阿曽原温泉小屋

k

やっと快晴になったけど・・・。

2021-03-29

写真

立山町上宮より

三月九日、入山して初めての快晴の朝を迎えました。早朝から「つるぎ」が「池ノ谷右股」の捜索に当たり並行して「スパーピューマ」が我々を配置転換するために飛来してくれました。

快晴とはいえ「三ノ窓」上空はそれなりの強風が吹いているはずなのに、我々の真上でピタッとフォバーリングしながら高度を下げて、スライドドアから吊り上げホイストを出してワイヤーを降ろしてくれます。

昨日は、吹き上げる自然の強風で立つことが出来なかったのですが・・・今度は「スパーピューマ」の高度が下がって来るに連れて、強烈なダウンウオッシュで身体が押さえつけられて思う様に動けなくなります。

このページで以前、冬山でのヘリコプターのダウンウオッシュで「顔面凍傷」「金属製時計バンドが冷やされて腕が千切れるほど痛んだ」話を書きましたが、氷点下時での強烈な風はそれほど脅威なのです。

ホイストワイヤー先のフックに、ボディハーネスのカラビナを連結させて吊り上げてもらい乗員の方に機内に引き込んでもらって硬い床の上に尻が付いて一安心です。(乗員の方々は寒い上空で機体から身体を乗り出してワイヤー操作してくれていますが、万が一機体がバランスを崩すなんてことを考えると恐ろしくなります・・・信頼関係が出来ているチームってことです!)

次々と訓練隊員が吊り上げられて、早月小屋に降ろされて捜索態勢を取ることになりますが、上空から見える「池ノ谷右股」は真っ白で事故発生時の雪崩から二日間で案外雪が積もってしまい、あの広く真っ白な谷の中に鍛冶先輩がいるのだと思うと込み上げてくるものが・・・。

上空からの「つるぎ」の捜索は続けられていますが、事故発生地点の「カニのハサミ」から「池ノ谷右股」までの急斜面には「人影を見つけることは出来ない」との悔しい無線通話が繰り返し聞こえて来るばかりでした。

アーカイブ

最近の記事