阿曽原温泉小屋

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黒部は生きています。(黒部ルート 一般開放に向けた安全対策)

2019-04-18

写真

不帰谷出合の土砂!

黒部で仕事をしていると、つくづく黒部は生きていると思い知らされます。

写真は、鐘釣駅下流の 不帰谷 出合の堆積土砂です。 左側の谷から、大量の土砂が継続して押し出されて黒部川本流を堰き止めています。(出会いから数十メートルの地点に、10mほどの落差の立派な滝が有ったのですが土砂で埋まってしまいました)

昭和の初頭には、あの辺りに「新鐘釣温泉」と言う宿が有ったのですが不帰谷の土石流で流出してしまったそうです。

土砂がダムの役割となって、上流の河原は河川勾配が緩くなってしまい本流から供給される土砂で、河床が上がり始めて小石と砂で川床が埋まって広くなっています。近い将来、河原の露天風呂が水没の危機に?と心配しています。更に欅平では、昭和の初めに2km余り下流の小屋平ダムが出来てから上流に土砂が堆積し始めて・・・河床は20m上がってしまったと言われています。

黒部川は本来であれば、巨岩が折り重なった間を急流が流れ下るはずです。

実際に、写真の河原も二十数年前までは川床がもっと低くて大きな岩が沢山見られました。その間を縫うように急流が流れ、水量の少ない時には温泉が湧いている場所からは湯気が立ち上がっていました。(湯元は完全に埋まってしまいました)

山の崩壊~土砂の流失~土砂の堆積~河川形状の変化と、まさしく生きているといっても良いのではないでしょうか。

同じ様な事を「関電黒部ルート」にも起こりはしないだろうかと心配してしまう私なのですが・・・。

チューリップテレビN6ニュース

で、推進会議の様子を流していました。映像を見て頂ければ解りますが、立山町長・江崎委員に拍手喝采です! 決まった事ですから進める事は仕方が有りませんが、過度の期待をしたり煽ったりするのはいかがなものかと考えます。

人間が黒部を利用し始めて、たかだか百年です。何千万年も掛けて黒部川と流域が出来上がって来ました。人間は、その水のパワーと激しい浸食と戦って来た百年ですが、もっと長いスパンで黒部は生きていると言う事を頭の片隅に置いておいて、是非とも見て考えて頂ければと!

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