阿曽原温泉小屋

なんだか、この頃・・・。

2019-06-26

写真

阿曽原上空に飛来した、県警ヘリ「つるぎ」

昔の話になりますが、警察を退職する頃の夏の剣沢勤務中の出来事です。

夕方、剣岳北壁(長次郎雪渓左又上部のガレ場)にて登坂中のパーティの一人の頭部に落石が直撃して意識不明の状態との通報が入りました。

すでに日没頃で小雨も降っていた様な記憶が、バリエーションルートだし暗いし天気悪いし普通ならそんなところへは向かう事は無謀登山以外のナニモノでも無いのですが、急を要する状態です!相勤のK隊員と装備を整えて出動、天気が悪くてヘッドランプの明かりは圧倒的な暗闇に吸い込まれてゆくようで頼りないのですが、ガンガン歩きながらも訓練・実際の救助で通って覚えた感覚を研ぎ澄ませて、シュルンドに近寄らず落石の音に注意しながら現場に向かいます。(良い子は、真似してはイケマセン!)

不安定なガレ場の急斜面で、座った形で遭難者を抱き抱えていた同行者と合流。遭難者は20代の女性で、頭部の出血は止まっているものの、呼吸は弱く時々止まり・呼び掛けにも答えず・首はグラグラで急を要する事が分かります。

現場は大規模な「アリ地獄状態」で、急斜面の岩屑は不安定で足元からガラガラと崩れ始めて、治療や患部の固定をしたくても横にしてあげる事も出来ません。

元々、自然落石で怪我をした場所だし、真っ暗闇では落石の音がしても何処を転がっているのかは分かるはずも有りません。

遭難者の容態は安静が必要なのは分かるのですが、この場でビバークするには遭難者・同行者・我々全員が事故に遭遇するリスクが大きする。小雨が降ったり止んだり、標高が高く夜も更けるに従いどんどん気温も下がって来ていて、危篤状態の遭難者は寒さに耐えられるとは思えず。 更には、たとえ朝まで遭難者が持ちこたえて我々も落石の直撃を免れたとしても、翌朝の天気の回復は見込めずヘリでのピックアップも現場では期待出来ず結局陸上搬送の見込みです。

諸々の状況を勘案して、200mほど下った所に有る「熊の岩」まで下れば取りあえず落石の危険と冷たい風を避ける事が出来ると判断したのでした。

続く・・・。

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