自分が入れるエリアなのか?
2019-10-22
昨日も、黒部別山谷出合付近で転落死亡事故が発生してしまいました。
去年もたて続けに2件の発生がありましたが、今年ほど死亡事故が多発する年は記憶にありません。
それぞれ発生理由はありますが、入山前にはもう一度断崖が続く危険で長いルートに入ると言う事を頭に叩き込んでから歩きに来て頂けたらと思います。
遭難には至ってはいませんが、昨晩も黒部ダムから来た登山者が
「ものすごく遅くて、足取りのおぼつか無い女性が向かっている」(早朝4時頃には黒部ダムを出ているはず)
「小学校の林間学校に使う様なリュックサック(横長のやつ)で、遅い女性が向かっている」
と口々に言われて・・・。
暗くなっても小屋に届かないので、詰めている山岳警備隊員が探しに向ったところ疲労困憊でほとんど動けなくなっている女性と合流。
サポートされながら20時半過ぎに小屋に到着、目は虚ろで真直ぐ立つ事すら出来ず、穿いていたジャージトレパンはズリ下がり、食堂に入った途端にへたり込んで・・・。
昨晩は22時頃から冷たい雨が本降りに、もしも警備隊員に見つけてもらえていなかったら、今朝までに低体温症~疲労凍死に至っていたであろうと思われます。(実は二週間ほど前にも、同様な短パン生脚の女性単独登山者が来られて・・・)
他にも、
○装備の点検・使い方の間違い。
・ハーネスでは無くザックのウエストベルトにスリングを付けて、そこからカラビナを手摺番線に通しているグループがいたり。(バランスを崩したら、ウエストベルトでは止まらないのでは?止ったとしても身体がどんな体制で停止するのか?最悪、ザックから抜け落ちてしまうのでは?)
・見た事も無い、骨董物のヘルメットで来ておられる方。
・相変わらず、靴底が剥がれる方がおられて到着が遅れる方も
○先日の黒部別山谷での渡渉失敗事故の判断ミス!(同日は、計画をキャンセルされた方々が大勢おられたのに突っ込んで来ての事故でした)
等々、心配な方々が歩いておられるのが実情です。
もう一つ特徴を上げれば、半分以上が単独登山者です。
自分の状態が客観的に見る事が出来なくなったり、転落しても気付いてもらえない(直後の救助で助かる事も)等のリスクがあります。
それと案外元気な方が遭難されています。 元気にスタスタと歩く余りに、不安定な場所に足を置いてバランスを崩してしまうのではないかと・・・。
小屋に来ていれば、注意喚起・不備の指摘・天候の相談等してあげられるのですが、遭難された方のほとんどが小屋に向っている最中に事故に遭っておられます。
入山前に、自分のレベルで歩けるルートなのか?もう一度考えて、十分な準備と心構えで来てください。(自分のレベルで歩けないなら、信頼できる仲間に同行してもらうか、お金を出してガイドを頼んで頂ければ)
厳しい事を言うようですが、誰でも簡単に歩けるルートではありませんから!
事故多発につき、取り急ぎ!
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