阿曽原温泉小屋

k

雪の付き方!

2020-02-28

写真

中央の三角が大日岳~立山~浄土(右に向けて、流杉Pより)

続き。

機内から見下ろす真砂岳の稜線は吹きっさらしで雪が吹き飛ばされて、なだらかな尾根は薄茶色の地面が凍って硬く固まっている感じに見えます。

情報が錯綜していて、大量遭難事故が発生しているのは間違いない中での緊急出動でしたが一目瞭然です。

(この時の様にまず出動しないと! 「現場の状況確認してから出動」なんて言うトップがいるけど??? 「事件は会議室で起きてるんじゃない!」って聞いたことあるでしょ)

そのダラダラと広い尾根に、人間が男女8人バラバラに寝転んでいてヘリコプターが近づいてもピクリとも動きません。(ほとんどの方は、真っ直ぐに伸びていた様な記憶が???)

少し離れた場所に降り立って、直ぐに手分けして一人ひとりの状態を確認します。

最初に目に付いたのが小柄な中高年の女性でしたが、「チッ、マジかよ」思わず心の中で舌打ちしてしまいます。その方の身に着けている雨具が「半透明の駅の売店で売っている」みたいな物で、汗が合羽の内側を濡らして、それが凍って固まったのか?バリバリになっていた様な???

殆ど絶望的な状況のなか確認すると、その女性は硬く目と口を閉じて全身が硬直して呼びかけにも顔面の刺激にも反応はなく呼吸も脈拍もなく、申し訳ないけど今から蘇生術を施しても・・・モタモタしていられないのです、他にも近くにバタバタ倒れた人がいるんだから。

近くで真上を向いて倒れていた、大柄な中年男性の頭を持ち上げると瞼が微かに動いたのです。 「生きとるぞー」他の隊員に伝えて、上空で待機していたヘリコプターに着陸よう要請することを近くの隊員に頼んで直ちに蘇生を試みます。

呼吸をしているのか?していないのか?、小さく薄い氷の結晶みたいなものが眉毛と睫毛に付着して震えています。顔面は氷魂のごとく冷たくて硬くて・・・仮死状態で一刻の猶予も無いのは誰が見ても明らか、少しでも温めようと手袋を外して素手で弾力の失せた頬を擦ったり、自分の目出帽をめくり上げて額を男性の額に付けて大声をかけ続けますが反応は殆どありません。

まだ続く。

アーカイブ

最近の記事