阿曽原温泉小屋

誰が遣るのって?他にいないでしょ!

2019-09-07

写真

黒部別山谷出合上流から。

遺体収容の話が出たので。

池の平山頂上直下ルンゼで、正月登山で行方不明になっていた遭難者の遺体発見の通報。

初代県警ヘリ「つるぎ」で今回もN隊員と出動、発見者である遭難者の支援者と現場にて合流。

幅2m足らずの狭いシュルンド内に、下半身が雪渓内に埋まって上半身が谷底に向って垂れ下がる形で発見されていました。

遺体が落ちてゆかない様に、ロープで上の雪渓から固定しますが半年以上雪に埋まっていたのですからヌルヌル&ズルズルというか、濡れた遺体をマスト結びで締めているけど効いているのか???

壁も切り立っており、シュルンドもほぼ垂直な隙間での作業です。足場が無いので立つ事が出来ず、雪渓上からザイルでシュルンド内にブラ下って遺体の周りの雪渓をピッケルで削りながら掘り出してゆきますが、中吊り状態なので踏ん張れず上半身の腕力だけでピッケルを打ち込むのでなかなか捗りません。

雪に埋まった遺体の周りの雪は、残った体温で一度融かされて再度凍るからでしょうか?バリアのごとく?氷化していて硬いのです。

ピッケルは作業をするには短いのですが、狭いシュルンドではそれ以上長い物も使えません。(時には、チェンソーを使って周りの雪氷をカットする事も)

短いと言う事は、遺体の近くでの作業に成ります。遺体を傷つけない様に気を遣わねばなりませんが、チマチマやっていては終わりません。ガツガツと氷を打ち削って行くのですが、その氷が灰色がかっていて打ち削られる氷粒が返り氷となって・・・合羽を着てはいるものの顔面はもちろん全身に降り掛かってそのまま融け出します。

なんか臭い(味)がする様で微妙な気持ちになるのですが、顔面で融けて流れて口に入る液をペッペッしながらN隊員と交代でホジクリ続けます。

支援者と言っても遭難者とは直接は面識のない一般人です、そもそも汚れ仕事はしたがらないだろうし、登山・登攀とは全く違った馴れない作業で遺体を傷つけられても困ります。

御遺体は冷たい雪の中に長い間閉じ込められて、表に出たら出たで苦しい体勢で縛り付けられているのですから、誰かが頑張って早く楽にしてあげねば!

警察法第二条(警察の責務)「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ・・・」とありますが、亡くなった方にはそもそも生命が無いのですが・・・困った人を助けるのも仕事の内というか、難しい事言う前に当たり前の事やればっ!特殊な場所で作業が出来るのは誰かって言ったら・・・でしょ!

「レスキュー」とは、救命・救助を意味しますが、山岳遭難救助活動ではカッコいい仕事と言うよりも、実は遺体の収容作業のような汚れ仕事も沢山こなさねばなりません。

遺体収容は人命救助活動と変わらず大変なのですが、亡くなっておられれば表彰対象にはなりません・・・もっと評価されても良い活動だと思うのですが。

隊員は表彰されたくて活動している訳では無いので?どうでもいいって言えば、どうでもいいことなのですが・・・ご遺族の方々からの心の底からの「ありがとうございます」の一言の為に頑張っているのですけど、一般の皆さんは知らないかな~っと思って書いてみました。

続く。

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