阿曽原温泉小屋

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池ノ谷・・・「行けぬ谷」とも言われて

2025-11-17

写真

正面が剱岳早月尾根!左側に伸びる北方稜線~三の窓~小窓尾根(小窓ノ王・マッチ箱ピーク)

昨日残念なニュースが・・・

剱岳早月尾根を、下山中の登山者の姿が見えなくなったと同行登山者からの通報で消防防災ヘリ「とやま」が捜索したところ「池ノ谷右俣」標高2,060mで女性の遺体を発見したとのことです。

ニュース記事

事故発生は早月尾根を下降中とのことですが、誰も目撃していないため滑落地点はハッキリしませんが遺体発見場所から推察すると標高2,800m以上の岩尾根から800m前後は転落してしまったのではなかろうか・・

現役時代の訓練と遭難者の捜索で、真冬以外は何度も馬場島から右俣に入ったこともありますし、一度だけ真冬の転落事故の際には捜索の為に早月尾根2,600m上部から右俣へザイルを伸ばして数ピッチ下降したこともありますが・・・転落してしまえば、ホボホボ助かる見込みのない急峻な谷です。

剱岳は既に冠雪しており、先行の同行者のトレースが残っていたとしても、足場の雪が崩れる・氷と雪と岩のミックスした岩稜は足場が悪い等々危険な状態だったのでは?

今日の夕方から強い寒気が入る予報で、山では相当な積雪が予想されているので、池ノ谷は雪崩の巣ですから雪渓と岩場の隙間にでも入り込んで発見することが出来ずに埋没したままになれば、来年の秋になるまで出て来なかったかもしれません。

捜索しようにも雪崩の危険があるので、谷底に入っての捜索は自殺行為! 

動いている等、生存が確認されれば話は別ですが・・(実際に3月に早月尾根を挟んだ反対の「東大谷中俣」に転落した大学生が生存していた時には「旧平蔵避難小屋」直下から隊員一名が下降して生存者と合流して救助した活動を四回に分けて書いたことがあります)

早月尾根の右俣転落事故では、1月に転落した遭難者が雪渓の中から発見されたのは9月に発見されたし、3月に転落した遭難者は6~7月に発見されています。

冬季間に次々と雪崩が発生してドンドン埋まってしまうので、早い時期に埋まってしまうと発見が遅れるのです。

残念な事故ではありますが、昨日のうちに見つけてあげることが出来ただけでも・・・

現場に出動された、消防防災ヘリコプター「とやま」のパイロットと現場に降下した隊員のチームの方々は、条件の悪い危険な右俣での活動ご苦労様でした。

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