阿曽原温泉小屋

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山の天気は・・・!

2019-08-22

写真

朝焼け雲はキレイなんですが。

夏の剣沢勤務中、「大窓」 付近にて大学山岳部員の転落事故発生の通報が。

分隊長はヘリの手配を、私と相勤のN隊員は現場出動に向けて装備の準備をする

「天候も良いしアプローチも簡単らしいから、サッサと片付けてヘリで還って来れるだろう」

仮のヘリポートのキャンプ場トイレの屋根の上から、ヘリコプターに搭乗して池の平山を迂回して大窓に向う。視界良好・風も弱く安定しており無事着陸、大学生パーティと合流して収容に向います。

現場は、大窓のコルから馬場島方面の中仙人谷を下った不安定で急なザレ場「落石の通り道」です。ロープで下降してゆくにも、落石を落とさない様に慎重にアプローチしてゆく。遠目に見ても、不自然に腕と脚が捻じれていて呼び掛けにも反応もなく。傍に着くと顔面からの出血・心肺停止状態で頭部はグラグラで首の骨折が致命傷でしょうか。

蟻地獄のごとく不安定な場所だったので、離れた潅木を支点にロープを出して遭難者の胴体に縛って確保して岩場基部まで遺体を移動させたところで、

遭難者の顔をタオルで覆って顔を隠して「しばらく痛いかも知れんけど、ちゃんと家に還してあげるから我慢しとって」って腹の中で呟いて(そうすることで、思い切って作業出来る様な気になります。五郎丸選手のルーティーン的な?)

見る間にタオルに血が滲んで来ます、顔を隠せば?手早いものです遺体収納袋に収めてキッチリ縛り上げて梱包します。

我々は遺体収納袋を浮かせて引き易くして「セーノッ」声を合わせて、上部の安定した場所にいる大学生にロープを引いてもいながら上部を目指します。

続く。

 

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