阿曽原温泉小屋

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なんで9月は無理なのか分るでしょ!

2022-08-24

写真

奥の白い残雪が「黒部別山谷」

写真は「大ヘツリ」 辺りから「黒部別山谷」方向です。

黒部川が大量のデブリで完全に埋められ、流れの部分だけががトンネルになっています。

左岸の岩壁にある登山道は残雪の中に消えてしまっていて、このままでは通り抜けることが出来ないのが判っていただけるかと!

写真中央奥の白いのが「黒部別山谷」の残雪になります。(あそこで、黒部川は右に曲がります)

下の廊下の開通は遅れそうです。

2022-08-24

写真

新越の滝の対岸付近

やはり「下の廊下」の開通は遅れそうです!

黒部ダム側から調査に入った写真ですが、「新越の滝」 対岸の登山道が完全にスノーブロックで埋まって塞がれています。(チョロチョロと細い水が流れて岩が磨かれている場所です)

奥の残雪は高さも厚さも有るのが判りますが、その下に道が埋もれています。

他にも「大ヘツリ」上流側の枯れ沢にも大量の残雪が確認されたとのことです。

融けるのを待っていてはシーズンが終わりそうだし、迂回路を作るにしても上流側から順番に作ってゆかねばならず、九月中に上半の整備を終わらせるには常識的に考えても無理と考えられます。

更には仙人谷ダムから上流に向けての整備は吊り橋の整備が終わるのが何時になるのか見通しが立たず着手時期もハッキリしませんし、核心部の 「白竜峡」 が残雪で埋められていると推察できます。(白竜峡の高巻き迂回路を作るには、大変な手間と労力が掛かります)

以上を総合的に勘案すると、「9月中の開通は無理!」との判断になります。

9月23日前後から「下の廊下」を歩く計画の予約が入っていますが、計画変更を今のうちから考えておかれることをお勧めいたします。

子供かっ!?

2022-08-24

写真

三連丸太橋上の釜の下流に、手作り堰を作りました。

橋の架け替えの話に戻りますが、流失した左岸側の橋の下は元々水量がそれほど多くは無かったというか中間の橋から土砂斜面に降り立つための役目の橋でした。

直上にある滝の釜から溢れ出す水の多くは中央の橋下に向かっていたのですが、洪水時にあまりにも水量が多かったのか?流木が橋脚に引っ掛かったせいで流路が変わったのか?左岸沿いに強く流れ出して斜面を抉って岩盤を剥き出しにして強い流れが向かう様になって橋が流失したみたいです。

流失翌日の 写真 を見ると強い流れが岩壁に沿って下っています。(ちなみに架け終わった  写真  を比べると水量が減ったのがよくわかります)

新たに架かる橋は一段低い場所になるので、このまま橋を架けても少しの増水で洗われることになり最悪流失してしまうでしょう。

という事で、大仏が流木を刻んでいる間に私は流路変更させるために、釜の縁の川底の石を引き剥がしては水流を真ん中に向かわせると共に剥がした石を左岸の岩壁に向けて投げ入れてゆきます。

徐々にですが流れの向きが変わってゆき、両手で持ち上げなければならない「漬物石?」ほどの石で左岸沿いの流れを塞いでいった成果が写真です。

最初は、長靴に水が入らない様に気を付けていたのですが・・流れを変える為には川底を深くしなければならず深くなれば長靴の中に水が水が入り出すのですが、面倒臭がりの私は構わず石を持ち上げては左岸に積み上げてゆきます。(おかげで長靴の中が洗われました)

流木処理を終えた大仏が釜まで上がって来て、冷水で水浸しになっている私がはしゃいでいる様に見えたのか?「子供かっ!」って笑いながら声を掛けます。

かなり流れが変わったところで、中間橋の下に向かう流れが巨岩二つで挟まれて小さな滝のようになっていて、その巨岩の間にに挟まる様に塞いでいた50×60×40㎝ほどの大きな石を動かせば滝に流れる水量が断然多くなるだろうと、長さ120㎝の鋼鉄の大バールで突っついてテコで動かしてみます。

これが動くけれど落ちず・・・痺れを切らした私は、大仏がバールで浮かした大石を水流の中に屈み込んで相撲の「押し出し」のごとく脇を締めて両手で押し出して(道具を使い始めた石器人?)・・当然のことながら全身冷水でずぶ濡れになりましたが浮かせると水流がサポートしてくれて大石を押し出す事に成功して、左岸に向かっていた流れが大きく変わったところで架橋の本体作業に取り掛かったのでした。

山の中での仕事は道具も人手も限られるので、子供やサメや石器人にならなければならないこともあるのです。

信頼関係ってのは?

2022-08-23

写真

折尾の大滝!

その一!(何様?)

大手ツアー会社から電話が入って「10月○○日の予約は入っているかの確認です!」との事務的な電話が入りました。

早い時期にファツクスで予約が入っていて、予約帳には記載してあったのですが・・・そのファツクスには「反社会的な・・・ではありません」的な事を書いて返信せよとの上から目線的一文???

私的には「阿曽原小屋を信頼されていないのならば、来なければいいだけの事!一般の方々は真面目に予約入れているのに、早い時期から10月に大人数の予約を入れて来て迷惑なだけ!」

って思いから、返信をせずにいたことをオペレーター女子に伝え

「アナタが悪い訳じゃないけれど、こちらを信頼してないの? そちらの会社は以前お客さんの仕切りが出来ず迷惑なので数年間出禁にしていたんだけれど、今回も無理して来てもらわなくてもいいんだけれど」(ちなみに現在も出禁のツアー会社がありますし、以前出禁にしていた会社は案の定というか大きな事故を連続で発生させて会社自体が無くなってしまいました)

って話すと「返信は結構です」ってことになりましたが。(ゴメンね!逆に何様?って言われそうですが・・・)

組合長やってると他の山小屋からの苦情もイロイロ入って来るのですが、この大手ツアー会社は「早いうちからハイシーズンに予約を入れて来て、他の予約を断っていたのに直前でキャンセルされた」みたいな話が聞こえて来たりしています。

大会社だから「コンプライアンス」も大切なんでしょうが、そちらの都合だけの問題にしか思えないし、そんなことより大切なことが有る気がするのですが???

その二!(連絡ください)

今日の予約で「小学一年生と四年生の子供を連れて泊に行きたい」って先週予約が入ったのですが・・・「お父さん一人で、二人のお子さんを連れて来るにはリスクがあり過ぎる」と断ったのですが「自分が歩いた経験あるから大丈夫」の一点張りで・・・一旦は宿泊予約を受ける形になりましたが、その晩は親子が水平歩道を歩く姿を思い浮べると・・・。

「無理無理!小屋に届くまで心配していなければならない」と考えて、翌日お父さんの携帯電話に何度も電話しても留守電・・・着信拒否なの?「無理だと思うから、来るのをやめてください」と留守電に入れておいたのですが返信無しで、今日も夕方二回連絡しても留守電でした。

今日下山した愛知のお馴染みさんとの連絡で「それらしい親子はいたけれど、時間を見て帰るかも?」みたいな話をしていたとの事??

暗くなっても届かないし「もし引き返しているのならば?」と思い欅平周辺の宿へ電話確認したら泊っているとの回答があり「一件落着」(って言うか直接お父さんとは話してませんが名前・親子三人組等から間違いないかと)

行き違いが有ったのなら申し訳ないのですし、キャンセルならば連絡してもらえればいいだけの事なのですが私の物言いが気に喰わなかったのかもしれませんが、ご飯炊いて肉を解凍して準備をしていたのに・・これも信頼されていないの?かと思うと情けなくなってしまいます。

その三!(甘えないで、みんなのスタッフなのです)

大仏を相手にして夜中まで飲んいた人がいました。大仏は「根性良し」(気のいい奴)だし酒も好きなんだけれど、翌早朝4時起きで藪漕ぎガイドの激務が入っているし昨日は橋の架け替えで疲れているのを知っているはずの人間が「やさしさに甘える」みたいに夜中まで呑んでいたとは!(呑むのは楽しいから良いけど、翌日が休みとか寝坊当番ならば構わないのですが)

現場で汗を流している我々ですが・・・あなただけの山小屋スタッフではないのが分かってもらえてないのが情けなかったです。

先の二件の話し然りで、自分の都合ばかりでは信頼関係は構築されるはずもなく・・・なんか朝から次々と悲しくなるし腹の立つ一日でした。

信頼関係有ってこその山小屋運営と考えている「昭和」な私です。(一人酒しながら暴走気味の作文ですが御容赦を)

明日が、良き日でありますように!

早飯したけど・・・。

2022-08-23

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左岸側(手前)の入り口がら土砂混じりの濁流が・・・。

昨日橋の架け替えを終えて小屋に帰ると愛知県からのお馴染みさんが来ておられて、ありがたいことに「折尾谷の水抜きを済ませて来たけれど、足元に泥が溜まって・・」とのことでした。

あとは整備業者さんが巡視点検に来て泥を除けてくれるだろうと一安心していましたが・・・今朝早出して行ったお馴染みさんから電話が入り

「昨日はトンネルの上を飛び石で渡ってロープで降りてから、水抜き穴を突っついて来たのでトンネルを通り抜けていなかったんだけど、今日通って抜けようとしたら欅平側の出入り口とトンネルに下る階段に泥と砂が溜まっていて四つん這いにならないと抜けれなかった」

との連絡が入りました。

慌てて業者さんに連絡するも出てくれなくて・・・仕方ないので腹も空いていなかったのですが、早食べてスコップを担いで折尾谷に向かう事にします。

急いで冷凍牛丼を温めて皿に盛った大盛ご飯をレンチンして食べ終わったところに、業者さんから折り返しの電話が入り事情を伝えると「近くにいるから午後から除けて来る」ってありがたい返事がありました。(大概ランチには、ビールのショート缶をお供にするのですが今回はガマンして・・俺ってエライ!?今朝は四時起きだったので、お腹が膨れたら眠くなって)

数年に一度ある洪水ですが、丸太橋の流失にしろ土砂の流入にしろ黒部の濁流恐るべしです!

少々の天候不良ならば問題なく通れる水平道ですが、豪雨予報が出されている時の通行は大変危険な行動となる事を改めて思い知らされます。

慎重かつ大胆に!

2022-08-23

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足場も流木の座りも悪くて

橋の架け替えの前には、環境整備を済ませねばなりません。

中間の橋と流失した左岸の橋を繋ぐ橋脚岩に大きな流木が引っ掛かっていて、こいつを取の座かねば次の増水時に抵抗となって水流が盛り上がり丸太橋に流れがぶつかれば丸太が折れたり橋自体が流失しかねません。

実際に、中間の橋の一番上流側の丸太は折られていたし、束ねられた丸太上や隙間には小石・砂・枝等が乗ったり詰まっているのは、それらを含んだ濁流が橋の高さより高いレベルで流れていた証拠です。(右側丸太橋が捲り上がって傾いているのが証拠!恐ろしい濁流だったと想像できます)

大仏は小屋から担いで行った重いプロ用チェンソーを使っていますが、水流が流れる川床の岩の上は足場が悪くバランスを崩せば・・・流木も歪に曲がっていて適当に切り込みを入れるとチェンソーのバーが切り口で挟まって動かなくなりますが、なにより切断する際に流木のバランスが崩れて身体に当たろうものなら川に流されるか足にぶつかるか挟まれるか・・・でも細かくすれば手間が掛かるばかりなので慎重かつ大胆に刻んでバラバラにしてゆきます。

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