オイッ、近くねえかっ! 三代目県警ヘリ「つるぎ」メイン・ローター(プロペラ)の数が5枚です。
続き!
遭難者は消耗しており、自力歩行させて帰るとなるとどれだけ掛るやら?と言う事で、ヘリコプターを呼んで載せて帰るのがベターと言う事に。
しかし当時の無線機とネットワークでは現場から無線の電波が届かないので、剣沢派出所と連絡が取れる真砂沢ロッジまで誰かが行くことに。(現在は当たり前のことですが、どれだけ便利になったかを知る事は災害等トラブル対応の勉強になるはずなのですが)
「一般登山道なんだから、若いの一人で充分」と言う事で、一番若い私が一人で連絡に走る事に。
真砂沢ロッジまで走って走って連絡とヘリ要請、ヘリコプターは直ぐに飛んでくれる事になって、遭難者と現場隊員をピックアップしてくれるとの事でした。
「よっしゃ」モタモタしていられません!
真砂沢ロッジ前はキャンプ場となっており、私がヘリコプターに拾ってもらうには張りっ放しのテントが有っては着陸できません。「遭難対応です。もうすぐヘリが着陸しますからテントを畳むなり押えていてください」テントキーパーにお願いして回って了解を取り、準備万端待っていると頭上をヘリが二又方面に向って飛んで行き直ぐに折り返して剣沢を昇り返してゆきます。
機体は割と余裕のある「ベル204B」だったとおもいますが、当然ながら遭難者優先搬送です。 しばらくしてもう一度頭上をヘリが二又方面に向かって行き、残りの隊員と帰りには私をピックアップしてくれる筈なので、仮のヘリポートに吹き流しを用意して警備隊の制服を脱いで頭上で振り回しながら着陸ポイントを指差して合図を送りました。(これで数分後には、私も機内の人となって颯爽と帰れるものと思っていたのですが・・・)
二又から帰ったヘリは、スピードを落とす事も無く一気に頭上を通り過ぎて?先輩隊員は、機内から手を振っています。 もう一度来てくれるのかな???そこへ小屋の従業員が、剣沢派出所から連絡で「イズミは歩いて帰ってこい」って言ってきましたと・・・。
「ガーン!一番走ったのは俺なのに・・・なんで」若い頃は、苦労は買ってでもしなさいと言う事でしょうか。テントキーパーにお礼を言って回ってから、トボトボ1人剣沢まで登り返したのでした。(帰ると満面の笑顔で???先輩隊員から迎えられて、少しイラッとした私なのでした)
※結局
遭難者は二又でパーティと逸れてしまい、下流側の水量計測機器が設置してある場所まで付いていた足跡を登山道と間違えて剣沢を下り出して。途中で薮と急な岩壁に出くわして「オカシイ」と思ったけど登り返すのがきつく感じたのか「川を下れば何処かに着くだろう」って自分に都合の良い思い込みでとんでもないエリアに入り込んでしまっていたのでした。
反対に言えば、捜索側も「剱大滝方向には常識的に考えると行かないだろう」と捜索範囲を自分達の常識に沿った思い込みで決めてはならない事に成るのです。(行方不明者が、予想外の場所から発見された事例が沢山あります)
「自分には不幸が降り掛からない!」なーんて何の根拠もない自信を持っている人はいませんか?
「自分はヘリに乗れるはず」と思い込んでいた男からの忠告です!