阿曽原温泉小屋

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かなり白くなりました。

2019-12-01

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左から 雪倉~鉢~白馬~旭 (30日昼前)

順調にというか、やっとというか・・・白くなって来て、先週末は立山室堂周辺で初滑りして来たとの阿曽原手伝い女子からの連絡がありました。

金曜日は、富山県民会館にて恒例の「登山指導員」の辞令交付式って言うか、堅苦しい事は抜きにしての意見交換会がメインの様な会議に出席して来ました。

富山県は「登山届出条例」が制定されていて、ザックリ言うと警察の警備隊員とは別に、県庁自然保護課から山岳ガイド・山小屋従業員・その他山岳関係者が委嘱を受けて年間を通じて登山者の指導に当たる制度と思って頂けたらと?一応、根拠を持って指導している形になっているんですよ、指導の仕方は優しかったり・大声だったりマチマチですけど・・・。

制度のメインは、12月1日~5月15日までの間「剱岳周辺」の規制地区に入山する為には登山届提出はもちろん冬山経験・装備・登山計画・登山コース等々を事前申告してもらって、審査に通らないパーティについては富山県が入山しない様に勧告する事に成っております。

強制力は有りませんが、冬の剣岳で池ノ谷・東大谷等の雪崩の巣へ突入されて事故に遭われても、危険過ぎて助けに行きようがありませんから「行かないで!」ってことです。(群馬県にも同様の条例が、長野県では登山届の提出を目途としたものが)

それでも冬期間に、登山者が谷に転・滑落して生存確認が取れた時には降下した事例は有ります。

ほとんど自殺行為に見えますけが、地形・斜面の積雪状態等を確認しての慎重な判断になりますけど・・・。(そのうち書きます)

ちなみに会合では、「下の廊下」の事故防止対策についての意見を言わせてもらってきました。

人間は、チッポケなのです。

2019-11-28

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本流下流側から、ヘリコプター機内より

同じく、消防防災ヘリコプターから捜索中の画像です。

「黒部別山谷」 を本流下流側から写されたもので、岩壁に登山道が一部分かるかとおもいますが、道の幅を見れば人間が峡谷内ではどれだけチッポケな存在なのか分かってもらえるかと。

この辺りは「下の廊下」でも切り立った両岸が迫っており、川床から登山道までの高低差も無いところです。

川幅が狭いと言う事は、水流が狭くなって水深が深くなり、更には急こう配区間なので水流も泡立っている部分が多く、捜索するにしても見え辛いのは分かってもらえるかと。

ならば高度を下げればと思われますが、狭い峡谷では限界があるのです。

先のページの様に本流まで転落していない場合は、黒部峡谷は標高が低いため植生が発達しており「枝・葉」が邪魔をしてしまいます。

以前書いた、整備前と言う事は。を参照してもらえれば解りますが、水没している人間などパッと見ただけでは解りませんから。

捜索場所が絞られているのであれば、「高度を下げて」「繰り返し」「角度を変えて」等の対応も出来るのでしょうが・・・。(リスクが大きくなりますし、実際に他県で救助活動中に墜落事故が起きてしまったことも)

ヘリコプターでの救助は、登山道から救助隊員が直接アプローチする事に比べれば楽チンに見えるかもしれませんが、捜索するにも収容するにも全然そんなことありませんから。

何度も言いますが、遭難事故さえ防げれば現場で危険な活動をすることも無いのですから、歩かれる方々におかれましては安全登山をお願いいたします。

※消防防災・警察ともどもヘリコプターのクルーの方々、今シーズンも本当にお疲れ様でした!

ギリギリ!

2019-11-27

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ハラハラの救助現場

写真は先日の会議のプレゼンで上映された、富山県消防防災ヘリコプター内から 転落事故現場 へのアプローチ中のスライド映像です。

機体が傾いているので分かり辛いですが、涸れ沢の上部にある水平道から転落した登山者の収容に向っている場面です。(本当は壁に向かって侵入している感じで怖いはず)

谷の中に入れば、狭く・岩壁と樹木が迫って来ますが、ある程度の高度を取ればヘリの機体の周りがクリアーになるのですが、隊員がウインチで真上から降下する目標がブレたり・隊員が振られるリスクが出てきます。

余りにも事故が多発して、このような危険な救助現場が増えてしまうと、それだけ救助隊員・ヘリコプターを危険な目に遭わせる事に成ります。

ほとんどが県外から来ている人達が事故を起こしているのに、危険と負担が増えるばかりとの声が地元から上がりかねません。

実際、埼玉県では防災ヘリが有料化となり、長野県でも以前検討されたことがあります。(この件については、別の機会に書ければと)

少し事情は違いますが、富山県では「冬の剱岳」への登山者を対象にした「富山県登山届出条例」が制定運用されております。

制定当時も、個人のスポーツ・挑戦に行政が口出ししても良いのか?みたいな大論争になっていたと聞いております。

救助に当って来た立場からすると、当条例は一定の抑止効果があると思います。

しかし、冬の剱岳と「下の廊下」「夏山の一般登山道の剱岳」等、整備された登山道を同じ扱いにするのは無理があると思うのですが・・・。

現場を知らない方・現場を歩いて感動する人を知らない方・地元負担を声に出す方々からすれば、

「危険な山に行く人間の気がしれない!」「入らせなければ良いのでは?」みたいな話になりかねません。

黒部を訪れたほとんどの方々は、圧倒的な迫力・パワーに感動して、加えて頑張ってその中に入って来ている自分にも感動しておられるはずです。

感動した回数が多いほど「充実した人生」なんだろうと考えますが、

我々は、その感動のサポートをして喜ぶ姿に直に接する事の出来る「山小屋の仕事」に遣り甲斐を感じています。

感動する姿をいっぱい見て来た我々は、感動を無事に家まで持ち帰ってもらえるには何をしてゆけばよいのか?考えながら仕事をしているつもりですが実際歩くのは皆さんです!!

遭難しようと思って遭難している人はいないのも十分承知しておりますが、山岳遭難事故は自分だけの問題ではないと言う事を心に刻んで、安全に登山を楽しんで頂けたらと切に願う次第です。

第61回富山・岐阜・長野三県山岳遭難防止対策連絡協議会

2019-11-23

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富山県警のプレゼン中

21日に長野県小谷村で開催された会議に出席してまいりました。(北アルプスを管轄する三県以外にも、両線が接する新潟県からもオブザーバーとして来ておられました。ちなみに新潟県警察山岳警備隊長は以前知人と阿曽原に遊びに来ておられた方でした)

どこも一緒で山岳遭難は高止まり傾向の中でも、黒部「下の廊下」の死亡事故5件は突出した数字で・・・周りからは色々と心配していただきました。

黒部で事故を減らすために、我々に出来ることは???

少しのミスが重大な結果に繋がってしまうことを、いろんなツールを使ってもっと広報してゆくことに尽きるのではないかと。

直会では、以前一緒に救助に出てもらったガイドさん・小屋建てや黒部での作業に応援しに来てくれるメンバー・馴染みの救助隊員や事務局等など、大酒を酌み交わして親交を深めて・・・。(私だけ翌朝六時前に富山に帰る用事があって、いい加減で勘弁してもらいましたが大仏は・・・?)

今日も夕方から懇談会に呼ばれていて、明日も早朝六時集合で村の同級生と「お伊勢参り」に向かうことに・・・肝臓を労りながらなんとかやっております。

今日は会議!

2019-11-19

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登山道のグレーディング!

今日は、県民会館で「登山道グレーディング」についての会合に。

富山県内には山が沢山ありますが、「登山」の対象になる山をピックアップして、残雪のない時期の登山道についての、危険度・疲労度等(難易度みたいな)ものを各登山道に設定するためのワーキング会議です。

これが簡単に行きません。国立公園・県立公園・地域の共同管理等々、登山道の管理主体も草刈りペースもバラバラ、国土地理院の地図には載っていない登山道が有ったり、残雪の状況で難易度が大きく変わってくるコースがあったりで・・・。

長野県はすでに運用されており、稜線で接する富山県も歩調を合わせてなのですが・・・。

当然、「下の廊下」は剱岳と同レベルの危険なコースに。

なかなか大変な作業ですが、事故防止に役立つのであれば頑張らないと!

深田久弥 山の文化館

2019-11-18

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正面門の奥には樹齢650年の銀杏の巨木が!

昨日、石川県加賀市大聖寺の「深田久弥 山の文化館」で講演を頼まれて、恥ずかしながら喋って参りました。

見た事のある顔・先週の講演会にも来ておられた方など、ちょっと遣り難かったのですけど、大勢のご来場ありがとうございました。(終わりの方はグダグダで・・・申し訳ありませんでした)

会場は「登録有形文化財」「近代化産業遺産」だとのこと、蔵を改造した資料館は大変立派な作りで興味深い資料も。

大銀杏の紅葉を眺めに来ておられた観光客の姿もあって。

なかなか趣のある素敵な所でした。

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