「春一番」山には敵いません!
2019-02-02
フイックスザイルを回収してから馬場島に下山し始めたのですが、登って来た時とは尾根の状態が全然違っています。
雪は冷え込んで硬くなっていますが嵩が低くなっており、なにより尾根の左右に張り付いていた雪が雪崩れ落ちてしまって場所によっては雪が付いていない場所も有ります。
登って来た時と同じように、輪カンジキを履いて下山していたのですが歩き辛くてなりません。
強引に下山して行き、小窓尾根から雷岩に降りるポイント着いて、
おもわず「エーッ!ちょっと待て!!!」
尾根から白萩川に向けての下降ルートは、急斜面で来るときには輪カンジキで足を雪に潜らせて来たのですが、変わり様にビックリ!底雪崩れで雪が雪崩れた後に前線通過後の冷え込みで、雨水を含んだザラメ雪はカチカチ・ピカピカの急斜面になっており、輪カンジキの木製の爪はホトンド効かずフクラハギはプルプル・・・薮に掴まらねば立つ事すらできません。
このカチカチ斜面でバランスを崩そうものなら、何処まで滑落するのやら・・・。
ザイルを出したりブッシュに掴まったりしながらドンドン下降を続けて、白萩川の谷底まで来た頃には雪も軟らかくなりだして気持ちに余裕が出て来た頃に???
登って来た時には、川の流れの音などは聞こえなかったのに?強い流れの音が聞こえ、川床に近づくと真っ白に埋まっていたはずの川床の雪が、川の流れ通りに雪の上に泥水が流れた跡が???
想像するに、「春一番」の暖かい強風で融雪が進みその後の大雨で増水した川が雪下の流れだけでは飲み込む事が出来ず、滝の落ち口の様な雪の薄い場所から濁流が雪を突き破って溢れ出して、積雪の上を広い所では幅五メートル位で二〇〇メートル位の距離を流れ下って、また雪の穴から川の流れに戻ったみたいです。
凄い物を見たと感嘆すると同時に、山には敵わん!強く思い知らされて馬場島に帰ったのでした。
※ここに書いたものは極端な例ですが、融雪期の雪渓も変化のスピードが遅いだけで同じことです。一般ルート以外の場所を歩く時には、地形・雪渓の色・雪面の傾斜・クレパス・シュルンド等をよく観察して想像することが大切です。
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