阿曽原温泉小屋

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管理はどうするの?

2019-03-03

写真

祖母谷川に掛かる巨大なスノーブリッジ!(これだけの雪崩が出ると言う事は・・・)

欅平~祖母谷温泉までは、2.4kmの距離です。砂防堰堤工事が始まるまでは登山道だったそうで、奥鐘橋の上から見下ろすと当時の吊り橋の柱等設備が、河原縁に残っているのが見えますが、この橋は中部山岳国立公園制定時の記念切手のモデルではなかったかと?

重機・ダンプカー等が通れる作業用道路と鉄橋(奥鐘橋等)が作られて、登山道は廃道となり登山者・観光客も作業道路と鉄橋を利用することになり道路管理は国交省が担当していました。

2008年に砂防工事が終了して国交省が撤収、翌年から管理者不在となり整備主体が決まらず登山者以外は通行止めとなってしまいました。

道路が整備されないと、不整地を歩き慣れていない観光客には薦める事も出来ず、なにより源泉の管理には車で資機材を運んだりしなくてはならず・・・欅平まで温泉を送る事もままなりません。

地元関係者で対応を協議して、富山県・黒部市・黒部峡谷鉄道・欅平地区の山小屋で予算を出し合って「管理組合」を作って、山腹点検・除雪・草刈り・ガードレールの設置撤去等々を欅平地区の山小屋と我々で維持管理をすることになりました。 (なぜか別地区の私が副組合長を仰せつかっていますが、こんな管理方法は他に無いはず。予算が無いんだから自分で出来る事は自分で!

こんな面倒な事に成ったかと言えば、2003年8月に奥入瀬渓谷で遊歩道にブナの枯れ枝(長さ7m直径約20cm)が斜面から落ちて来て、観光客にぶつかって重度障害を負ってしまう不幸な事故が発生しました。

国と青森県が管理責任を問われて、最高裁まで争った末に管理責任が認められて2億円の支払いを命じられてしまいました。(現実問題として、雪解け・強風毎に歩道上部の山腹全体を調べられないのだけど・・・)

他にも「管理責任」を問われて訴訟に至る案件が・・・。(役所にしてみれば、やってられませんよね。 ちなみに、奥鐘橋を渡った先には「この先危険!」みたいな看板が多いのはそのためです)

自然公園を楽しんで貰うには山の中の管理主体・管理方法、そして入る側(特に観光客)への「街の公園とは違い危険が伴うエリアである」との周知活動等々、制度変更を含めて真剣に考えてゆかねばならないかと!

外国人観光客が増えたからって、はっきりしないまま受け入れればいいというモノではないかと考えます。(文化が違うので、自然への接し方がマチマチの様な)

古い話しですが、雑誌「WEDGE」2010年8月号に取材を受けて2ページの記事が載っています!

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