「下の廊下」の登山道情報の告知について。
2019-09-28
登山道情報を、お知らせしているのは「事故防止の為」に他ならないのですが、「下の廊下」については、いろんな経緯があって今の様な形態になった事をお知らせしておいた方が良いかとおもいザックリと説明します。
そもそも「下の廊下」の整備は、黒部ダムを作る時に国と関西電力の間の取り決めで関西電力が費用を出して整備しております。(水平歩道は送電線鉄塔の管理も兼ねます)
10数年前までは、歩道整備が終了してから環境省・富山県・警察等関係機関が集まって開通検査をしてから一般開放の運びとなっていました。
ということは、整備が終了していても関係機関の日程調整で遅れたり、予定日が荒天で流れて次回の検査日まで開通検査が延期になったりして・・・、実際には整備が終わっていても歩けないという実情に合わない状態が続く事がありました。
当時は、当小屋はもちろん警察・関西電力・行政機関への通行状況の問い合わせ電話が殺到しており、一例ですが、平成15年の夏の終わりから秋の始まりには、小屋に架かる電話が朝から晩まで鳴り止まず(日中1時間で20件!) 他機関では検査が済んでいないため、公式には「まだ歩けません」との返答しか出来ず「詳しい事は阿曽原小屋へ」と電話を回されて・・・。
小屋としても、ちょくちょく現場確認したり時には自発的に整備をしたりして問い合わせに対応して来ましたが、
○そもそも、開通検査をみんな揃ってする意味が有るのか?
○行政機関が通行許可を登山者に出すような形は???
○安全を担保する検査では無いのに、検査後に開通させるのは?
等々の意見が各方面から出始めて、各機関が揃っての開通検査は実施されなくなり、関西電力と施工業者の完成検査のみとなったのでした。
その後、2008年より当小屋のホームページを開設し情報を流すようになり、更には「下の廊下・上半」の工事にも我々が本格的に携わる様になってより正確にお伝え出来る様になって来たのです。
こうして民間の山小屋が、情報を流せているのは「事故防止が第一」と考える関係機関との連携と信頼関係が出来上がっているからです。
何が言いたいのかというと、「お客さんに早く歩いてもらうための情報提供ではない!」ということなのです。
「早く通すのは、阿曽原の儲けの為」みたいなことを思われては、培ってきた信頼関係も崩れかねませんので、なおさら整備終了前の通行でこちらの情報による拡大解釈・早合点等による事故には神経質になってしまう私を御理解して頂けたらと思います。
※本日の作業状況!
白竜峡前後で作業に当ってくれていた様で、整備もかなり進んでいたとのことです。しかし、黒部別山谷下流部には手摺番線が張り込んでありません。 資材のストックが無くなって、次のヘリコプターまで上がらないとのことです。
その場所は通過に気を遣う場所ですので、バランスの悪い方・怖がりの方の通過は厳しいかと思います。
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