阿曽原温泉小屋

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長期間の捜索に! Ⅶ(なんで?)

2020-01-13

写真

快晴ですが、朝日岳の稜線には雪煙が!(にしても雪が少ない)

その後は順調に融雪が進み、スキー板・ザック等が先に発見され始め、最終的には7月11日に雪渓上に遭難者が現れて長期に渡る収容作業が終了したのでした。

雪渓の変化を長期間観察したからこそ「解ったこと・勉強になったこと」がたくさんありました。

一般的には雪渓の窪み・割れや落石の痕跡等を見て、その場の安全を判断して通過すればいいことなのですが、どんな場所から雪渓の状態が悪くなるのか?どうしてその場所が悪くなるのか?どこから来た落石なのか?等々、数多く通ったからこそ変化が解り検証して想像してみて「なるほど」となることが。

その後の、救助活動・災害復旧・登山道の整備や新設等に実際に役立ったし、割と無闇だった?行動が慎重になったような気が・・・。

そんなに毎日現場に出なくても?って思われるかもしれませんが、少しでも早く損傷のない状態で家族の元に帰してあげられたらとの思いからです。

我々は、遭難に接して沢山の関係者の方々の泣き顔を見てきました。少しでも和らげてあげることに繋がればと。(ちなみに雪渓から手足の一部がほんの少し表に出ただけで、雪に埋まっている部分も損傷してしまいます)

更には私達応援部隊にしてみれば、研修所の講師の方々は技術・経験だけでなく山に対する熱い思い入れ等々尊敬できる方で、不幸な事故で困っておられるのだから「出来ることはやらねば」との気持ちからでした。

長期間の捜索に! Ⅵ(縮み上がります?)

2020-01-10

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真鱈の白子ポン酢(白子の張り・色・ツヤ!大好物です)

作業当日は、大量の鋼鉄製ワイヤーと番線・支点(アンカー)鉄筋棒・工具類・燃料等々、結構な物量になりました。

発電機だけはバラすことも出来ないのですが、これくらい担げないと「俺が山で怪我したら担いでくれないの?」って言いながら交替しながら現場に向かいました。(陰で「足だけバラシて担ぐけど」って酷いこと言ってる奴が!)

遭難者と違って鉄の塊の発電機は、容赦なく腰に食い込むのです。

現場に着くと、早々に両岸にワイヤーを張り込む段取りですが、設計も測量もせずに全て現場合わせです。

増水した時の川幅を想定して、上辺のメインワイヤーをしっかり張り込んで、水中に張る下辺のワイヤーは水流に浮き上がらないように、中間にも何本も張り込んで、縦に太い番線を編み込んで、大きなメッシュを作ってゆきました。

メッシュの大きさが小さ過ぎると流れて来る枝葉で詰まって、すぐに砂防堰堤状態になり枝葉の撤去に手間が掛かり、反対に大き過ぎると流出の恐れが・・・。

設置現場は、雪渓からは下流になり途中で沢が合流しており、晴天時でも相当な水流があり(膝上~太腿)、何より雪解け水の急流なのでその冷たさと言ったら・・・舐めて掛かってウェットスーツなど用意もせず作業着のまま流れに入ってゆく我々ですが、みんな数分も作業しようものなら流れの中から絶叫しながら上がって来て石の上で奥歯を噛みながらバタバタと足踏みする羽目に・・・本当に縮み上がりました???

(ちなみに私が子供の頃は小学校にプールがなく、子供達は夏休みになると黒部川に重機で広く長い穴を掘ってもらって川の水を引いて泳がせてもらっていました)

長期間の捜索に! Ⅴ(重くても重くない)

2020-01-10

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私のお勧めは、中央のブリ・上側のベージュのバイ貝・右横のピンク透明感のヤガラとグレー透明感がヒラメの縁側!

最初に一人目を収容してから、掘れども掘れども・・・。

梅雨入りして、どんどん雪渓の嵩が減っているのにスキー板すら見つかりません。(スキー板の様に軽くて抵抗がある物は、流されながらデブリ上部に浮きやすいはず???)

雪渓は表面からだけ融けてゆくのではなく、埋まっている沢の流れ通りにトンネル形状にドンドン融けています。特に梅雨末期の大雨が降れば、沢の流量が増えて裏側のトンネルも見る見る融けるはず。

遭難者が雪渓表面に現れる前に、万が一底部の沢のほうが早く融けてしまえば川に流失してしまいかねません。

下流の雪渓が途切れた川幅の狭くなっている場所に、仮設でワイヤーネットを作ることに。(定置網的な???)

ワイヤーを張り込むために支点を作らねばならないのですが、現場にはワイヤーを巻き付ける適当な立木も巨岩も見当たらず、仕方ないので関係機関に許可を取って河原の大岩・岩盤にドリルで穴を掘って鉄筋棒を打ち込んで支点とすることにしました。

ここで問題が・・・そのような現場ならば、「エンジン付きハンマードリル」と燃料さえ持ってゆけば簡単に作業が済むのですが、その直前の年に「エンジン付きハンマードリル」が製造中止になってしまい、みんな大切にしまい込んで中古でも流通せずリース屋さんを数件当たっても確保できませんでした。(現在はネットオークションで確保出来ました)

仕方がないので「電動式ハンマードリル」で作業することに・・・、と言うことは発電機を現場まで持ってゆかねばなりません。 それだけの仕事量をこなせるドリルを動かすための発電機は、エンジンが大きくなってしまい必然的に重くなってしまいました。

カタログでは、燃料・オイルを抜いた乾燥重量で90Kg、燃料は抜いたけどオイルまでは面倒臭くて・・・。

ヘリコプターで運ぶには距離が短いし・・・しかし平らな道ならまだしも足場の悪い大きな石が積み重なる河原歩きと藪歩きが続くのですが、頑張ってみようということになったのです。

長期間の捜索に! Ⅳ(サメになれ?)

2020-01-09

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天然ブリ!(胴の厚さが・・・旨そうです)

河原・沢歩き~藪漕ぎ~雪渓歩きしながら現場に通い、来る日も来る日も雪渓掘りをする日が続きました。

ほとんどの阿曽原チームは、登山靴は使わずに長靴・地下足袋(ゴム引き)で向かっていました。 歩くのに足が軽く飛び石や藪漕ぎにも、踏ん張りが効くので使っていたわけです。(そもそも、まともな登山靴を持たないので)

底が薄いので、下手にスコップを蹴り込むと痛い目に遭ったり、何より雪渓は当たり前のことですが冷たくて・・・。

行動中・作業中は、それほど冷たさは感じないのですが動きを止めた途端に足が冷たくなって来るのです。

聞いたことありませんか?「サメは泳ぎ続けていないと、呼吸が出来なくなって死んでしまう」って???

我々はサメのごとく、足が冷たくならない様にほとんど動き回っていたのでした。(昼食時は、ザックに座って足はスコップのバーに乗せて雪から離して)

あの頃は、みんな元気でした。(最近は「働き方改革」とか言ってるけど・・・どうなんでしょう?やらねばならない時にやるだけやって、飲むときは腹一杯飲んでればいいんじゃないのかな?そこを脱線しない様に調整しながら引っ張ってゆくのがリーダーの仕事かと)

写真は、昨日出席した「黒部市新年を寿ぐ会」が終わった後に、気の合う仲間と「吉今日」さんに飲みに行って見せてもらった魚津漁港に水揚げされたサメではなくブリ

入っているのを知っていたら、カマを焼いてもらっておくのでしたが・・・大きなカマなので焼き上げるのに時間が掛かるので諦めました。

一昨日は、氷見漁港に1000本オーバーの水揚げがあったそうです。 この時期は本当に美味しいですから「富山に魚を食べに来られませ!」(ブリしゃぶの写真を見て、早速関東の知人からお店を予約してくれとの連絡が)

長期間の捜索に! Ⅲ

2020-01-08

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一昨日の朝焼け。今日は全国的に大荒れに!

二人目の捜索は、デブリのウネリを読んだり、雪渓の盛り上がる場所ではないだろうか?いろいろと想定して掘ってみたり。 魚群探知機みたいな機会を持ち込んで調べて、反応が有った場所を掘り返したら流木や岩であったり。 

とにかく、毎日毎日雪渓を堀り返していました。

先に見つかった遭難者を掘った穴に、落石で岩が落ちてきていた話をしましたが、ある日、上部の何処から発生したのか分かりませんでしたが3m足らずの穴を掘っていた場所の真上の雪渓を転がってくる漬物石ほどの石が!

「ラーク・ラーク!!!」直前で穴の外に居た者が気付いて大声で叫びます。 一直線に掘っている穴に、勢いよく転がって向かっています。穴の中で作業していた三人のうち、二人は慌てて外に飛び出してきたのですが一人は出遅れて・・・。

その一人は思わず上流側の雪の壁に身を寄せて、頭を手で覆った途端に転がってきた石は頭上で勢いよく雪面からダイブして落下、壁に張り付いた人間の1m先の掘って平らになった雪面にめり込んで・・・!

雪渓上を転がる落石は音が殺されて、気付くのが遅くなりがちです。常に上部に注意を払っておくことが肝要なのですが・・・にしても広い雪渓のど真ん中の幅数mの雪の穴に、なんで吸い込まれるように向かってくるのやら???

夏山の雪渓上に転がっている、石・岩はどこから来たんだろう?考えながら歩いてみてくださいな!

王子が表彰されました。

2020-01-07

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「ブリしゃぶ」、脂がのって最高でした。

昨日、白馬の王子が「黒部警察署長感謝状」を受賞致しました。(そもそも王家の一族が表彰って?)

昨秋多発した遭難で、事故現場に出動して救助活動に協力した功績での受賞です。

わざわざ白馬から黒部に出てきたのだからと、阿曽原関係者と黒部署の山岳警備隊員(1名は事案待機で飲めませんでしたけど)とで飲みに出ました。

黒部でお馴染みの「吉今日」さんは、Wメインで「ブリしゃぶ」「タラ鍋」を用意してくれていました。

カワハギの肝・ガス海老・ブリ・中とろ・シメサバ等9種の刺身の盛り合わせ、真鱈の白子のポン酢・天ぷら、ゲンゲの天ぷら、白エビのかき揚げ、香箱カニ、エビのレンコン挟み揚げ、雑炊等々、白馬村ではなかなか口に入らない魚で次々と熱燗の二合徳利が転がって・・・。(ガス海老?ゲンゲ???知らない人もいるかと)

昨年は大仏も県警本部長から受賞しましたが、事故が無ければもっともっと美味しい酒が飲めるのだけれども・・・。(多分明日も「黒部市新年を寿ぐ会」で飲み歩く羽目に???)

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