阿曽原温泉小屋 Web アルバム

☆なぜ、雲切新道なのか!
2006年に、仙人温泉~仙人谷ダムまでの区間を、チーム阿曽原が中心となって作りました。
これまでの谷沿いのルートは、
・雪渓の残り具合によるルート取りの難しさ
・雪渓のずり下がりによる路肩の侵食
・天気が良くても立ち込めるガス
・雨天時の増水等々
によって事故が多発しておりました。

・平成六年七月には、仙人温泉前後の雪渓で、十日間で七件発生
・平成八年十月初旬に、第二雪渓の崩落に巻き込まれる事故
・平成十年夏には、第二雪渓から左岸夏道への取り付き地点での落石事故
・平成十九年の夏には、新道があるのに、旧道に入り込んだ登山者が谷筋で右下腿切断事故
等等、以上はほんの一部です。
そのたびに、阿曽原から救助に出なければなりませんでした。(山と渓谷社刊「小屋番三六五日」に一部書いてあります)

更に、旧道の谷筋(第二雪渓)から登り返したトラバース斜面が崩壊し、高巻き道を作ったものの崩壊が進行してきて、なんとかルートを付け替えられないか更に高い高度(1750mあたり)まで坊主山の尾根と斜面を調査するものの急斜面と巨岩帯に阻まれ断念。
そうこうする内に、もともと無理やり作った旧道の高巻き道(苦情の多さは雲切新道よりも多かった!)の整備も限界に近づいてきました。(毎年雪崩で路肩がなでられたり、崩壊面の拡大や、上部斜面の崩壊による落石等)

そこで山域一帯を、樹木や下草が生い茂る前の残雪期・猛烈な藪との格闘した夏時期・更には見通しは利くが仙人谷が凍る冬枯れ時期等々、足かけ三年間調査して現在のルートになんとか道を切り開きました。

新道を作るにあたっては、国立公園の特別保護区に役所(環境省・森林管理所・県等)がハンコを押して、正式に登山道が作られたのは初めてだとかで、各役所も見えないところで頑張ってくれましたし、関西電力さんも仙人ダムの管理所の屋上を通路として利用させてくださいました。(施設の管理上問題があるといわれればそれまでですが、ダメもとでお願いしました)

道が悪いのは事実です。夏場の、仙人池~仙人温泉間に残る雪渓の悪さもあるし、新道部分のコースタイムが長くなったのと、後半にきつい下りがこれでもかと続くのも敬遠される理由かもしれません。
しかし、毎年通ってくるガイドの中には、条件の悪い時の旧道よりもよっぽど安心との評価も頂いておりますし、仙人池を朝出て、昼頃には阿曽原に届いておられる登山者も沢山おられます。

我々はあの時、仙人温泉から下部のルートについては、やれる事はやり切った後で、あの尾根にしか付けられないと判断しました。
登山者から、敬遠されても訪れる人もおられるので、そのうち踏み固まってゆけば歩きやすくなるのではないかと考えます。(知らず知らずに通ってくれる登山者皆さんが、ある意味では道を作っていってくれるのです)
小屋としても、少しでも歩きやすくなるようにと、根っこ切り等はしてゆかねばと考えております。

現状だけ見て、アーダ・コーダと言わずに、黒部という場所と出来た経緯を踏まえ、もう少し様子を見てやってください。

真砂沢~阿曽原まで、夏場の一日での計画は健脚向きとなりました!

また、入山してから2・3日目に利用される方がほとんどです。
地図を良く理解し、自分の実力を勘案して、コースタイムを単純に足し算せずに、高度差や疲労の蓄積等計算に入れて、天下の、黒部峡谷の谷底へ下るという事を念頭において余裕の有る計画を立ててください。

ズタズタの仙人谷と旧道の崩壊面

ズタズタの仙人谷と旧道の崩壊面

旧道の、阿曽原側の高巻きポイント付近からの画像です。
右奥の崩壊地の中段に旧道がありました。
崩壊後、ここのすぐ上部にある、第二雪渓の左岸斜面から高巻く道を作りましたが・・・。
現場奥の仙人谷本谷の、雪渓の状態が悪くズタズタです。
右手前急斜面に、不安定に止まっている巨大な雪のブロック。
旧道の第二雪渓も、毎年このようにななってしまい、恐る恐る迂回したり、夏道に戻るのに、草付き斜面を登ったりでした。
張り付いて誘導してあげるにしても、それなりに判断の出来る人間がつかねばなりません。   

仙人ダム湖より、雲切谷の滝を望む。

仙人ダム湖より、雲切谷の滝を望む。

大規模な泡雪崩が出た年は、あの谷からダムの下流まで爆風が届いたそうです。

仙人谷の橋(下部)

仙人谷の橋(下部)

梅雨明けに設置して、十月下旬に撤去します。
大雨の時には冠水することもあります。
増水時注意!
仙人温泉小屋の下にも、雪渓が溶けると橋が架かります。

急登です!(鼻血坂付近)

急登です!(鼻血坂付近)

雲切新道の下部は、きつい傾斜です。
しかし、ブナの林があることから分かるように、割と安定しています。
旧道の阿曽原峠前後のように、巨岩が積み重なって出来ている山は不安定です。
(旧道沿いには、風穴が二箇所はありました)
中央下に仙人ダムの施設、奥にかすかに五竜岳。

1600メートル付近

1600メートル付近

猛烈な藪尾根を切り開きました。

仙人温泉小屋さん

仙人温泉小屋さん

この、撮影ポイントから仙人温泉の源泉までのルートは、今では十分余りで歩けますが、急斜面で崩壊した沢もあり、また藪も濃いトラバースで、どの高さに道を作るか、調査段階では一番苦労した区間でした。
左の平地が、ヘリポート。

仙人温泉上流架橋部

仙人温泉上流架橋部

正面の沢が本谷。左の湯煙が源泉。
道を作っている時、急遽飛んだヘリの荷受に、若い衆が阿曽原から旧道を使ってですが、一時間足らずで駆け上がってくれました。
いいメンバーが揃っていました!

仙人峠からのヒュッテ

仙人峠からのヒュッテ

晩秋です。

黒部別山とハシゴ谷

黒部別山とハシゴ谷

仙人峠から!

とりゃぁ! 水平道の権現峠付近

とりゃぁ! 水平道の権現峠付近

道に崩れてきた岩をのけます。

仙人谷上部

仙人谷上部

仙人峠~温泉間の中間地点は、谷の横断があります。
残雪状況は、最寄りの小屋で最新のものを尋ねて下さい。

仙人谷 (仙人温泉上部二又)

仙人谷 (仙人温泉上部二又)

夏はルート上に雪渓が残ります。
雪渓の状態によっては、迂回していただくこともあります。
雪渓の溶け方が各年違うこともあり、雪の上にはペイント等目印はあえて付けません。
奥には、唐松から白馬が!

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