集中力を切らさずに!
2023-10-17
昨夕受付がゴチャゴチャし始めたところへ、テント泊予定の男性が「肩を脱臼」して到着しました。
明らかに右肩が下がってしまい痛そうです。常駐している二名の山岳警備隊員が対応して一旦は元に戻ったのですが、少ししたら再度外れてしまいます。
以前にスノーボードで転倒した際に外れてから癖になっている様で、痛がっているのですが鎮痛剤を飲ませるくらいしか出来ずにいるところへ、阿曽原に向かっていたツアーガイドから
「権現峠 のトンネルから仙人谷ダム側で、74歳の男性ツアー客が転落した。下を覗いても確認できず、呼び掛けにも応答がない」
との連絡が小屋に入りました。
権現峠とは、阿曽原と仙人谷ダム間の水平歩道にある短いトンネルですがその前後は樹林帯の様に見えますが急傾斜が数百m続き特に転落地点の仙人谷ダム側は断崖と言ってもよい場所です。
更に隊員が現着した頃には暗くなり雨も降り始めてしまい、転落地点は垂壁と支点も取れず直接降下できるような場所ではなく少し離れた場所から降下できる場所を探してみても、そもそも目標が見えない断崖と藪のミックス斜面を目標もない中下りてみても遭難者が発見される可能性は限りなく小さいと考えられます。
遭難者が目視できる・呼び掛けに反応する・ヘッドライトの明かりが見える等、確認出来ているのならば別ですが、大きな二重遭難の危険を冒してまで下降することはあまりにもリスクが大き過ぎます。
以前私自身、権現峠の阿曽原側の道から転落した女性を担ぎに降りて落石が顔を掠って自分の出血を味わいながら?怪我人を背負って帰ったことがありますが、藪の急斜面は浮石の巣なのでそこで行動するには明るさは必須です。(前に、ここで書いたはず?)
残念ですが翌早朝からヘリコプターと応援隊員を増強しての空と地上からの捜索に方針決定されます。
混乱する夕食時の小屋内を捌きながら、無線・電話の中継やら遅く帰って来る隊員の夕食やら忘れられそうになっていた「肩脱臼」に方の対応やら・・・。
小屋内もドタバタしますが、想定外の事案が発生した時の対応力も小屋の実力???
続く
この記事の URL : http://azohara.niikawa.com/news/2023/10/n20231017b.html