三代目「つるぎ」デカいです!(エンジン音が逞しいんです)
台風で、今日も明日も宿泊者が無くチョー暇なので昔話を!
今から10年以上前の話しですが、雪の少ない年で八月のお盆の時期には十字峡の上流まで整備が進んでいた年です。
剣沢を朝出発して、昼過ぎには阿曽原まで届いた大変足の速い方がキャンプに来られました。
色々話している内に、「十字峡まで行けるのなら、明日行って来ます」と言われて翌朝出発されました。
夕方になってもその方は帰って来ず・・・? その日は、夜になってから仙人ダムまで様子を見に行ったのですが手掛りなし。
翌早朝から、小屋のスタッフと下の廊下へ捜索に向かい 十字峡 を過ぎて水を被る沢を過ぎて10分ほどの場所で、歩道の下の岩壁に行動食のパッケージ様の物が引っ掛かっているのに気付きました。よく観察すると、30m位下の川の流れに小さな岩尾根が伸びて、流れが巻き込む下流内側の深みに沈んでいる人間を見付けました。
転落したであろう歩道上には、新しく剥離した赤茶けた岩屑が散らばっており、推察するに上流から進行して来て(たぶん走って?)岩尾根を巻き込む際に回り込まなければ見えない岩屑に足を置いてスリップしたのではないかと。(あくまでも推察ですが、ゆっくり歩いていれば防げたかもしれません)
下流に回って河原まで降りて、遭難者にアプローチしようにも流れが強くて遭難者が沈んでいる深みには近づけないので、無線で警察経由で黒部ダムの観光放水を中断してもらう事にしました。
一時間半位で、水位が下がり水流も弱くなってきたので、胸まで水に浸かって遭難者の沈む深みで腕を引っ張って浅瀬まで行こうとしました。
その時です、ズボッ!ズボッ! 私の周りの水面に水柱が二つ三つと・・・! 落石かっ???上を見上げると、歩道上から歩道整備の作業員が道に溜まった転石を取り除いているのでした。
「オーィ!」って叫んでも、流れの音が大きくて声が届いていそうにみえないし、まさか川に私が居るなどとは思いもしないのでしょう次々と石を放り投げて進んで行くのでした。真上から進んだ先でも岩壁に当った跳弾が向って来たりで・・・その間の私は、ハラハラしながら爆撃の過ぎ去るまで「ヤメロ―ッ!」と叫び続けるしかなかったのでした。
歩道上に見張り員を配置すべきでしたが、あの当時は警備隊の配置が無く小屋からスタッフと二人で現場に向かったのです。 取りあえず捜索して、見付けたら警備隊が来てくれるだろうなんて事を考えていましたが、目の前で見つけたら「可哀想で、早く水から引き上げてあげないと」ってのが人情です。
しばらくして、県警ヘリ「つるぎ」が河原の中の大岩の上にギリギリのホバーリングしてくれて、遺体を収容して帰ってくれました。 天気が悪ければ歩道まで引き上げてから、仙人谷ダムまで担がねばならないので大助かりです!
※まとめると!
整備が終了していないと言う事は、歩道に転石が残っていると言う事です。もちろん、整備終了後でも転石が有る事が有りますが、整備前は全線に残っていてもおかしくない訳ですから歩行には格段の注意が必要になります。
(痛い話し・怖い話しバッカリですが、脅している訳ではありません。あくまでも事故防止の参考になればと書いています)