阿曽原温泉小屋

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ギリギリ!

2019-11-27

写真

ハラハラの救助現場

写真は先日の会議のプレゼンで上映された、富山県消防防災ヘリコプター内から 転落事故現場 へのアプローチ中のスライド映像です。

機体が傾いているので分かり辛いですが、涸れ沢の上部にある水平道から転落した登山者の収容に向っている場面です。(本当は壁に向かって侵入している感じで怖いはず)

谷の中に入れば、狭く・岩壁と樹木が迫って来ますが、ある程度の高度を取ればヘリの機体の周りがクリアーになるのですが、隊員がウインチで真上から降下する目標がブレたり・隊員が振られるリスクが出てきます。

余りにも事故が多発して、このような危険な救助現場が増えてしまうと、それだけ救助隊員・ヘリコプターを危険な目に遭わせる事に成ります。

ほとんどが県外から来ている人達が事故を起こしているのに、危険と負担が増えるばかりとの声が地元から上がりかねません。

実際、埼玉県では防災ヘリが有料化となり、長野県でも以前検討されたことがあります。(この件については、別の機会に書ければと)

少し事情は違いますが、富山県では「冬の剱岳」への登山者を対象にした「富山県登山届出条例」が制定運用されております。

制定当時も、個人のスポーツ・挑戦に行政が口出ししても良いのか?みたいな大論争になっていたと聞いております。

救助に当って来た立場からすると、当条例は一定の抑止効果があると思います。

しかし、冬の剱岳と「下の廊下」「夏山の一般登山道の剱岳」等、整備された登山道を同じ扱いにするのは無理があると思うのですが・・・。

現場を知らない方・現場を歩いて感動する人を知らない方・地元負担を声に出す方々からすれば、

「危険な山に行く人間の気がしれない!」「入らせなければ良いのでは?」みたいな話になりかねません。

黒部を訪れたほとんどの方々は、圧倒的な迫力・パワーに感動して、加えて頑張ってその中に入って来ている自分にも感動しておられるはずです。

感動した回数が多いほど「充実した人生」なんだろうと考えますが、

我々は、その感動のサポートをして喜ぶ姿に直に接する事の出来る「山小屋の仕事」に遣り甲斐を感じています。

感動する姿をいっぱい見て来た我々は、感動を無事に家まで持ち帰ってもらえるには何をしてゆけばよいのか?考えながら仕事をしているつもりですが実際歩くのは皆さんです!!

遭難しようと思って遭難している人はいないのも十分承知しておりますが、山岳遭難事故は自分だけの問題ではないと言う事を心に刻んで、安全に登山を楽しんで頂けたらと切に願う次第です。

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