阿曽原温泉小屋

k

山を舐めてはいけません。(カレーは舐めたかったけど?)

2019-08-22

写真

たそがれ阿曽原・・・。

続き。

数ピッチ分引き上げて「大窓」コルに到着したところで、ヘリを要請するも剣沢方面はすでにガスの中、富山平野からも剱岳はガスに覆われ始めているとのこと。

夏山なんだから午後からは雲が湧くのは当たり前、日没直前には大概はガスが晴れるのでそれまで待機する事に。

みなさん御明察の通り・・・?夕方になってもガスは晴れず「明日は朝から快晴予報だから、そのままビバークしろ」とのアッサリした指示が。(さっきは、サッサと終わらせられるからって言ってたくせに)

そう言われても、ツエルトも用意してないし行動食も殆ど食べ尽くして水も飲み干して水場も近くには有りません。

仕方がないので、N隊員と二人で這松藪の中に合羽を着こんでチンと座って夜明けまで過ごすことに、遭難パーティの大学生も二人ほど現場に残って私達の直ぐ上の這松薮に潜り込んでいました。

暗くなってガスが晴れた満点の星空の下で、腹が減って寝付けずいると大学生が座っている辺りからガサゴソと音がしています???

そして、腹が減って嗅覚が鋭敏になっている私達には直ぐにそれが何か解ります。

間違いなく「カレー」の臭いです!自分達だけなに食ってんだよ!

更にイラつく事に!ことも有ろうか我々の座っている場所に、音を殺して吸い尽くされた「レトルトカレー」のパッケージが滑り落ちて来たのです。

叱る訳にもいかず、サッサと終わると言う分隊長を信じて準備をしなかった事を悔やみながら、N隊員との何度目かの長い夜を過ごす事に成ったのでした。(相性と言うか、N隊員との現場出動ではチョイチョイ事件が発生して)

人は痛い目に遭って反省して成長するはずなのですが、山を舐めている訳では決してないのですが・・・痛い目に遭っても遭ってもすぐ忘れる人間はへこたれない逞しさが身に付き、更には本当の夜の長さを知る事に成るのです???(と言いながら、大仏には何時も「今日は、合羽持ってきてるんでしょうね~」って念押しされています。良い子は真似してはいけませんから!)

山の天気は・・・!

2019-08-22

写真

朝焼け雲はキレイなんですが。

夏の剣沢勤務中、「大窓」 付近にて大学山岳部員の転落事故発生の通報が。

分隊長はヘリの手配を、私と相勤のN隊員は現場出動に向けて装備の準備をする

「天候も良いしアプローチも簡単らしいから、サッサと片付けてヘリで還って来れるだろう」

仮のヘリポートのキャンプ場トイレの屋根の上から、ヘリコプターに搭乗して池の平山を迂回して大窓に向う。視界良好・風も弱く安定しており無事着陸、大学生パーティと合流して収容に向います。

現場は、大窓のコルから馬場島方面の中仙人谷を下った不安定で急なザレ場「落石の通り道」です。ロープで下降してゆくにも、落石を落とさない様に慎重にアプローチしてゆく。遠目に見ても、不自然に腕と脚が捻じれていて呼び掛けにも反応もなく。傍に着くと顔面からの出血・心肺停止状態で頭部はグラグラで首の骨折が致命傷でしょうか。

蟻地獄のごとく不安定な場所だったので、離れた潅木を支点にロープを出して遭難者の胴体に縛って確保して岩場基部まで遺体を移動させたところで、

遭難者の顔をタオルで覆って顔を隠して「しばらく痛いかも知れんけど、ちゃんと家に還してあげるから我慢しとって」って腹の中で呟いて(そうすることで、思い切って作業出来る様な気になります。五郎丸選手のルーティーン的な?)

見る間にタオルに血が滲んで来ます、顔を隠せば?手早いものです遺体収納袋に収めてキッチリ縛り上げて梱包します。

我々は遺体収納袋を浮かせて引き易くして「セーノッ」声を合わせて、上部の安定した場所にいる大学生にロープを引いてもいながら上部を目指します。

続く。

 

登山道情報!(仙人池・水平歩道方面)

2019-08-21

写真

現在の阿曽原谷。(ほとんど吹き出しがありません)

昨日の豪雨による、登山道の損傷等は有りませんでした。

○仙人池方面 仙人谷下部の丸太橋は流失を免れており通行に支障はありません。

○水平歩道方面 欅平までの水平歩道についても問題なく通行出来ております。

昨日の豪雨は先のページで紹介しましたが、宇奈月で三時間雨量99.5mmと相当な豪雨だったようです。

大雨が降っている最中も水道の水が殆んど濁りませんでしたが、天気が回復したら様子を見て来ねば!(降る直前に、清掃したのが効いたのか?)

あれよあれよ・・・。

2019-08-20

写真

13時24分の滝の吹き出しです。みるみる引いてゆきました。

先の写真の濁流から、24分後にはこの通りです。

ズームサイズが違いますが、吹き出しの水量も色も全然治まって来ました。ちなみに、14時45分には陽射しが差し込みセミがミンミンと煩く鳴いています。

前にも書きましたが、集中豪雨で一時的に増水しても少し弱い降りになると増水は引き始めます。(黒部は岩盤の急斜面なので、出方も引き方も早いのです) 

増水時の渡渉・滝くぐり等に危険を感じたら、無理せずにしばらく安全な場所で待ってみて下さい。

今日は、仙人池から6人の予約のお客さんです。天気予報が有れそうですが仙人温泉直下の丸太橋が未だ架かっておらず、昨日のうちに仙人池ヒュッテさんと連絡を取り合って、増水の心配のない早朝の出発にして頂いて5人は豪雨の前に小屋に到着していただき大正解。更には欅平駅からも「今朝、三人組の登山者が向かったけど雨が酷くて心配」との連絡を頂き、荒天時には自然と連携してくれる各方面にチーム黒部を感じました。

目の前の状況を、見て・考えて・予想して臨機応変な対応が身を守ることに繋がるかと、計画はあくまでも計画なのですから!

いきなり轟音が鳴り響いて!

2019-08-20

写真

泥水が噴き出してます。13時ジャスト!

昼過ぎに、気が付くとテレビの画像が真っ黒に???大雨の時には映らなくなることがありますが、そんなに降っていないし・・・。

「ピカッ・ドン」雷が鳴っていきなりの大雨が降り出して、お客さんとの会話も雨音で大声でしなければなりません。

そのうち「ドドドーーーッ」と山が鳴り出して、阿曽原の滝を見ると土石流が流れ下っていました。 噴き出す滝は時々見る事が出来ますが、何時もは夜間であったり雨粒が多過ぎて写真になりません。今回は少し小降りのタイミングがあったので泥水の滝を見てもらう事が出来ました。(勢いが一番強い時は、もっと大きかったのですが写真になりませんでした)

これだけ泥水が流れるのは、そうそう有る事では有りません。8月7日に吹き出した滝は、こんなに泥が混ざっていませんでした。

(こんな時に、お風呂に入っておられた男性が!これも珍しいかも)

前回の吹き出し

山が鳴る!山が響く!・・・山には敵いません

水槽点検!

2019-08-19

写真

湧水は、陽の光を受けて。

午前中、水場の点検をしてきました。猛暑続きで夕立も少ない今シーズンは、さすがに湧水も減り気味です。

写真は一次貯留槽のオーバーフローですが、透明で冷たい水が分かるでしょうか。隣に蓋を被せた沈殿槽が繋がっていて、上澄みの綺麗な水を小屋とキャンプ場に送っています。

落ち葉・枯れ枝・藻等を取り除いて、貯留槽・沈殿槽に溜まった砂等を捨てて槽の内側をブラシングして綺麗にしました。

今週は、今日の午後から雨模様の予報なので湧水もやがて持ち直してくれるかと。

数年前の十月末の夕方、米を洗っていたら突然水道の水が細くなって???キャンプ場も同様で大騒ぎです。

突然バイト女子が大声で「アーッ!」と叫んだかと思うと厨房から飛び出して行って。 洗濯をしてススギの水を、ずーっと全開にしたまま忘れていたのです。

雨の少ない年で、シーズン終わり近くは湧水も少なく成って来ており注意はしていたのですが、まさかの事態に!米を洗わねば、夕飯を作れません。

それにしても、洗濯ぐらいでタンクが空になるだろうか?大仏と水槽の点検に行くと、流れ込みの少し上で誘導路のコンクリートが割れて地下に漏れているのを発見して、応急処置で回復して何とかその夜を乗り越えたのでした。

普段からの点検は怠ってはいけないと反省させられました!(ずぼらな私が言っても説得力ありませんが・・・)

ちなみにその「バイト女子」虫が大嫌いで、「蛾」が肩に止まろうものなら着ていた服を速攻全部着替えて洗濯するわ、夜にトイレに行くのに玄関の明りに寄って来ている虫が怖くて?小屋に詰めている警備隊員の腕を引いてトイレまで先導してもらったりと・・・虫の王国みたいな所だと解っていながら、なんで阿曽原に来たの?(でも居心地が良かったのか、服のサイズが合わなくなるほど・・・ヘルスメーターに乗った途端に「コレ壊れています!」って叫んでいましたが???)

アーカイブ

最近の記事