阿曽原温泉小屋

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雪のパワーです。

2022-04-14

写真

生木なのですが、根・幹の裂け方等を見るとパワーが想像できるかと!

黒薙温泉 の旅館・露天風呂周辺の山腹点検を終わらせました。 

あとは天候待ちで、温泉まで通じる歩道の落石が集まりやすい沢上部の点検を済ませねばなりませんが一段落です。

今年は、大雪のせいだからなのか?吊り橋に雪崩・落石の影響からか?損傷痕が目立ちます。

大きな雪崩が発生した沢の出合いでは、残雪量も多く底雪崩で引きずられて来て雪渓上を覆う腐葉土・土砂も多い様に感じます。

昨年は既に朽ちていた巨木の倒木が目立ったのですが、今年はまだ生きていた樹木の倒木が多いかも??

写真は、大露天風呂横の黒薙川に漂着していた 「黄檗」(キハダ) の倒木です。

樹皮の内側が鮮やかな黄色で、漢方薬として名前を聞いたことがある方もおられるのでは?

沿線に杉・檜が植林される以前は、もっと沢山自生していたのでは??と言うのは、杉の植林地脇に伸びているキハダに、木の皮に切れ目を入れて樹皮を剥がした古い痕跡を見つけたことがあります。

阿曽原でも、平成8年の大雪の年に5月に阿曽原の様子を見に行った時に玄関先のトイレの直上に立っていたソコソコ大きな樹木二・三本が小屋を建てる場所に、上流側に向かって薙ぎ倒されていて幹や枝を切り離して片付けるのに大変な目に遭ったことがあります。

上流側に向かって倒されていたという事は、下流側から力が加わった証拠!多分阿曽原谷方面で発生した「泡雪崩」の爆風?で薙ぎ倒されたのではないかと想像しています。(キハダ自体は柔らかめの木なのですけど根っ子は強いはず)

その時に倒されていた一本が「キハダ」だったのを思い出しました・・・今年はどうなっているのやら心配の絶えない小屋主なのです。

仕事だぜい!

2022-04-12

写真

作業を終えて、ザイルの回収中(手前足元は、腐葉土などを被った大量の雪崩のデブリ)

昨日、毎年恒例の黒薙温泉での作業に行って来ました。(残雪が多くて遅れ気味)

宇奈月から「仏石」 まで歩いてから、引湯管管理用トンネル内を自転車に乗って向かいます。(地形図の黒部峡谷鉄道と印刷された地点の少し左から対岸まで吊り橋で渡ってトンネルに入ります)

「大露天風呂」横の岩壁の浮石を点検して降りてきたところです。お風呂に入るという事は、無防備な姿?な訳で万が一落石が直撃しようものなら・・・こうして事前に点検して不安定なものは落とすなり処理しておく訳です。

ここ数日は夏日が続いて暑くて冬季間に訛りになまった身体には大変なのですが、加えて崩れた斜面を点検すると乾燥した斜面からは土煙が舞い上がり「ゲホゲホ」状態で難儀しました。

写真の左側に「大露天風呂」と奥の流れは「黒薙川」が勢いよく流れています。この時期は融雪が進んで水量が多く雪崩で残雪の上に運ばれてきた腐葉土や土砂も川に流れるので濁りが入ってしまいます。

(決して汚い水が流れている訳ではないのですが、融雪が治まり湧水だけになると透明感が増します)

感動出来る場所!チューことは・・。

2022-04-10

写真

白馬岳方面は、まだまだ白いです。

昨日の北日本新聞に 「称名滝遊歩道で雪崩・・」 との記事が載っていました。

称名道路奥のレストハウスから滝展望台までの 遊歩道上部 で、雪崩が発生して落石防護壁を破壊し遊歩道を超えて川床まで届いているのが確認されたとのことです。

付近は未だに3mほどの残雪が残っており、被害の全容確認が復旧が出来てはいないがゴールデンウイークまでには復旧する見込みは無いとのこと。

以前もレストハウス下の駐車場施設が、対岸からの雪崩で破壊されたことがあったと記憶しています。(川床に近く広々と平らな場所なので「どこから来た雪崩?」と驚かされました)

十数年?数十年?に一度は雪崩被害に見舞われているエリアということになります。

今回も太い倒木が雪崩で運ばれて来ていると記事にありますが、樹木がそこまで成長するには相当な年月が経っているはずです。裏返せば、相当な年月雪崩れが発生していなかった場所で発生した大規模なものかも?(上部で倒れて下部まで運ばれて来ていたのかもしれませんが)

新聞の写真を見ると、発生した斜面には大きな樹木が見られないので雪崩が毎年発生して樹木が育とうとしても毎年薙ぎ倒されていたのだろうと想像もできますが、いつ頃作られたのか確認出来ませんが「落石防護柵」が今まで破壊されていなかったのだとすれば・・・今回の雪崩の威力が想像出来るのでは?(今回の雪崩で、付近の樹木が倒されているとすれば、この斜面は「道」が出来てしまい来年から更に発生し易くなるかも?)

黒部峡谷も同様ですが、観光シーズンに乗り物でポンと到着してしまうと分からない話なのですが、どちらも深く険しい谷底なんだから雪の降り方によっては強力な雪崩が発生してしまう証拠というか「危ない場所」になり、管理が大変なエリアという事なのです。(落石が降って来るのも、山が急峻で険しいから!前回まで書いてることも通じます)

裏返せば「雄大な大自然に触れて感動できる場所」になるのですが・・・保全と利用という大問題も付いて回るチューことなのです。

「臭い」って大切なんです。

2022-04-06

写真

志合谷方面からの「奥鐘山」 左奥に「名剣山」

830mまで登ってからは、稜線をそのまま950mから1,000m位まで岩盤に張り付いた頼りない藪を頼りに登って行きます。

その辺りから、祖母谷側の名剣温泉の少し上流に向かって下る尾根状の地形を目掛けて下降を開始します。(地形図リンク の800mの等高線の数字の8の左側にある尾根)

途中で一班ずつ、尾根から右側の急斜面に入り点検範囲を分担しながら岩壁を 下降 してゆきますが、もちろん一日で全て見て廻れる訳もなく・・何日も通って上部から順番に浮石発生地点(崩落発生場所)を探しました。(上部から順次見てゆくのは、未点検の斜面の下部に先に入ると結果として不安定なものが自分の上部にあるかもしれないので怖いのです)

崩壊の 痕跡 等から、だいたい目星をつけて集中的に人員を投入して、発生地点の不安定になっている浮石掃除してから順次崩落が壊していった斜面を点検して不安定なものを見つけては落として下ってゆきます。

崩壊が下った斜面は、樹木の樹皮は剥がされ葉っぱは引き千切られて土砂は耕され泥と葉っぱの濃い臭いが漂い、岩盤では岩がぶつかって表面が砕かれ剥がされて白くなってキナ臭さが数日経っても漂っています。

最初の発生は、現スノーシェッド直上だったので発生源・崩落面も割と狭い範囲の点検でよかったのですが・・・。

現場で慌てないために!

2022-04-05

写真

志合谷左岸上部から欅平方面(右側岩壁奥の、影の尾根裏側に調査に入ってました)

地形図リンク

「名剣温泉」から地形図で5㎜ほど欅平側(左)に下った道路から、緩い傾斜の藪に入って直ぐ急斜面を登り奥鐘橋~1,218mピークに向かう傾斜が緩くなった尾根上830mに向かって直登します。

地形図を見てもらうと等高線の狭さで・・どれだけの急傾斜か想像できると思いますが、岩が剥き出し部分は割と少なく、岩壁・灌木・雑草のミックス斜面で枝・草を握りながらの登高になりますが、枝が折れたり草が千切れたりすれば転落しなければならないのですが細かくピッチを切ってザイルを張り込んで登るほどでもなく・・・。(一面に見事な山菜の ゼンマイ が生えていたり、庭木にすればキレイであろう シャクナゲ が密生していて行く手を阻まれて大変でしたが)

安全をないがしろにしている訳ではないのですが、そこは経験で強い枝の樹種の見分け方や力の加え方を工夫したりしながら行動予定・地形・作業量・チームの実力や体調等々を総合的な判断で、何を優先させるかは現場で考えて行動してゆく!どんな仕事でも同じではないかと?

経験に裏打ちされた広く高い視点でモノを見て、独りで判断がつかない時の為の信頼できる相棒・メンバーです!って失敗も沢山あるのですが、それも経験値を上げる為に神様が与えてくださって試練!って??(失敗を恐れて、行動しないことの方が✖✖少々のことを乗り越える「突破力」も)

初めて入る山なので、帰りの下降ルートは岩壁の連続で困難が予想されたので、登りで時間を消費してしまうと明るいうちに調査しながら下山できなくなるかも??

実際に、何度か作業に手間取って真っ暗になってから道路まで降りて来た事も・・。

行って見て初めて分かった、困難なルート・巨大な浮石を見つけて作業に手間取ったりと想定外に遭遇しても、突破したり作業を終わらせないと帰ってうまいビールにあり付けないのですから?頑張るしかありません。

※再放送!

そういえば今夜「最後の秘境 黒部源流紀行 小椋久美子が黒部川の“最初の一滴”を目指す旅」再放送予定です。

今から思えば・・・。

2022-04-01

写真

祖母谷に向かう道路のスノーシェッド!

前ページと同じ写真を使ってますが、右端に灰色の鋼鉄製の「スノーシェッド」が見えると思いますが、二昔前までは無かった工作物なのです。

祖母谷川での砂防堰堤工事中に、写真右側上部山腹で発生した落石が現在スノーシェッドが作られている辺りに降って来ました。

記憶が曖昧ですが、夜間に発生した??幸い怪我人も車両や設備の被害は無かったのですが、そこそこ大きな落石(崩落)だったので普通に考えると落石が転落して来た斜面はバウンドしながら落下して来る岩でダメージを受けると岩壁・山腹が破壊されて「浮石」「倒木」が不安定に残っていることが想像されます。

そうなると、強風・野生動物の移動等をキッカケに不安定な落石・倒木等が落下して来る危険が出て来ます。

この道路が使えないと、付近一帯で進められていた堰堤工事がストップしてしまうのです。

という事で、「この斜面を点検して来てくれないか!」と工事業者から連絡が来たのですが・・下記のリンクで地形図を見てもらうと解りますが、簡単に言われても登山道どころか大部分が「人跡未踏」の急斜面(岩壁)になります。

名剣温泉付近の地形図

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