阿曽原温泉小屋

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「ブーッ!」???

2020-07-11

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虹の向こうには・・・。

今日は、7月11日!

平成7年7月11日は、洪水被害の発生した日でした。(災害とその後の復旧については、このページでいろいろ書いてきました)

平成8年7月11日は、私の妹が胃癌で33歳の若さで亡くなった日です。

当時、アメリカ人と結婚してニューヨーク州の片田舎?に住んでいたのですが、5月に従妹の結婚式で帰国して日本食を楽しんでいたのですが「食べたいけど、すぐにお腹がいっぱいになる」って言うので、一応検査を受けてみたら「余命2ヶ月!」いきなり末期癌宣告されてキッチリ2ヶ月後に亡くなったのです。(私は英語がダメですが、義兄弟は「マイケル」って言うんだぜぃ) 

7月11日の朝、私は帰宅するついでに阿曽原から欅平に向けて水平道を歩いて整備前の状況を確認するために一人で下山したのですが、途中で倒木に頭をぶつけて出血してしまいました。

出血が治まったところで歩き出すと、志合谷の先で大きな落石が道を塞いでいたのでラクビーのスクラム?相撲の押し?みたいに全身に力を込めて岩を押したのですが、直後に「ブーッ!」って感じで頭部の傷口から出血してしまい・・・。(谷岡ヤスジの漫画 「鼻血ブー」 って知らないか・・・?)

岩を動かすのを諦めて早目のトロッコ列車で自宅したところで、妹が危篤と連絡が入って病院に駆け付けた直後に亡くなってしまったのでした。

「今は落石なんか構っていないで、早く帰って来てよ!」って思いが「ブーッ!」って荒技に・・・不思議体験?な7月11日でした。

平成12年7月11日は、3月に発生した大日岳稜線での雪庇崩落に巻き込まれて遭難した研修生が発見された日。(5月から継続して捜索に当たっていた話は、前に書いてあるはず)

それ以降、大した事件は起きていませんが?「7月11日!」記憶に残る日になっています。

今年は、これ以上悪い事が起きませぬように!

もう一つ・二つ、お知らせ!

2020-07-10

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昨日の夕暮れ!

1.もう一つ目

今度は映画のお知らせを!

テレビドキュメンタリー「沈黙の山」の話を随分して来ましたが、製作の中心だった元チューリップテレビ「五百旗頭」君なのですが、

今度は映画監督として、富山市議会議員の政務活動費の不正受給問題を取り上げて

「はりぼて」

って言う映画を作ったそうです。

富山県民としては、恥ずかしいばかりの内容なのですが・・・???

8月16日より、全国公開が決まったとのことですので、興味のある方は見てやってください。

今のところ富山県内での公開は・・・さすがに未定みたいですけど・・・。

2.二つ目

今度はテレビ!

以前、阿曽原に来て頑張っていったNHK「ジオジャパン」の撮影クルーが製作した、NHKスペシャル「ジオ・ジャパン2」の放送をお知らせしましたが、大好評だったらしく!

今度はロケ映像だけで構成する「ドキュメント版」が放送されるそうです。 (NHKスペシャルでは紹介しきれなかったシーンも随所に登場するらしい)

番組名:「ドキュメント 列島誕生ジオ・ジャパン」

●第1集 大海原への旅立ち~奇跡の島々が生まれた~

本放送:7/18(土)午後7:30-8:59(BS4K)   再放送1:7/19(日)午後11:15-翌0:44(BS4K)   再放送2:8/22(土)午後3:50-5:19(BS4K)

  ・大陸からの分裂  ・西日本での多発カルデラ噴火  ・火山島の連続衝突  ・東西圧縮 をまとめた内容。

●第2集 絶景への路~故郷の山河が生まれた~

本放送:7/25(土)午後7:30-8:59(BS4K)   再放送1:7/26(日)午後11:15-翌0:44(BS4K)   再放送2:8/29(土)午後3:50-5:19(BS4K)

  ・北アルプスの誕生  ・関東平野の誕生  ・瀬戸内海の誕生  ・火山王国・九州の誕生 をまとめた内容。

とのことです。

お知らせ!

2020-07-10

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『剱人 剱に魅せられた男達<増補文庫版>』星野秀樹著 山と渓谷社刊 

昨日、山と渓谷社さんから届いた単行本「剱人」です。

同社の雑誌「山と渓谷」「ワンダーフォーゲル」で紹介された特集?連載?記事を再編・増補されたものが、7月13日発売になるそうです。

最終稿「番外編3 黒部の道直し」207P~224Pで、我々の活動が紹介されています。

秋に阿曽原小屋に泊まられた方には、夕食時に混雑時の協力をお願いをする際に雑誌「ワンダーフォーゲル」の見開き写真(グラビア?)を見てもらって、大仏が下の廊下で「道直し」で長い丸太でハシゴを作っている場面を紹介して

「下の廊下を歩いてこられた方々は、丸太ハシゴ・桟道を怖い思いで通って来られたはずです」

「そのハシゴ作っている時の写真なんですが、この大写しになっているのが阿曽原の番頭さんの大仏です。彼らの頑張りが無いと下の廊下が終わらないし、チョコチョコ情報を出せているのも道直しの最前線で汗を流してくれているからです」

「大仏は下の廊下の整備が終わると小屋が忙しくなるので、帰って来て皆さんの食べてるカレーを作ってくれています。 美味しいでしょ・・・!腹いっぱい食べて明日も元気に歩いて行ってくださーい!」(若干、脅しが入っていますが???)

みたいな説明を聴いて頂いているはずです。

著者の星野君が別の取材に来ていた時に、説明を聴いたお客さんが拍手喝采してくれたのを見て星野君が「ウルウル?」になっていたことが有りました。

自分の記事で、登山者に盛り上がってもらえたのが余程嬉しかったみたいでした。(星野秀樹は、素直な良い男なのです!)

そのワンダーフォーゲルの記事を、ブラッシュアップ?されたものが「剱人」に書かれています。(くすぐったく成る内容なのですが・・・)

他にも、山小屋仲間・大先輩・なじみのガイド等々盛り沢山の内容になっていますので、これから剱岳を目指す方も既に登った方も是非とも!

ひと時の晴れ間。

2020-07-09

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昨日の夕暮れ。

今日から、阿曽原に大仏と入ろうかと考えていたのですが・・・。

どんな仕事もそうですが、予定通りに行かないのを回すのがリダー?の役目!(阿曽原はリダーが、かなり適当なので・・・サブがしっかりしているのです!)

うまく回らないといっても、他の山小屋も「コロナ対策」「ヘリコプターの確保」「群発地震」等など阿曽原よりも大変な苦労を強いられている話が伝わって来ています。

頑張らねば!

突入!(目先のことではなく!)

2020-07-09

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突入時は、横坑直下まで濁流がゴーゴーと!

「新黒二発電所」の横坑真上辺りまで、藪斜面にザイルを張り込みながら関電職員をサポートしながらトラバースして行きます。

登山道が無く視界の効かない「藪漕ぎ」「雪山」は登りに使うとルートを探しながら歩ける場所を選べるのですが、下りでは方向を間違うととんでもない壁や巨岩に行き当たったときに登り返せないことが有ります。(何度も痛い目・怖い目に遭ってきました!登りは間違っても、ほぼ引き返すことが出来ます)

対岸の監視役メンバーに無線で連絡を取りますが、向こうからは藪が濃くて我々が見えない様で、ヘッドランプ照射・藪を揺する・最後は発煙筒を焚いて等しながら、こちらの進むルートを誘導してもらいます。

そんなことしなくても、河原まで下りやすいルートで降りて河原から横坑にアプローチすればと思われるかもしれませんが、この日もまだ水が引いておらず川幅一杯の濁流が横坑直下を勢いよく流れていて、間違って下ってしまい登り返せなくなったら致命傷なので慎重になります。(洪水時には横坑まで水位が上がり発電所内に流れ込んだ?)

何度も言いますが、若く元気には見えますがクライミング初心者でボディハーネスを付けたこともカラビナを使ったこともない様な人間を、いきなり獣エリアに連れて行く訳ですから慎重の上にも慎重になります。

先行してザイルを張り込んでルート工作して、初心者さんが頼れるようにしてアクシデントでそのザイルを手放しても落下しない様に別途ザイルを初心者さんのハーネスに繋いで、そのザイルを後方で確保しながら進むので時間が掛かりましたが、ミッションインポッシブル?のごとく無事に発電所への突入に成功して内部確認任務を終わらせることが出来たのでした。

先のページで書きましたが黒部は生きています。

黒部川流域の山腹崩壊は進んでおり、ダム・発電所・砂防堰堤等々が作られていますが災害に繰り返し見舞われて、その都度「復旧・復興」して来ましたが運ばれてくる土砂が河床を高くして、ダムを埋めてしまい湛水能力を無くしてしまいます。

「作ればそれでいい!」みたいな話ではなく、この先何万年もの時間を掛けて黒部がナダラカニなるまで人間は対応して行くことになるのでしょうか。

今回の豪雨被害を見ていると、この先の災害への備えについて人間の時間ではなく自然界の時間に合わせて考えてゆく空気が生まれてくれればと、黒部で生まれ育って被災して復旧作業にチョコッと当たって来た者として思うのですが。

やっぱり「黒部は生きています」

2020-07-08

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宇奈月温泉街の対岸が崩れていました。

先ほど宇奈月まで行って来たらビックリ! 温泉街対岸の山腹が、一部崩れていました。

かなりの急斜面が発生源ですが、樹木の生育具合を見れば数十年も安定していた山だったと想像できるのですが・・・。

写真では解り辛いですが、川床の一段上には宇奈月ダムに向かう自動車道路が走っていて、崩落した土砂は道路がトンネルになり始めた斜面を走って黒部川まで落ちてきています。(トンネル入り口になる、スノーシェッド部分の柱が並んでいるのが見えます)

規模としては大きなものではありませんが、少しでも上流側に逸れて崩れてきていたら道路は通行止めになっていたことでしょう。

宇奈月でこれなら・・・奥山にある不帰谷・東谷・小黒部谷なんかも崩れているのだろうか?

急峻な黒部の山は、我々のスケールでは測れないダイナミックな動きで形を変えているのだと思い知らされます。

降水量は被災地に比べると少なかったけど、流域が広く・急峻で・崩壊地が沢山ある黒部川ですが、人が住む下流域で被害が少ないのは治水・治山・ダム管理等々のお陰なのだと思うのですが?

今回の災害も、数十年前にあった熊本県内のダム建設計画を白紙撤回させなかったら・・・との話がワイドショーで出ていましたが・・・。

毎年の様に災害に見舞われてしまう現実を踏まえて、「一段高い所から、広く見て考えて」その地域その地域に合わせた災害対策を進めてもらいたいものです。

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