舐めんな!って説教くらうなんてことを考えもせずに、今頃は「折尾谷」辺りを歩いているのだろうか???

楽しいはずの山歩きのはずが、ズルい事してバレたら楽しくなくなるしバレなくても気まずくないのかなぁ・・・。

※今日もですか???

12時半頃、途切れ途切れの電話が???今日予約の単独男性が、内蔵助谷を登ってしまい引き返して来て、出合いまで戻ってきたけれど阿曽原に向かっても良いか?ってことでしたが・・即刻「黒部ダムに引き返してください」って言っておきました。

そこへ見たことある登山者が黒部ダムからもう届いたので「間違える人が何人も出てるけど?あなたは間違えやすいって思う?」と尋ねたのですが・・・「そんなこと無いと思うけど」って頭を捻るばかりでした。

なんで??そこ行く!??Ⅱ(やっぱり暇な日には)

2023-10-13

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怒りの土石流!?

続き

優しいY小隊長は、警備隊本部と今後の捜索方針を決定するのに連絡調整いあたっているところへ、道迷いされたとおぼしき方の家族から「到着確認」の電話連絡が入り登山計画の詳細・体格や服装等々の情報が入ります。

翌日もヘリコプターがフライト出来るか怪しい天気なので、立山室堂から警備隊員二名が黒部ダム経由で内蔵助谷~真砂沢方面へ歩きで捜索に入ることに決定。

併せて、翌日に阿曽原から下の廊下を黒部ダムに向けて歩く知り合いのガイドさんと黒部ダムから阿曽原に向けて歩いてくる星野カメラマンに連絡を取って「それらしい人物がコースに歩いていないか」を依頼します。

そうこうしているうちに、小屋泊まりとテント泊の予定の男性のコンビの内のテント泊予定の巨漢男性がザーザー降りの雨の中をズブ濡れで19時半頃到着します。

消耗しているし小屋に泊まるよう話しますが、テントを張ると言い張るのでテントを張りに向かわせましたが・・・かなりの巨漢男性は30分ほどして小屋に帰って来て「やっぱり泊めてください」って帰って来て・・・客室はキャンセルで余裕が有ったのですが既に寝ておられる方もおられて今更ドタバタと部屋に入ってもらう訳にもゆかず、食堂に布団を引いてあげることにして、ついでに道迷いの男性が遅くに小屋に届くかもしれないのでその分の布団と毛布も敷いておきます。

翌早朝、真砂沢ロッジから「探している男性かまだ分からないけど、剣沢に架かる吊り橋を撤去に向かった業者さんが対岸で助けを求めている男性を確認した」との連絡が入ります。

本人だと確認が取れて一件落着!なのでしたが・・・。

先に紹介した高熱隧道に入り込んだ女性にしても、この道迷い男性にしても・・・途中で疑問に思わなかったのでしょうか???

〇真っ暗で高温のトンネルにレールが敷かれていても突き進む!

〇下流に向かわなければならないのに上流に向けて歩いて行き、更には間違いを指摘されていたのに突っ込んで行く!

疑問を持てば確かめる! 「自分の身を守る」為の基本中の基本ではないでしょうか?

ちなみに巨漢男性は、連泊して足腰の回復を待ってから欅平に向かわれました。

今シーズンは、大きな事故はまだありませんが・・・毎日ナンダカンダト起きてしまう阿曽原なのでした。

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