阿曽原温泉小屋

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今年は暖冬でした。

2019-03-10

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鐘釣駅構内の除雪風景。ホームの雪は小型ユンボで線路に落としてロタリー車で吹き飛ばします。

今年は、記録的な暖冬のまま終わりそうです。

トロッコ列車は、欅平までの運行再開時期も早くなりそうです。

正式な発表は運行再開工程会議後になりますが、毎年作業に当たっている私達も早めに仲間を呼ぶことになりそうです。

雪が少なければ、雪崩の被害等も少ないのではないかと考えますが・・・。

ただし、登山道については残雪が少なければ少ないで支障が出てくる場合が有るし、稜線の山小屋で雪解け水を利用している小屋は心配しているのではないかと。

自然の中で仕事をしていれば、その時その時の状況に合わせて臨機応変に仕事を進るのも我々の甲斐性です。

今年は、どんなシーズンになるのやら・・・!

立山黒部アルペンルートの新ロープウェイ構想について!続報Ⅱ

2019-03-09

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ゴールデンウイークの立山!

ロープウェイ新設について、富山市議会でも森市長が橋本市議の質問への答弁が北日本新聞に載っていたので紹介します。

 立山駅~美女平駅ルートでロープウェイの整備を検討する県の方針に、森雅志市長は「ケーブルカーの老朽化に伴って代替機能を考えるのは必然」と理解を示しつつ、環境保護の観点から「急ぐ必要はなく、慎重に議論してほしい」と求めた。橋本氏への答弁。

 市長は、立山黒部貫光の佐伯博社長から「ケーブルカーは急に動かなくなる状況ではない」と説明されたことを紹介。

ルートの輸送力を増すと、ゴミの量や、登山道ではない場所に行く人も増えるとし、「せっかく守られてきた自然や景観を守ることが基本的に大事だと思っている」と語った。

 よくぞ富山市議会という、公の場で話していただけました。全くその通りで、拍手喝采ものです!

輸送能力だけの問題ではなく、立山黒部の保全と利用を総合的に考えたうえでの整備がされてゆかなければ!

確かに輸送能力が上がれば、立山駅の混雑解消に役立つし、莫大な建設費用は地元経済にプラスとなるかもしれません。

しかし、室堂・美女平の乗換待ちがが大変なことになるのは目に見えているし、今でもイッパイイッパイで切り盛りしている現場が上手く回るとは思えません。

「立山黒部」の守られてきたものが有ってこその観光ではないでしょうか・・・?

何度も言いますが、多くの方々に来ていただいて、喜んでもらいたいのは同じです。しかし、室堂のオーバーユース問題を解決するのが先決だと考えます。(今の輸送能力でも、ハイシーズンは大混雑しています)

混雑するのは輸送能力の問題ではなく、集中して訪れる来訪者の分散と閑散期の魅力発掘等が必須ではないかと。

立山黒部アルペンルートの新ロープウェイ構想について!続報

2019-03-07

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ゴールデンウイークの室堂ターミナル南側斜面(正面のハイマツ帯には、時々ライチョウが飛び立つ姿が)

以前から、お伝えしていた「立山黒部アルペンルート」のロープウェイ構想は、現在のケーブルカーのルート辺りの「立山駅~美女平」に新設する調査をする事になって調査費が県予算に計上されました。

諸々のことを考え合わせれば、順当なところに落ち着いたのではないかと考えます。

チューリップテレビ

厄介な現場でも。

2019-03-04

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春先の点検にて、倒木がダムの役割して急な涸れ沢に岩屑が堆積してます。

欅平~祖母谷間の道路管理作業は、場所的いうと、尾根の裏側の黒部川本流右岸にあたる場所は「奥鐘山西壁」となります。最近はクライミングに登る人は激減しましたが高低差700mの一枚岩の大岩壁です。

作業場所は、奥鐘山北壁 ということになりますが、大きな違いは薮や樹木が多い場所も沢山あるのです。要は、植物が根を張るクラックが多い事に成ります。(祖母谷川一帯は、植生豊で水量も多いから山菜も多いし、北向き斜面だからキノコ天国なのです!)

先にも書きましたが、論文や地質学の先生によれば祖母谷川が出来上がった時の力が岩盤の中の歪みとなってクラックが出来たとのことです。(前に書いた、中背山が祖父谷側に大崩壊したのもそのラインのせいとのことです)

普段は、落石も必要以上に心配する事も無いのですが雪解け・大雨・強風等の後には注意が必要です。クラックに水が入り込んで不安定になったり、強風で樹木が揺すられて斜面が緩んだりしするからです。

作業に入るとなると、誰も入った事のない斜面がほとんどでルートは自分達で見つけてゆかねばならず、壁の中の薮の急斜面を無暗に突っ込んで降りたけど懸垂用の支点を取る事が出来ず、進退窮って雑草に掴まりながら隣のルートのメンバーにザイルを投げてもらって助けられたり・・・。(名剣温泉先の岩壁上部150m位で立ち往生でした。無暗はイケマセン!

岩壁から道まで3m足らず飛び降り(落ちた?)たり、ザイルが器具に当ったまま荷重が掛り大部分が切れて解け始めて残った芯だけで止ったり・・・ヒヤヒヤ・ラッキーの連続で、このページに楽に10話は書けるネタが有ります。(黒部に怪我なし!なので真剣なのです)

先にも書きましたが、山腹全体を管理する事は出来ません。しかし、常識的にやれるだけの事をやったうえで、更に危険なエリアでもあると言う事を判ってもらう努力をしつつ自然を堪能してもらうようにしないといけないのかな~って。特に、登山者は自然の中に入る事については、それなりに危険が付きまとうと認識しておられますが、観光客はと言えば?となります。

「何で、こんなに迫力のある風景が出来たのだろう」「山奥での鉄道や道路の管理は大変だろうな」と想像してもらえたらいいのだけれど!

写真は、春先の融雪期(人間が入る前)に発生していたモノ・・・。 写真の直下は30mの岩壁と道路があり、倒木が大雨で動いたりすれば岩屑がずり下がり出しそうで・・・結局、全部人手で落とす羽目に!(左側が若い頃の小屋主です)

管理はどうするの?

2019-03-03

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祖母谷川に掛かる巨大なスノーブリッジ!(これだけの雪崩が出ると言う事は・・・)

欅平~祖母谷温泉までは、2.4kmの距離です。砂防堰堤工事が始まるまでは登山道だったそうで、奥鐘橋の上から見下ろすと当時の吊り橋の柱等設備が、河原縁に残っているのが見えますが、この橋は中部山岳国立公園制定時の記念切手のモデルではなかったかと?

重機・ダンプカー等が通れる作業用道路と鉄橋(奥鐘橋等)が作られて、登山道は廃道となり登山者・観光客も作業道路と鉄橋を利用することになり道路管理は国交省が担当していました。

2008年に砂防工事が終了して国交省が撤収、翌年から管理者不在となり整備主体が決まらず登山者以外は通行止めとなってしまいました。

道路が整備されないと、不整地を歩き慣れていない観光客には薦める事も出来ず、なにより源泉の管理には車で資機材を運んだりしなくてはならず・・・欅平まで温泉を送る事もままなりません。

地元関係者で対応を協議して、富山県・黒部市・黒部峡谷鉄道・欅平地区の山小屋で予算を出し合って「管理組合」を作って、山腹点検・除雪・草刈り・ガードレールの設置撤去等々を欅平地区の山小屋と我々で維持管理をすることになりました。 (なぜか別地区の私が副組合長を仰せつかっていますが、こんな管理方法は他に無いはず。予算が無いんだから自分で出来る事は自分で!

こんな面倒な事に成ったかと言えば、2003年8月に奥入瀬渓谷で遊歩道にブナの枯れ枝(長さ7m直径約20cm)が斜面から落ちて来て、観光客にぶつかって重度障害を負ってしまう不幸な事故が発生しました。

国と青森県が管理責任を問われて、最高裁まで争った末に管理責任が認められて2億円の支払いを命じられてしまいました。(現実問題として、雪解け・強風毎に歩道上部の山腹全体を調べられないのだけど・・・)

他にも「管理責任」を問われて訴訟に至る案件が・・・。(役所にしてみれば、やってられませんよね。 ちなみに、奥鐘橋を渡った先には「この先危険!」みたいな看板が多いのはそのためです)

自然公園を楽しんで貰うには山の中の管理主体・管理方法、そして入る側(特に観光客)への「街の公園とは違い危険が伴うエリアである」との周知活動等々、制度変更を含めて真剣に考えてゆかねばならないかと!

外国人観光客が増えたからって、はっきりしないまま受け入れればいいというモノではないかと考えます。(文化が違うので、自然への接し方がマチマチの様な)

古い話しですが、雑誌「WEDGE」2010年8月号に取材を受けて2ページの記事が載っています!

冷や汗もの!Ⅳ(チームに、ありがとうです)

2019-03-02

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直近に、落石の直撃を受けた立木!(予知と言うよりも、観察して想像すれば身を守れます)

危険な作業については、何でも言い合えるチームである事が大切かと。 

色んな視点・感覚等で、見て・感じて・考えて意思疎通をしながら事に当たれば良い仕事が出来るかなって! (独りよがりのリーダーは???)

みんなの意見をまとめて決断して、みんなでフォローし合って事に当り、それでも失敗したら最終的な尻拭いはリーダーが引き受ける覚悟が伝わればチームが一つに成れるはず!

私の場合は、自分に自信が無いから・・・チームに頼り過ぎてますが、それもチームワークかと!

もう一つ大切なのは、実力を見て現場に連れてゆくには危険と思われる人間を同行させない決定をすること。(たまに勘違いして来る人がいて、心を鬼にしなければ、チームが危険に曝されます。って、私も公務員やってれば定年年齢です。そろそろ引退時期なのですが・・・)

若い衆は体力的な余裕を持って事に当れる様に体力錬成と技術を磨き、ベテランは現場での体験・経験を伝えて、私はこの仕事は泥だらけでカッコ悪いし大変な仕事だけど遣り甲斐とプライドを持てるって煽る???のが担当かと!

今まで、黒部の危険な現場でギリギリ怪我無く来れたのは、正直ラッキーでした。(運も実力の内?) しかし、その都度頼りになるメンバーが集まって、コミニュケーションの取れるチームが出来上がって来た事が大きいかな~っと・・・冷や汗の分だけ黒部の為になって来たのかなって。(人生いろんな汗がありますが、汗をかかずに良い仕事は出来ないと思うし、収入が入っても気持ち悪いでしょ・・・?)

大した日当にもならなかったけど、誰かがやらなければならない危険な仕事を無事にこなして、金で買えない達成感を共有出来たチームのみんなにありがとうです!

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