阿曽原温泉小屋

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知らないってことは!Ⅷ

2020-06-05

写真

「マス寿し」にも、いろいろあります!

つづき。

ビバークと決まれば、N隊員と私はそれぞれ立木に跨って朝まで10時間余りをこの場で凌ぐ体制を取りますが、斜面は湿って不快だし、凸凹していて尻は痛いし、立木に抱き着く形で顔面に触れる樹皮はガサガサするし、虫は寄って来るし、ウトウトして転落しない様に立木から捨て縄でセルフビレイを取るのですが窮屈で・・・。

それでも、ゴルジュに降下していった先輩達は濡れて寒いだろうから・・・まだマシなのか???でも先輩たちは、落ちる心配がないからドッコイドッコイか?

薄暗がりの中で食事?を採るが、急斜面ではコンロは使えるはずもなく生暖かくなったポリタンの水飲んで渇きを癒して・・・ただ我々には、出動時に診療所の先生がお土産で持ってきてくれた「マス寿し」を私が共同食として担いで来ていたので、先輩達には申し訳ないけどN隊員と二人で堪能させてもらったのでした。

食べるだけ食べたら、やることもなくN隊員と暗闇の中で、どうでもいい話をしながら時間を潰していると、

「イズミ!マス寿し、どうなっとるがよ!!!」

無線からイラついた声がして・・・「エーッ!すみません、さっき食べてしまいました」と応答したら、

「なにーーっ!おまえら、みんな食べたんか~っっ!」って怒られて・・・。

そんなこと言われても「マス寿し」だけ運びに危険な壁を降りて行くなんて「不条理」過ぎるのは解っているはずなのに、時間が有り余ると要らん事考えてしまって・・・食べ物への執着が出てしまった先輩なのです。

続く。

※「マス寿し」の製造所は、駅弁で有名なモノの他に富山県内には沢山有って、それぞれ特徴が有るのです。

写真は、黒部市内の  植万 の作る「マス寿し」です。

一般的なのは左側の丸い型で押さえたものですが、私のお勧めは右側の長方形の小ぶりなかまぼこ型押し寿しです。

北陸新幹線駅黒部宇奈月温泉駅内のコンビニや観光物産販売所でも買えますし、お手軽なお土産にしたり車中でハイボール飲み呑み駅弁替りに頬張ったりと重宝しています。

普通の「マス寿し」とは違って、刻み生姜がホンノリ効いていて美味しいのです。

阿曽原に行って来ました。(この先の予定は、まだ分かりません!)

2020-06-04

写真

一番風呂!(浴槽は無事でした!)

阿曽原谷の雪渓が少ないのは先にお知らせしましたが、登山道の橋の掛かる部分の残雪が欠片も有りませんでした。

四半世紀余り毎年見て来ましたが、この時期に阿曽原谷を雪の上を歩かずに渡れるのは初めてです。(例年の?7月下旬ほどの残雪量!二ヶ月近く早く雪が無くなっています)

それだけ積雪も雪崩も少なかった証拠で、折尾谷も業者さんが見て来た情報では残雪が少ないそうです。(仙人温泉から上部の標高の積雪は、柔らかいけどそれなりに積雪は有ったそうです)

夏場の営業は行わない阿曽原ですが、来週には「北アルプス山小屋協会」統一のガイドラインの策定が成される予定ですし、この先のコロナの感染状況にも配慮しながら「阿曽原温泉小屋」はいつから営業できるのか?決めてゆきたいと思います。

(下の廊下・白馬線・唐松線・駒ヶ岳線等の、各登山道整備に大仏が中心的な役割をしている関係で人員配置計画も綱渡り状態になりそうです・・・大仏が居ないと廻らない小屋なのです!)

問い合わせの電話が数件寄せられていますが、ある程度の自信を持って営業出来るまでには今は判断が付きませんので、チョイチョイこのページを覗いていただくしかありませんので申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

明日から!

2020-06-01

写真

自宅横から、富山湾越しに能登半島の根元へ沈む「昨日の夕焼け!」

今日から、トロッコ列車が運行再開いたしました。 まだまだ利用者は少ないのですが、前向きに頑張っていってもらいたいものです。

明日から大仏達と、阿曽原に2泊3日の予定で行って来る予定です。 

夏場は営業しない阿曽原ですが、この機会だからこそ出来ることやって! イイ感じの阿曽原になる様に「無理せずヤワヤワ前向きに!」磨いてゆければいいのですが・・・。

知らないってことは!Ⅶ(勉強不足もほどほどにせいや!)

2020-06-01

写真

5月の池ノ谷二俣(古いですが、高島石盛さんの遺品の中から出て来た写真です)

つづき。

トラバースして来たラインは、断崖の上縁みたいなルートだったのですが、当然下降するのは断崖&藪のミックス斜面でザイルが無いととても入れるエリアではありません。

最初に一人の先輩が、下方に見える立木目指して懸垂下降で降りてゆき、その立木は安定している様なので次々と先輩方が壁を降りてゆきます。

そこから先の様子は我々からは見えなかったのですが、悪戦苦闘の様子が無線で入って来ましたが、3・4ピッチ刻んで下降したところで河原に降り立ったとの連絡が入ります。

しばらくして「大学生パーティーと合流、怪我人はいないが消耗している」との連絡が入ります。

いくら夏場でも、ゴルジュ内は日照が無い・周りを雪融け水が流れる・冷たい飛沫に一日中濡らされるているのだから気温が低く、彼等が助かったのは、・テントを張ることが出来た・メンバーが若く怪我をしていなかったから耐えることが出来たのでしょう。

我々は馬場島経由で警察本部に無線で報告しますが、谷が深く狭いゴルジュの中は日没時間より早く暗くなり出していて、悪相の断崖をヘッドライトを点けて全員無事に登り返すのは危険過ぎるし幸い翌日も晴天予報なので、現場と本部の協議で「ビバーク」することになったのでした。

(一本のザイルを利用して、人間が上下で行動するということは上部の人間が落石を誘発させる危険が非常に大きくなります。ましてや暗い最中では、トップは不安定な石も見えないし続く人間は上部で落石が発生していても見えないから避けることも出来ないのです)

続く。

※写真は 「池ノ谷二俣」 (地図を参考にしてください、谷も尾根も激しいエリアなのです!)

・左側上部に伸びる雪渓が「池ノ谷左俣」(上部のコルが三の窓) 

・中央の岩稜が「劔尾根」(「劔尾根」から転落して右俣のシュルンドに潜り込んだ遺体回収の話ししたはず) 

・右側上部に伸びる雪渓が「池ノ谷右俣」(落石・ブロック雪崩の巣!何回入っても嫌なところです)

遭難パーティーは、三の窓から左俣を下ってゴルジュ入り口手前から右側の小窓尾根に登り返さず谷筋通りに下山しようとしたのです。

知らないってことは!Ⅵ(人跡未踏!・・・多分?)

2020-05-31

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イメージですが、ゴルジュの側壁は飛沫で濡れてズルズルです。(十字峡の釜)

つづき。

急斜面の藪トラバースを必死で先輩に着いて行きますが、装備が重く大きくて引っ掛かってしまい・・・強引に藪を掴みながらの行動は、時々「ブチッ」と藪が千切れるたびにヒヤヒヤさせられます。 どの藪(草・枝)が、強いのか?どの方向に力を入れれば大丈夫なのか?等々、知識が有ると無いでは大違い!(なんでも一緒ですが、体力・腕力だけではなのです?って私が言っても説得力がないのですが・・・)

藪の生えていない崖は、クライミングしながらのトラバースも草・泥・小石が乗った岩盤斜面でイヤーな感じです。

そんな中を2時間ほど進んだ辺りで、直径20㎝チョイの「しっかりした立木」が2本ほどあって、空も若干広く見える棚状の安心できる??ポイントに出ました。(何かに掴まっていないと立てない場所でも「安心」って??壊れ始めていました)

そこに全員(5~6人だったか?)集合して、その「立木」から各自のハーネスにスリングでセルフビレイを取って作戦会議です。

ここまでは藪が濃く斜面も厳しくて、ゴルジュの中を覗けずに来たが入り口の滝は既に超えているはず。 

ザイルを伸ばして下降するには、ポイント毎の出発点で「支点」にザイルを固定する必要があるのですが、まさに今いる場所の「立木」が立派な「支点」となります。

ちなみに、立木が無ければ岩の割れ間にハーケンを打ち込んで「支点」としますが、スッキリとしたクライミングゲレンデと違い「人跡未踏」の遭難現場では都合よく具合のいい割れ目なんてなかなか見つけられません。

また救助現場では、支点に救助者と遭難者の二人分の荷重が掛かることもあるし、スリップした時の「衝撃荷重」はもっと大きな荷重が掛かるのでしっかりした支点が必要です。

更には、下降するにも藪にザイルが絡まるので、こちらも違った意味での技術と経験が必要になってきます。

レスキューのデモンストレーション見ると「カッコイイ」って思われるかもしれないけど、これまで何回も書いてきましたが現場は「冷や汗」「泥」「返り血」「擦り傷」「死臭」「腐臭」にまみれて「息を切らせながら」のバッチイ作業なんです。(遣り甲斐あるから!続けて来れた??ってキレイごとではなく・・・好き好んで現場に出ている訳ではないし、でも何故か否応なく出動って事が結構あったりして?成り行き任せな人生なのです)

話しを戻しますが、下方を覗くと谷底までは見えないけど、ザイルの長さワンピッチ分辺りにも立木が見えます。このルート以上の侵入口はこの先出て来るか分からないし、既に午後も過ぎており明るい間に合流出来なければ断崖絶壁の縁の藪の中で身動きが取れなくなります。

私とN隊員のペーペー二人を追加のザイル補給等のサポートと残して、先輩たちが下降してみることになりました。

続く・・・。

すみません、なんか最近、話がまとめられなくて・・・。

お知らせ!

2020-05-30

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昨夕の朝日岳!雪が融けて・・・今シーズンは朝日小屋は営業しませんから!

数年前に、黒部峡谷の取材に来ていた「NHKジオ・ジャパン」のスタッフから連絡が入りました。

「ジオ・ジャパン2」の ダイジェスト動画 が、YouTubeに上がっています。

○家の近くの黒部川の流れの奥に雪を頂いた朝日岳のシーン!  ○紅葉の下の廊下をドローンで撮影したシーン!

が短いですが使われていました。(キレイな映像でした)

峡谷部分は阿曽原に泊まり込んで、下流域は黒部の流れはもちろん湧水群・扇状地撮影等を一緒に回りましたので、彼らが頑張っている姿を見て知っています。

あれだけ、私がサポートしたんだから! いい番組に仕上がっているはず??? 時間のある方は見てやって頂ければと思います。

※放送予定

①NHKスペシャル 「シリーズ日本列島誕生ジオ・ジャパン2」

●第1集 「列島大隆起」※北アルプスと関東平野が主な舞台です。

 (本放送)6/14(日)21:00~(49分) 総合・BS4K同時放送

 (総合での再放送)6/17(水) 前0:30~1:19  (BS4Kでの再放送)6/21(日)15:00 BS4Kのみ

●第2集 「列島大分裂」※瀬戸内海と九州が主な舞台です。

 (本放送)6/21(日)21:00~(49分)総合・BS4K同時放送

 (総合での再放送)6/24(水) 前0:30~1:19  (BS4Kでの再放送)6/28(日)15:00 BS4Kのみ

②前回のシリーズの再放送 NHKスペシャル 「列島誕生ジオ・ジャパン」

●第1集 奇跡の島はこうして生まれた 6/9(火) 前1:55(1:45)~2:44  ※10分繰り上げの可能性があります。

●第2集 奇跡の島は山国となった 6/10(水) 前0:30~1:19 

なお、突発ニュースがあれば、 放送日が変更になる可能性がある点はご了承ください。

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