阿曽原温泉小屋

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そろそろ

2023-02-15

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こんな巨木が冬場に倒されていることも!

「山に入る」といってもキャリア・難易度などの違いもありますし、利用形態も一般登山だけでなく「バックカントリースキー」「トレイルランニング」「外国人登山ツアー」等数十年前にはごくわずかだった山岳公園利用形態も市民権を得て来たのは事実です。

そんな中で、国立公園管理者である環境省・多くの地主である森林管理所・遭難事故対応の警察と消防・登山道管理や衛生管理に当たる県庁や市町村・現地で公園利用者と直接接する山小屋等々が「登山者が安全に楽しめるように」協力しながらそれぞれ出来る事を遂行してきました。

しかし「奥入瀬渓谷落枝受傷事故」 が発生してしまい行政側が敗訴してしまいました。

他にも以前「立山地獄谷」で、登山道下の湯溜まりで入浴して有毒ガスを吸い込んで死亡するというまさか!の事案が発生して、遊歩道を作ったものとして行政側を相手取り訴訟が行われたことがありました。(さすがに造営物責任は否定されましたけど、なにで訴えられるか予想できない時代?って驚いた記憶があります)

どちらも不幸な事故でしたが「構造物を設置したものが管理責任を問われる!」みたいな空気が出来てしまい・・・現場で整備に当たる我々からすれば「戸惑う?歯がゆい!」思いをした記憶があります。

※参考

溝手 康史先生の

登山道の管理責任

妙義山縦走路・登山道のあり方・登攀路の提唱                                                                                             とても勉強になります。

そろそろ仕組みを考えなければ

2023-02-13

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大雪で登山道が、何ヶ所も欠損してしまいました

そもそも登山道自体が作られた目的・経緯が、宗教・電源開発・森林開発・純然たる登山等々バラバラで、整備するにしても大規模修復・通常整備等によって予算の出所も違うわけで・・・どこからどうなるのか?管理主体は??みたいなところもあるし、それでもはじめから対策・整備量が決まっていれば、行政も予算を組むことも出来るのですが、「突発的な集中防雨での道の欠損や橋の流失」「数年前に発生した地震による落石」等々毎年違ったことが起こるので、その都度応急処置は一時的には近くの山小屋が取りあえず向かってきました。

これまで近くの山小屋などを中心に登山道整備を遣り繰りしながら続けてきたわけですが、コロナ禍に見舞われて山小屋も宿泊者を絞りながらの営業となり併せて従業員・アルバイトも縮小せざるを得ず、いままで余力で熟してきた登山道整備等へも人員を割くことが出来なくなりつつあります。

(近年どこの山小屋もアルバイトが集まらず、根本的な対策が必要になって来ています)

何度も書きますが、山を楽しむには「保護」「利用」「安全」の三本柱が大切なのですが、登山道を整備することで・区域外に入らずに歩ける・土砂の流失防止・整備して歩き易く成れば事故が減る等々が期待できます。

ただし、いろいろなレベルの人が様々な目的で入山されるので整備をどの程度まですれば良いのか??悩ましいところでもあります。

※写真は6月末の夏山シーズン前の唐松岳~祖母谷線下部です。

この標高では藪が生い茂っているのですが、唐松岳付近の標高ではコース上には残雪が大量に残っているし、中間の大黒銅山付近まではマダラに残雪が残るので登山道整備は一度に終わらせることが出来ません。

予算の関係で何度も入れないので、7月上旬に地元救助隊がパトロールで下見してから8月上旬にコース全体の整備入ることになります。

このコースは、餓鬼の田圃 から祖母谷までは、整備前のパトロール時期は、標高が低いので藪が濃く足元が見えないし・・北向き斜面で足元の石が湿気で苔むして滑りやすくなるし・・豪雪地帯の方斜面で登山道がチョイチョイ欠落するし・・・とにかく長いし~大変苦労させられるのです。

元々利用者が少ないコースなのですが、数年前に単独登山者が唐松山荘から下山中に写真現場付近で道から沢に滑落して動けなくなり、家族が帰宅しないので捜索願が出されて捜索活動に入りヘリコプターから発見された事件がありました。発見されるまで一週間ほど?チョコと沢水でしのいだそうですが、単独で利用者の少ないコースに加え道から沢までは藪が濃く発見してもらえなかったみたいです。

★道も大変なのですが!

今大変なのは「トルコ」 午後から銀行に行って少しだけ支援に行ってこようかと・・・。

山を安全に楽しんでもらう為には

2023-02-12

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チェンソーを操る大仏とサポートのトシ

登山道を整備すれば確実に事故は減るはずです。

しかし一口に登山道といっても、3,000mクラスの岩稜と低山帯の奥山・渓谷沿いの様なコースでは管理に掛かる労力は大きく違います。

例えば雪渓が途中に残るコースでは、雪渓が融けた場所から草・藪が生い茂りシーズン中何度も刈り込みに行かなければならないし、融ける時期がシーズン毎に天候や残雪量の違いで大きく違う事もあるし、残雪も残る時期が遅く成れば硬く氷化して危険度も違ってきたりなので、稜線とは管理の負担度合いが全然違ってくる事はこのページでお伝えしてきました。 

利用者が多いからといっても「過剰な整備」は自然景観を台無しにしてしまうし、そもそも「困難・アクシデントを自力で克服する」登山の魅力を奪ってしまう事になるはずです。

話しは逸れますが、バックカントリースキー・クライミング・沢登り・雪山登山等々も「山に入る」ということでは根っ子は同じと考えれば、事故を起こした?巻き込まれた?からといってタダタダ非難されるのは可哀そうな気もするのですが・・・。(立山室堂の様な観光客と共用部分は?どうするのかの別の課題も出て来ます)

入山者が多いコースではそれなりに整備も行き届いているのですが、人が少ないコースも登山道としてマップに記載されている以上は最低限の整備をしておかねばなりません。 

しかし地元黒部市を例にとると、利用者は格段に少ないのですが管轄するエリアは・広大・黒部峡谷の谷底まで高低差・標高が低く藪が濃い・大雨大雪の影響を受けやすい等々、管理には多くの手間と労力が掛かるのですが、予算は限られており遣り繰りしながらなんとか毎年管理して来ているのですが・・・「利用者も少なく、そもそも地元の人間がほとんど利用しないのに税金を注ぎ込んでも??」って意見も出て来ます。

しかし殉職者が出ても救助体制を充実させてゆかなければならないのと同じで、地元の責任?プライド?みたいなもので「地元民に関係ないから!利益が無いから!」みたいな理由で疎かにしてはヨロシクないのではと考えます。

※写真は祖母谷温泉奥での倒木処理ですが、標高が低いということは樹木が大きくなるし草藪も背丈ほどあるということは・・・大変なのですが、誰かがやらないと!ちゅーことで近場の者が出て作業しています。(この作業風景は、一昨年6月末にNHK山岳班が「登山道整備」に危機感を持って取材に来てくれた時のものです)

安全に楽しんでもらうために(情報編)

2023-02-11

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気楽に遊んで見えますが・・・最新の情報を仕入れましょう!

安全に山を楽しんでもらうために!

最新の現場からの情報提供として

「入山指導員制度」

「富山県山岳警備隊 ツイッター」

等が富山県では行われてます。

更に基本情報としては

「登山道のグレーディング」 

ネットからコース別にマップが閲覧できるので基本情報を知ることが出来ますが、残雪量等最新の情報は直前に山岳警備隊・コース上の山小屋等で確認してください。

これ以外にも、ガイドブック・ネットの紀行文・山小屋からの情報提供等々を利用して、事前にコース研究をして入山時期に合わせて防寒対策を追加する等の対応を考えた上で、自分の体力・経験・装備・メンバー等などを含めて計画を立てていただければ。(当たり前の事ばかりですが)

※写真は、春先に発見された巨大な「岩」ですが、この周囲は屑石が無くキレイなモノでしたが、斜面上部を調査しに入ったら比高190m上部で30mX15m範囲で地滑りが発生していて下まで落ちて来たのは写真の巨岩だけで、発生源から下部の斜面は巨木がなぎ倒され広範囲で斜面が抉られて大崩壊!大荒れ状態で「黒部は生きている」って実感させられました。(春先の融雪時期に地滑りが発生したみたいです。幸い設備には被害がありませんでしたが、考えて見れば山はそのままの形でズ~ッといる訳はないのですから)

次からは「本題」である登山道整備について書いてゆきます。

山に入るということは?

2023-02-10

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近い!

話しがズレて来てしまいました・・・。

救助隊は救助を要請されれば向かってゆくのが基本なのですが、当然のことですが二重遭難が危惧される危険なエリアに無理して入って行くべきではありません。

しかし訓練や講習会等を通じて、季節折々に変化する厳しい気象条件・積雪による地形の変化等「山を見る眼」(危険を察知する眼)を養いつつ、体力錬成しながら困難を突破する技術・気力を養われた上で「良い仕事」(救助)が出来る様になるはずだと。

警察の大幹部?みたいな話しになってしまいましたが、何が言いたいのかといえば山岳警備隊みたいに遭難現場に向かう人間だけでなく、一般登山者の方々にも「山に入るということは、どういうことなのか?」心構えを持たずに歩いていないでしょうか?一旦じっくり考えてもらえればと思うのですが。

登山道は高速道路ではないのですから四六時中パトロール出来るはずもなく、台風等で倒木が登山道を塞がれていれば乗り越えれば良いだけ! 夜中の落石でクサリ場やハシゴのアンカーが破損しているかも?って考えれば毎回利用する前に確かめてみるだけ!等々当たり前の事なのですが想定外の事態に遭遇するとどうして良いか分からなくなる方がおられます。

実際にあった話ですが、水平歩道で丸太桟道を通過中に滑って転落された事故が発生して同行者が小屋に来て「丸太桟道だから滑ったじゃないか!誰が管理しているんだ!」と苦情を言われたことがありますが、「丸太桟道を見れば滑る可能性が有ると分かるはずなので、慎重に歩いてもらえれば滑落することは無いのですから」と諭したことがあります。

そもそも「山に入る」ということをアヤフヤにしたまま利用していないでしょうか?

その上で、自然公園を保護しながら安全に利用してもらうにはどうしてゆけば良いのか?なのです。

しつこく続きます

簡単な話しではないのです

2023-02-07

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かなり視界がクリアになり着陸

今回連続して発生してしまったバックカントリースキーの雪崩事故についてネットの意見を見ていると

〇救助に当たる人の危険を考えて! 〇危険エリアに入っての事故については救助費用を全額請求するべき! 

等々の意見が出ています。

富山県警山岳警備隊は、剱岳で冬山訓練中に二名の殉職者を出してしまっており、更には警備隊OBの警察官が山菜取りで転落死?された方の御遺体の搬送中にもスノーブロックの崩壊により殉職者と重傷者を出してしまいました。(NHK「プロジェクトX」で紹介された方)

殉職された三名は私の住む黒部市出身者二名と隣町の朝日町出身で黒部市内の交番勤務を通じて地域に溶け込んでおられた方でした。(なんで黒部に縁の人間だけ?って・・・)

三名の方々とは近くに住んでいた事から仲良くしておりましたし、富山県内でも黒部周辺は「言葉訛り」があって、当然私も訛りがあって高齢の御両親親戚の方々と接し易いので御遺族対応にも関わってきたこともあって深い悲しみを間近で見て来ました。

また警察組織が受けたダメージについても、当時ペーペーだった私でも「大変なことになるモノや!」と痛切に感じたものです。

殉職事案が発生する度に「県外から遊びに来ている人間を助けるために、なんで富山の警察官が死なねばならないのか」みたいな意見が出て来てしまいます。

高齢の御遺族からも「なんで危険な剱岳へ訓練をしに行かねばならないの?」って泣きつかれたことがありましたが「遭難者と同じ条件で訓練しなければ、助けを求めている人を助けることが出来ないのです。助けを求めている人を救助するのが警備隊の仕事なので訓練しなければならないのです」

って説明したことがあります。

もう少し書きたいのですが・・これから富山市内で会合~飲み会なので明日は多分XXX

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