阿曽原温泉小屋

k

あんなに遠くから!

2022-03-17

写真

「四平」の対岸、百貫山と名剣山のコルからの谷!(狭く深く尾根まで一直線ということは?)

以前にも少し書きましたが、平成8年春にトロッコ列車の運行再開に向けて山腹調査の為に宇奈月から上流に向けて進めていった時の事です。

鐘釣駅から上流は直ぐに長いトンネルが始まって、「四平」 と呼ばれる地点でトンネルを抜けてスノーシェッドが始まるので、屋根はあるものの黒部川側は景色が開けるのですが・・・トンネルから先のスノーシェッド内の天井までカチカチに固まった雪でビッシリと埋まっていました。

事前調査で情報は入っていたのですが、「何処から運ばれて来たのか」目の当たりにしてみて???

下流側にある「四平谷」で発生した雪崩が横斜面に溢れて廻り込んだ? スノーシェッドに上を流れる細い沢から出た雪崩が巻き込んで入って来た??

「まさか」と思うけれど、数百メートル対岸の谷から出た雪崩が黒部川を渡って更に数十mの高低差のある線路までまで届いた???(リンクの 地形図 参照して想像してください)

四平谷から出た雪崩の痕跡!(どう考えても雪崩が回り込んで、スノーシェッド内を埋め尽くすはずがない) 

黒部川が、巨大なスノーブリッジで覆われて対岸まで雪の上を歩いて渡れる大量の残雪!(残った残雪の形状・地点から、対岸の谷から「泡雪崩」で運ばれてきた残雪としか考えられない) 

対岸の谷と黒部川との、出合い上部の巨木・樹木が軒並み薙ぎ倒されている爆風の痕跡!(倒された樹齢数百年の巨木が、そこまで育つ間に発生したことの無い強烈な「泡雪崩」が発生した証拠)

等々その「まさか」しか考えらず驚かされました。

昨夜も東北で大きな地震が発生してしまい、お見舞い申し上げるところでありますが、テレビでコメンテーターが「11年前の教訓で皆さんがパニックにならなかったのでは?」と語っていましたが、安全で便利な生活に慣れ過ぎて「まさか!」「そんな事?」ってことを忘れがちになってしまってないか?

四六時中考え過ぎてしまうと、心配で酔っ払うことも出来ない寂しい人生になりそうで・・息苦しい生活になってしまわない様に、時々新たな情報を仕入れてシュミレーションして、なにか異変が有った時には想像力を働かせて落ち着いた対応が出来る様に心掛けたいものです。

もう一つ言うならば、「怖いモノ」「嫌なモノ」から目を逸らさずに生きてゆけば、有事に際して(今まで目の前で交通事故・人が倒れたり等ありませんでした?)冷静に対処できる人間になれると思うのですが・・・。(お節介?)

知らないところで。

2022-03-14

写真

冬場にレールが撤去されているのを知ってましたか?

写真は、小屋平駅から宇奈月に向かって一つ目のトンネルを抜けた所にある「ウド谷」 の運行再開に向けた架橋作業になります。(藪の広葉樹が芽吹いていないのが解るかと)

この場所のレールは、雪崩の被害を避けるために毎冬全て撤去されて、コンクリート製の橋脚だけになってしまいます。

写真左側のトンネル入り口に鉄製の扉が見えますが、撤去されたレール類は中に片付けられた後にトンネル内に雪崩が入り込まない様に頑丈な鉄扉で塞がれています。

元々この場所より少し下流に線路が有ったのですが、雪崩被害を避けるためにトンネルを併用して収納場所を作る形になったと聞いたことがあります。

この「ウド谷」で発生しているのは、川床の構造物の被害状況や谷の地形等から底雪崩ではないかと推察しているのですが、いずれにしろ大量のデブリが押し出されて線路が壊されてしまう雪崩の威力には驚かされます。

平成8年の大雪の年には、開業直後は残雪が多くて、この場所がアルペンルートの「プチ雪の大谷」状態となって窓の外は雪の壁になっていたのですが、峡谷沿いは標高が低く気温が高いので見る見る雪壁はなくなってしまいました。

険しい黒部峡谷でトロッコ列車を走らせるという事は、人の眼の触れないところでの管理の大変さがあるのです。(電車賃が割高になるのは勘弁してやってください・・)

※ちなみに

この部分は、向こうのトンネル内から沢の下に向けて冬季歩道が掘られて沢を過ぎた辺りから写真では見えませんが手前のトンネルに向けていて人間が通れるようになっています。

雪が無くなると分かりませんが(爆風の威力)

2022-03-12

写真

不思議な構造物ですが・・。

この写真は、前ページ写真の左端に少しだけ見えているグレー色に塗られたコンクリート製の構造物です。

小屋平ダム管理棟 と小屋平駅の間のコンクリートの運動場の様な平地に有って、アーチ型で立ち上がった形をしていてトロッコ列車もすぐ脇を走るので見たことある人もおられるはずです。

このコンクリート運動場?の地下には巨大なプール?水路?が隠れており、グレーのコンクリートの構造物の中には水量調整の「制水門」「ゲート」「巻き上げ機」等が有ります。(30年ほど前に、アルバイトの水路点検で中に入って見て来ました)

小屋平ダム から発電所までの送水が、雪崩れの影響を受けない様にするために作られたものだと思われます。(ゲートが雪崩で壊されたり、水槽・水路に雪が詰まるとコントロールできなくなります)

それ自体も大変な苦労だと思うのですが、見て頂きたいのはグレーの壁の最上部に横一線に採光用のガラス窓が並んでいるのが見て取れます。

昔、小学校にあった?分厚く鉄線で補強してあるガラスに見えるし、外圧を受けないようにと横長で一枚の面積を押さえて有る?

よーく観察すると、グレーの壁の中に横長の長方形が見て取れるのですが・・・実は採光窓が、もう2・3段あったのですが平成8年の「泡雪崩」の爆風で最上段以下の狭く分厚いガラス窓が全て破られてしまったので、コンクリートで窓を全て埋めてグレー色で塗装された痕跡なのです。(アーチ構造物は、上流側・下流側と二つあります)

破られたのは上流側を向いている窓だけで、裏側から見ると採光窓は未だに何段も残っています。

地形図をリンクしておいたので見て頂くと解りますが、沢筋からは離れた場所にあるアーチ構造物ですが爆風の影響を受けてしまったのです。

とてつもない事が起きていたとは、雪が無くなると全く分からないことなのですが・・百年以上前に、険しい黒部峡谷を切り開いてダムを作り水路を作り発電所を作って、そして今も維持管理している「人間って凄い」と思ってしまう小屋主なのです。

信じられないかも知れませんが・・。

2022-03-11

写真

小屋平ダム管理棟の防護壁(大袈裟に見えるけど)

写真は、トロッコ列車の終点手前の小屋平ダム管理棟 を線路側から写したものになります。

見てほしいのはベージュ色のコンクリート壁ですが、右奥に見える小屋平ダムの管理施設の屋根より高く壁本体の厚さも大仏の身体と比べてもらうと相当厚いのが見て取れるかと。

平成8年冬に発生した「泡雪崩」が、管理棟横に建っていた作業員待機所を直撃しました。

窓は全て分厚い木製の板で雪囲いされて防護されていたのですが、爆風を伴う泡雪崩は雪囲いの板の狭い隙間から窓ガラスを破って、待機室内に雪崩のデブリが入り込んで室内を埋め尽くしてしまいました。

無人であったため人的被害はありませんでしたが、もし人がいたら圧死・窒息死していた事でしょう。

ベージュのコンクリート壁は、その後作られたもので右側に斜め下の地面に向かっているのは、線路の山側沿いに作られている冬季歩道に繋げるために線路下にトンネルを掘って通路が作られているからです。

被害発生の数日後だったと記憶していますが、富山大学の雪氷学の川田先生(大仏の恩師でもあり、南極観測隊の副隊長も務められました)と二人でヘリコプターで一帯の山を観察して二次災害の心配が無いか確認して来てくれないかと関西電力から依頼されてフライトして来た事があります。

小屋平付近の地形図を見てもらうと解りますが、一般的な雪崩が走る「沢」は管理棟よりも上流に向かっており管理棟は尾根の末端に有る様に見えるのですが・・「泡雪崩」は発生してしまうと地形なんぞ関係なしに爆風が走るので信じられない方向から襲ってくる証拠で、雪が消えてしまった後は分からなくなりますが、「黒部峡谷」は地形だけが険しいのではなく気象条件等が重なると人知の及ばない事象が起こるのです。

今シーズンの宿泊予約について。(困っています)

2022-03-10

写真

昨夏の志合谷の残雪。

今シーズンの、宿泊予約について問い合わせがポツポツ入って来ております。

先にも説明いたしましたが、ネット予約のシステム導入の予定で勉強会に参加するなどしているところですが、

予定では他の山小屋が導入し始めている方式と同様に、若干料の予約金を振り込んでいただく~確認が取れたところで予約確定~特段の事情が無い限りはキャンセルされても予約金は返金しない。

との方向で調整しているところです。

しかし阿曽原温泉小屋については、ほぼ10年毎の大雪で登山道が通常通りに歩けないことがあります。(標高の高い山小屋は、残雪が多くてもそれなりに歩けるのですが)

確認は取れていませんが、今年がそのような年にならないかと心配していることは先にお伝えしましたが、このまま予約金を頂くシステムを導入しても登山道の安全確保の見通しがつかないのに予約金だけ頂いていて登山道整備が追い付かねば、その際に生じる予約金返金の手続きを考えると・・・体調不良・交通機関の遅刻等のお客様由来のキャンセルと同等に扱う訳にはゆきません。

かといって、そもそもこのシステム導入を考え始めた経緯を考えると「手書きの予約帳にもどるのもな~」って正直困っております。

昨年も「小屋に電話が繋がらない」と、お客様に御迷惑を掛けましたが、コロナ禍で宿泊者を絞っている関係でスタッフを雇う余裕もなかったのですが、今年は登山道が通れなければ、もっと厳しい経営になるかもしれません。

登山計画を立てておられるお客様には、ザックリした話で大変申し訳ないのですが、

〇夏場の「仙人池」~「欅平」は混雑する事はありませんので、6月末からの御予約でも心配いりません!(直前予約でも大丈夫!)

〇秋の「下の廊下」の御予約についても、ある程度様子が分かる7月末以降になってから!

随時このページでコースの状況はお伝えいたしますが、「黒部峡谷」の地形・気象条件の厳しさを御理解いただき、このような対応になる事を御容赦願います。

近くなったら「チョイチョイ」このページ覗いてみてください!

今年は残雪が多い!

2022-03-08

写真

昨日の弥太蔵谷と山彦橋

昨日の午後は、宇奈月温泉「セレネ国際会議場」にて黒部宇奈月温泉観光局の理事会に。

山雪型とお伝えしてきましたが、標高百mの自宅周りの田んぼは雪が無くなったのに・・・やはり宇奈月の温泉街も見上げた山もは雪がかなり多かったです。

山雪型といっても「泡雪崩」が発生したか「底雪崩」が発生したかで、谷の残雪量・施設や登山道の損傷具合等が違ってくるのは経験則で感じているところです。

写真の正面「弥太蔵谷」 ですが、奥のコンクリート橋先の上部が白い三角の雪の壁(山)が雪崩のデブリになります。

雪崩が発生する斜面の比高はそれほどでもないので、本来ならば雪崩で運ばれて来る雪の量はそれほど多くないはずなのですが・・・急斜面の枯れ沢に雪崩が集まって弥太蔵谷底まで到達して止まって谷を埋めて壁というより山になっています。

今年の冬は、降雪量は多かったのですが気温がそれほど低くならなかったので「泡雪崩」が発生する条件ではなかったように思うのですが、二月に入っても山奥では降雪があったし春一番も強烈で先週は大雨もあったしで・・・猛烈な「底雪崩」が発生しているのではないかと心配しているところです。

平成八年は二月上旬に寒冷で大量の積雪が一気に降って、猛烈な「泡雪崩」が発生して阿曽原谷の雪渓がお盆まで融けずに水平歩道が夏が過ぎるまで真面に使えず・・下の廊下も残雪で埋まったまま通行できずにシーズンを終えたことがあります。(平成一七年頃?にも残雪が多く10月末の一週間だけしか歩けなかったことも)

今シーズンは、???心配が尽きません。

アーカイブ

最近の記事