阿曽原温泉小屋

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水平道は異常なし!

2018-09-05

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台風一過、露天風呂には葉っぱが!

先ほど、水平歩道整備の業者さんが立ち寄ってゆきました。

水平歩道は、台風の影響は無く普通に歩けるとの事でした。

ちなみに、折尾谷手前で蜂の巣が壊されていたけど、そちらで壊したの?って・・・?

全然知らないと答えたら、熊が食べたのかもとのこと!

熊も、役に立っているんですね!

朝一で、風呂の様子を見がてら、道の草刈りに行って来ました。 最近の雨で、草は見る見る伸びてしまい歩き辛くて。

一時間余り草刈り機で刈ってから、全身にくっ付いた草の破片まみれの身体を風呂に入ってサッパリして!(一人なので電話番が居なくて、あまり長い間小屋を空けられません)

浴槽の中には、台風で飛ばされて来た落ち葉がイッパイ、浴槽のお湯を交換して帰って来ました。 途中の藪にはススキの穂が広がっているし、飛んでいる赤とんぼも知らない間に紅く色が変わっていました。

まだまだ暑いけど、秋が近づいて来ています。

ちなみに仙人温泉上部の雪渓は、台風前が少し状態が悪かったらしいのですが、台風で却って安定したのでないかと想像しています。

仙人温泉源泉下の、丸太橋の架橋は少しお待ちください。 強い雨が降らなければ、適当な場所で飛び石で渡れるはずですから。

普通に歩いて頂ければ、事故は無いのだけれども・・・。

2018-09-05

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阿曽原谷のブロックは、消滅寸前! 下の廊下も融けているかと。

今回の台風は、前回より若干風が強く吹きましたが、テレビが受信出来ていたと言う事は雨もさほど強くはなかったのでは?お陰様で小屋への直接の被害は有りませんでした。

(雨雲レーダーを見ていたら、見事に後立山連峰が壁になっていた様な・・・、稜線は大変だったのでは?)

先に台風通過時に、80m転落して助かった話を書きました。今回はその反対の話しです。(気分が悪くなる方が有るかも知れませんが、救助現場の現実です。ご容赦を!)

ある快晴の朝、朝食を済ませて10人位のグループが欅平に向けて出発しました。

直ぐに、キャンプ場の阿曽原谷の入り口で大声を出している女性が???その仕草からは、えらく慌てた様子が見て取れました。 「なんか有ったかな?」大仏と長靴を履いて急いで行ってみると、「グループの一人が、本谷の橋の手前の道から阿曽原谷に転落した」とのこと。

落ちるような場所???大した高さは無いはずだけど?と思いつつ、すぐ先の本谷まで進むとリーダーの男性が道からザイルを使って川底に崖を降りようとしていました。直下6~7mの川底には、顔を水につけた状態で遭難者が見えます。 咄嗟にリーダーに「このまま降りては遭難者に落石を落とすから止めて!」と伝えて、我々は対岸(左岸)の斜面から藪を伝って下りました。

遭難者は60代の女性、流れの中に顔面が半分ぐらい浸かっていました。直ぐに引き上げて、顔を見たところ瞳孔が既に開いており、呼び掛けにも反応なく脈も呼吸もなく危機的な状態でした。

大仏と二人で、その場で蘇生術を施します。私がマウストゥマウスで、沢水で冷えて冷たくなっている口に直接息を吹き込み、大仏が心臓マッサージを交互に施しますが蘇生しません。

20分位したところで先のリーダーが降りて来てくれたので、心臓マッサージは出来るか聴くと「出来る」とのことなので大仏と代ってもらい、大仏には小屋に帰って警察・消防に状況を連絡してヘリコプターの手配等を頼む事に。

リーダーに心臓マッサージをお願いした途端、遭難者の口から朝食の御飯・味噌汁・オカズが吐しゃ物となって噴き出して来て・・・。  遭難者が女性だったので遠慮されたのか、心臓を押えずに「ミゾオチ」を押してしまったのです。

当時は今の様に、口と口が直接触れない逆流止め弁付の用具も無く・・・。そのまま息を吹き込むことなど出来ないし、止めようかとも考えたのですが、40分後に蘇生した事例も有るし、見上げると同行グループの仲間達が拝んでこちらを見ているし・・・。

意を決して、遭難者の顔を横にして口から吐しゃ物を掻き出して、私が来ていたポロシャッを脱いで口に当てて蘇生を続けたのですが、息を吹き返すことは有りませんでした。

※教訓!(あたりまえの事ばかりです)

●.怖くない所でも気を抜かずに、丸太に気を付けて山側の手摺番線に手を添えて。(ほとんどの事故は、なんでここで落ちたの?と思ってしまう場所です)

●.見渡せば簡単にアプローチできるルートが有ったし、遭難者の真上から降りるようなことは× まず落ち着いて

●.今目の前の最優先課題は何か?訓練で習った事を、現場に合わせた柔軟な対応で(経験が無いと、舞い上がってしまうからこそ落ち着いて

私は怖くはないんですよ、でも基本は押えてもらわないと!

2018-09-04

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登山道の階段の改修資材! 重いけど、丈夫で長持ちです。

最近このページで、遭難事故・黒部の険しさ厳しさを書くようにしています。

決して脅そうとか怖がらそうとかの意図は無いので「山に入ると言う事」は、

間違ったことをすれば事故に遭遇するリスクが大きくなり、それを救助する者も危険な目に遭わせる事になる!

と、言う事を再認識してもらいたくて。

遭難事故には原因が必ずあって、今まで自分が経験してきた事や見てきた事実等を伝える事で、防げる事故がどれだけあった事だろうか、少しでも役立ててもらえればとの思いからです。

我々は、遭難者・同行者・家族の方々の、沢山の泣き顔を見てその度に心を痛めてきました。山を楽しんで帰ってもらえる為に、「今、自分達が出来る事!」登山道整備・危険な災害復旧等は、分かってもらい易いのでは? 利益が出ずに、入札不良になるような工事を「シャーナイな~」って引き受けるのもそのためです。

このホームページも、興味を持って読んでもらえれば事故防止に役立つのではと書いております。

ただし、それもこれも読んでおられる方々が、基本的な事を理解して頂いている事が前提となります。

●.地図の見方を知っているのだろうか? 

●.事前にコースの概略を頭に入れているのだろうか? 

●.自分の実力が分かったうえで、入山日数・コースの高低差等を考慮して計画立てているの? 

等々、首を傾げたくなる質問を受けたり、ルート間違い等のトラブルが毎年あります。(内蔵助谷の出合・仙人谷ダム等の分岐点で、間違いに気づかず別のルートに進んでしまう等々)

山に入ると言う事は、計画を立てる段階から始まっているんですから、このページを読んだだけでは分かるはずも有りません。

人任せにしないで、分からない人はリーダーに聞くなり、動植物・地質・気候・歴史等の勉強を少ししてから入ると、今まで見えなかった山の楽しさも見えて来るし、安全に歩けると思うのですが・・・。

※更には!

もう一つ言うならば、このページは富山県が検討している「立山・黒部」世界ブランド化計画の中に、冬期間のアルペンルートの利用推進が検討項目に上げられている事への危惧からです。

例えば、先のページで12月の黒部ダム下流での救助の話を書きましたが、厳冬期に観光客に来てもらえるエリアとは到底思えません!(細かい事は、暇な時に小屋に来てくれればお話しします)

当ホームページのトップ下に、昨年富山県に堤出した意見書が閲覧できるようにしてありますので、興味のある方は読んで考えてみて下さい。

下の廊下情報!まだまだ整備が必要です。

2018-09-03

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防腐処理しました。

先ほど、大仏から連絡が入りました。

先週の前線停滞による大雨により、工事は進んでいません。

今日、様子を見て来たら「新越」の残雪が小さくなって不安定に残っているだけで「大へつり」の残雪は無くなっていたとの事です。

●.明日も台風の影響で現場には出れない。

●.大ヘツリの高巻梯子は全壊でいちから作らなければならない。

●.下流側の作業も進んでいない。

等の理由から、15日からの連休に通過するのは無理!との結論です。

通過可能となりましたら、直ぐに情報を流しますのでお待ちください。

※塗り立てです。

昨日の午後から、先日作った玄関の仮設ベンチに防腐・防虫対策にクレオソートを塗りました。 以前から有る古いベンチに、地蜂が穴をあけて巣作りしているのを見付けたので対策しないと危険です!

乾くまでは、べた付くし臭いがきついのですが、7日までには乾くだろうし誰も来ないだろうとの予測で塗布しましたが、一人だけテントを担いで来られました。

自分に都合の良い予測は???

今年の営業は10月28日まで!

2018-09-03

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阿曽原谷の滝を正面から。

本年の営業最終日は、10月28日(日)です。

11月3日の文化の日まで、天気が安定する予報でも最終日は変更いたしません!

小屋を引き継いだ当時は、しばらく文化の日まで営業したことが有ります。

●.日照時間が短くなり、天候によっては午後4時半には真っ暗になる。

●.晩秋になっても黒部ダムの放水が有る年には、ダム直下の橋・登山道・岩壁等が凍りつく事がある。

●.紅葉が終わって、落ち葉が道に積もって歩き辛くなる。

等の理由からです。

もったいない気もしますが、小屋を空けているばっかりに登山者を危ない目に遭わせるわけにはゆきません。

営業終了後は、テント利用の方のエリアになりますので注意してください。(風呂・飲料はギリギリまで使えるようにしますが確認してから来てください)

※下の廊下が凍るという事は!

警察官を退職前の12月頭に、トロリーバス営業最終日に下の廊下に写真撮影に行った男性が帰って来ないとの通報が。

私はたまたま富山市内に出ていたので、空港に向かい民間ヘリコプターで捜索に向かいました。

パイロットが、偶然にも高校山岳部の先輩で本当に丁寧に捜索して頂き、新雪が積もり登山道に薄っすら残った踏み跡と曲がり角で滑落痕を見付ける事が出来ました。

黒部川に転落した可能性が高く成ったことで、翌日体制を整えて、関電には黒部ダムの放水を止めてもらったうえで、凍った上に新雪が積もって歩き辛いなかを捜索に下がると、水の引いた川の中に横たわる遺体を発見しました。(前日のヘリからの捜索では、水没していたと推察されます)

代わる代わる背負って、黒部ダムを目指して後1時間余りの地点まで来たところで「アッ!」って叫び声が・・・。声のした後ろを見ると、そこには頬から血を流した小隊長(後の隊長)が・・・、「顔に突然硬いものが当った」とのことでした。

足元には「氷」がバラバラに砕けていて、見上げた岩壁には大きなツララ・氷魂が、そこかしこから我々を狙っている様に見えます。 昼前になって、気温が上がって解け出した氷が落下してきたものだと直ぐに分かりました。

全員慌てて岩壁から離れて、その後は足元の悪さと上空を気にしながら黒部ダムまで帰ったのでした。

ちなみに、この2か月前には「剣大滝」直下で水流に飲まれた遭難者を収容に!

1ヶ月後には、大仏と早月小屋に詰めていて大仏の後輩の遭難救助にあたったり!

阿曽原に入る直前に、立て続けに今の私に関係する現場にあたる事になるとは「縁」?の様なものを感じます。

今年は「P・マッカートニー」10月30日の東京ドーム公演が小屋締めと重なり諦める羽目に、チケット取れたのに流してしまい・・・残念!縁が有りませんでした。 

ちなみに前回公演の時、通路を挟んだ隣の席の一角にライブが始まっても立ち上がらない人達が???席に着いた時からどこかで見たような・・・?ライブが終わって帰りがけに思い出して、前○○大臣だっ!(現○○大臣) 偉くなると、ライブで立つ事も出来なくなるとは(大臣の後ろの席に、黒いスーツのSPらしい人が二人!)可哀想におもえました。

セーフ!

2018-09-02

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仙人谷下部の丸太橋には流木が・・・。

天候が回復したので、仙人谷下部の丸太橋の様子を見に行って来ました。

大雨の度に、流されたり壊されたりと手間の掛かる奴です。数年前の秋の大雨では、流されると言うより「粉々に粉砕」との表現がピッタリの壊され方でした。その日は丁度NHKの海外向けの登山番組の撮影班が通過出来ず、一緒に仮設の橋を作って通過して行ったのでした。

幸い今回は、流木が引っかかっているだけで壊れてはいませんでしたが、丸太橋にはかなりのテンションが掛かっていたのでしょう、手すりロープを流木から外してみたらダラリと弛んでしまいました。

写真には写っていませんが、各橋脚にも流木がかなり引っ掛かっていました。

橋の上には川砂が残っており、越流していたのが分かります。

このままでは、4日に接近する台風が来た時に流されかねません。度重なる流失と腐食で、6年前に補充した予備の丸太が無くなっており、今月末にヘリコプターで丸太の補充計画をしているのですが、それまでは現在の丸太橋に頑張ってもらわないと。

とは言ってはみたモノの・・・、橋脚の流木はなんとか私一人で除けられても写真の流木は???チェンソーは下の廊下の工事現場に行っていて、刃渡り24cmの小さな手ノコ一丁で切らねばなりません。

丸太橋の上に伸びている部分は、足場が良い・細い・裂けているから作業も簡単なのですが、そこを切っても意味が有りません。

橋の下に潜り込んで屈み込みながら力の入らない体制で、足場の悪い流れの中の岩に足を踏ん張って、ノコギリを挽き始めたのです。

流木は反っていて、切り口が開くに連れてテンションが掛かり出すと、捻じれながら開いてゆく側と閉ってゆく側がどうしても出来てしまいノコギリ刃が潰されて動かなくなるし、元々黒部の山に育つ樹木は年輪が混んでいて硬いし、おまけに生木ときたもんです。

今日中に終わらせないと、明日はエンジェルスの大谷投手の先発登板を見なければならないし、頑張るしかありません!

全ての作業が終わったのが3時間後でしたが、2日前から一人で留守番していて宿泊者もおらず御飯も炊かずインスタントラーメン・アルコール・ツマミの生活だったので、「シャリバテ」ヘトヘトになって小屋に帰って来ました。

みなさん、ちゃんと御飯を食べてから行動しましょう!

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