阿曽原温泉小屋

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冷や汗もの!Ⅲ(資質)

2019-03-02

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下の廊下、十字峡上流の地滑り地点!(毎年、丸太桟道で歩ける様に整備されます)

前ページから!

当たり前ですが、何時も気を抜く事なく感覚を研ぎ澄ませていなければならないってことです。

例えば、交通事故の加害者に付けられる「業務上過失」の場合に、漫然ととの文言で事件送致されるのと同じで、生きてゆくには必須というか普段は誰もが出来ているはずですが、疲れや考え事したりで集中力を欠いてしまい・・・。(ボーッと生きてんじゃねーよ!ってことです) 

まずは、何が普通なのか!って言うか、山に入ったら「なんでだろう?」って興味を持って考えて歩いて頂けたら、この感覚は自ずと身に付くのではないかと。

一般登山道を歩く時は、作業とは違い危険度は大きく下がりますが基本は同じです。

気を抜かずに周りに気配りしながら、

・構造物(梯子・ロープ等)を使う前には、引っ張ったり揺すって確かめてみる。

・斜面や樹木に新しい傷が無いか?新しいものが有れば、最近落石が走った後かも!(草・葉の潰れた臭いや泥の臭いも同じ)

・岩盤の色の違い。(白っぽいのは水が流れるルート=落石の通り道だから長く留まらない)

等々に配意しながら歩いて頂ければ事故防止にもなり、新たな山の魅力を見付ける事に繋がるのではないでしょうか!

(例えば、何で祖母谷が出来たのか?何で山菜が採れる場所と採れない場所が有るのか?とか)

冷や汗もの!(危険予知能力?)Ⅱ

2019-03-01

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山腹調査中!(黒薙温泉大露天風呂上部)

大仏達は、作業中に斜面から細かな砂・石がポロポロ・サラサラと噴き出すように落ち始めたので???

なんかおかしい・・・? 気持ち悪いからと、崩壊面より下流側の尾根状の灌木帯に全員異動して休憩したところで、さっきまで作業していた崩壊面を一回り大きくしたエリアで大音響と地響きと共に地滑りが発生したとのことでした。

元々の崩壊面上部の灌木帯も流されてしまったので、懸垂下降やザックをデポするために利用していた立木は斜面と一緒に流されてしまっていました。

午前中に私が作業をするためにザイルを掛けていた立木も、直径20㎝余りのシッカリした広葉樹で根も広く張っていたのですが跡形どころか斜面自体が無くなって・・・。ダイブツは、その立木に自分のザックをスリングで固定していたそうですが、個人装備・行動食等々は哀れ祖母谷川の藻くずと成ってしまったのです。

河原に堆積した岩屑の中には全くザックは見えず、降りて探しに行く気に成らないほど大量の岩屑(道路下部の斜面も壊しながら行ったので、10tダンプ5杯以上は軽く有ったかと)が堆積して、もし人間が巻き込まれていたら???ミンチになっていたのではないかと思うと全身から冷や汗が・・・!(ちなみに落ち着いてから汗を拭うと、土煙で肌と鼻の孔は真っ黒に)

危険予知能力?とまでは言いませんが、何か違う!と感じたから事前に非難することが出来たのです。

私自身、午前中その斜面で作業に当っていましたが、そのような兆候は無かったし安心して立木を利用していたのです。時間が経ったら、状態も変わってゆくことも有るって勉強に成りました。

(先の論文で、この辺りの斜面の特性で地滑りが二次的に発生した理屈が分かりました。事前に山を見る目が養われたような気がします)

続く!

冷や汗もの!(危険予知能力?)

2019-02-28

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日本地すべり学会誌 第56巻 第1号 別刷

先日、日本地すべり学会誌が送られて来ました。

2012年4月末に欅平~祖母谷温泉間で発生した、地すべりの復旧作業を我々で行った際に、柏木・日野両氏が同行して調査してくれたものを論文?にしたものです。

林道上部、高さ29m・幅18mの斜面が地滑りを起こして林道ごと祖母谷川まで押し流してしまい、その区間の道路はは欠落してしまいました。

崩壊面の基部の土砂を均してロープを張り込んで、なんとか人間は行き来が出来るものの車の往来などは及びもつかない状態で、このままでは祖母谷の源泉を利用している欅平周辺の温泉施設・足湯等へ温泉が送れません。 当然、祖母谷温泉までお客さんに安全に行ってもらう事も出来ません。

取りあえず、崩壊面に残っている浮き石・浮き岩等を除けてからでないと復旧作業も出来ないので、崩壊面上部の立木を支点にしてロ―プで懸垂下降しながら作業を始めました。

午後一に、私が現場の下流側林道のカーブを回り込んだところで見張りに当っていた時のことです。

突然、「ゴゴゴ―ッ」っと大音響と地響きが響き渡り、作業をしているはずの崩壊面の辺りが土煙が立ち込めて崩壊面は全く見えません。

50m余り下の谷底を覗いてみると、岩と土砂と樹木が混ぜこぜになって土煙と共に崩れ落ちています。

「ダイブツーッ!ナガイーッ!トーシ!」って、大声で呼びかけてみますが返事が・・・。 崩落音が治まった頃、崩壊面上部から「オーイ」ってコールが返って来て、幸いみんな難を逃れて無事が確認されたのでした。

続く!

北アルプス山小屋協会総会

2019-02-22

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松本市で開催されました。

毎年恒例の「北アルプス山小屋協会」総会に出席して来ました。

近年高騰している「ヘリコプターの物輸料金」、山小屋従業員・アルバイト確保の悩み・キャンプ場の狭さ・外国人登山者対応等々、どの山域も問題山積なのが良く分かりました。

阿曽原も他人事では有りませんが、取りあえず男女のバイトが決まっているのはありがたい事です。 (先日、電話で応募してきた九州の女子へ! お気軽にアルバイトに来てもらう約束したけど・・・。そう言えば、何処の誰とも聞いていなかったので、このページを読んだら連絡してください!)

速報‼ 立山黒部アルペンルートのロープウェイ構想についてⅣ

2019-02-19

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晴天です!

昨日、来年度の富山県予算案を発表いたしました。

懸案事項であった、称名滝~大観台間のロープウェイ構想についても併せて説明があって!(以下リンク参照)

チューリップテレビ

北日本新聞(会員専用ページで全文閲覧できないかも)

北日本新聞一面

ということで、現在の立山駅~美女平駅間近辺整備に取りあえず収まりそうです。

交通機関の整備は結構なことですが、「山はみんなのものです」保全と利用という原点に返って、関係者一同で「立山・黒部」の利用計画を進めて行ってもらえたらと思います。

明日から、再ラッシュ!

2019-02-14

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シナトラボトルは流石に高いので、最近の晩酌はジャンボボトルで。(1.75Litreほぼ一升)

明日から、10日間で5回の飲み会が・・・。 宇奈月方面山岳救助隊の研修会で能登へ! 北アルプス山小屋協会が松本市! 別に富山市内が2回! 地元で仲間と1回!

ほとんどが毎年恒例のもので、松本市での会合では山岳関係者に「立山・黒部世界ブランド化」についての実情を説明して、「沈黙の山」の録画DVDを主だった関係者に配布ツアーして来れればと。(県外で応援してくれている方々にも見て頂きたいのですが・・・)

「また要らぬことを!」って思う人が出るかもしれませんが、富山県だけの問題ではない事を推進派の方々に理解してもらいたいです。

前にも書きましたが、私は「環境保護原理主義者」では有りません。実際、阿曽原小屋は電源開発に伴い切り開かれた場所だし、自宅も開発整備のおかげで黒部川の氾濫から安心安全な生活を送れているのですから。

自然環境を守りつつ、訪れる方々が大自然に浸って感動して安全に帰って頂けるためには! 何が出来るのかを、考え行動するのが国立公園内の山小屋を預かる者の務めかなって考えています。

カッコつけて書くと偉そうですが・・・、山でお客さんの「ありがとう」を聞いていれば誰でも普通に湧く想いではないかと! (お客さんからの「ありがとう」は、パワーの源って言うか魔法の呪文のごとく?突き動かされてしまうのです・・・って単細胞過ぎでしょうか?)

推進するには、安全確保・環境破壊の大きさと利便性の兼ね合い等、現場の意見をくみ上げて検証してからでないと後悔してしまいますってことを言っているのです。

※最近更新が多く成って来ているのは、先月の講演会で来場者の方から「最近、更新してないけど!」って言われて・・・。

反省しておりますが、上に書きました通り来週は家を空ける事も多くなりますので(下界は誘惑が多くて・・・?)更新が無くても御容赦を!

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