山岳遭難だけが事故では有りません。Ⅰ
2018-09-16
今日も、天候不順で暇なので書いています。
先日「下の廊下」の上半を見て来た話しをしましたが、鳴沢出合いの岩屋には昭和57年8月1日の台風に伴う増水で流された遭難者へ手向けたお供えが。
あれから随分経つのに、ご遺族・関係者の無念の気持ちが痛いほど伝わって来て・・・山に関係するものとして、遭難事故防止のために出来る限りの事をしなければと改めて思った次第です。
8月1日と言えば、その翌年だったか前年だったかは曖昧なのですが、とにかく8月1日です。 剣沢警備派出所勤務中に長次郎谷にて遭難事故通報が、「熊の岩」にて救助を待っているとのこと。 当時は、県警ヘリは導入されておらず民間ヘリも現場にガスが湧いていて近づけないとの事。
赤鬼分隊長から「走れ!」と簡潔明瞭な指示が、隊員3人で救助装備を分担して剣沢雪渓を駆け下りて20分足らずで長次郎谷出合いに到着、スノーボートを背中に担いだ私は風を受けてグライダーのごとくフワフワしたりフラ付いたりしながら(当時は痩せていたんです!)必死に着いて行き長次郎雪渓をガシガシ登り返しました。
遭難者パーティの、合図も分かる距離まで近づいたところで突然「バァルバァルバァル」って頭上を民間ヘリが「熊の岩」にアプローチして・・・アッと言う間に遭難者を収容して「ブィーン」って現場離脱してゆきます。
「えーっ!」一気に力が抜けた我々陸上部隊なのでした。
雪渓にヘタり込んだ途端に「装備はデポして、直ぐに帰ってこい!」
簡潔明瞭にガナリ立てる赤鬼無線が、「俺達なにかヤラカシタっけ?」慌てて八つ峰の基部にデポして、今度は長次郎雪渓を駆け下りて剣沢雪渓を駆け上って。 走っている間に、途切れ途切れに無線から聞こえて来るのは「剣御前小屋」が燃えているとのこと。 武蔵谷出会いを過ぎた辺りから、真っ青な夏空に濃い黒煙が見え始めて・・・息を切らせて「剣御前小屋」まで駆け上ったのでした。
水の無い稜線なので、手の施しようも無いまま燃えるに任せるしかありません。 火の勢いが少し治まった夕暮れを迎えたところで、 「お前達二人、朝まで現場保存!」 簡潔明瞭な赤鬼の指示を受けて、二人で居残り関係者は全員下山することになったのでした。
つづく・・・。
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