阿曽原温泉小屋

良い子は真似しないで!

2018-09-07

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もう秋です! 小屋の周りではススキの穂が、夜空にはオリオン座が見え始めました。

今回の雨は、寒冷前線の通過によるものです。 おかげで、下の廊下の作業は中断したまま・・・仕方ないですね。

時期は違いますが前線話を。 ゴールデンウイークの5月1日、剣御前小屋の臨時派出所勤務の交代で室堂から向かう日の事です、その日は寒冷前線の通過予報が出ていて、室堂到着時点でヤバイ天気だったのですが、剣御前の交代勤務員はすでに室堂に向っているとのこと。

我々が行かねば前進基地が手薄になるし、なにより今朝水揚げされた「ホタルイカ」10Kg足らず(氷ごと)を託っていたもので、どうしても食べさせてやりたくて「一時間半頑張ろう」我々3名は速攻出発したのでした。 登り出すと、徐々に視界も利かず風雪も強く成って来ましたが「通い慣れたルート」です、ガスの切れ間に時折見える「這松」の茂みの形・斜面の勾配等で「ルートは間違っていない」と確信しながら増々強くなる吹雪の中を突き進んで行ったのです。

そろそろ室堂乗越と御前を結ぶ稜線のはず、御前まで20分位か!と思った矢先「ゴーッ」突風に3人とも押し戻されて後ずさりして、クルリと身体を回転させて雪面に這い蹲って吹き飛ばされるのをこらえたのでした。

猛吹雪のホワイトアウトの中で、全く方向感覚を失ってしまったのです! オモチャみたいな方位磁石によれば、たぶん雷鳥沢側に下った斜面なのだろうけど・・・、下手に下って谷筋に入れば雪崩の危険が! 室堂乗越側には下っていないだろうか? 立山川側の斜面に迷い込んだら大変やぞ!

取りあえず様子見、その場で雪面に窪みを作って座って天候が回復するのを待つことに。 このまま明日まで帰れなかったら「警備隊員還らず!」とか新聞に書かれて、スゲー叱られるんだろうなー・・等と、要らぬことを思いながら数時間、視界は利かないものの風の音が弱くなっているのに気付きました。やがて、ガスが下の方から薄すれて来て山小屋の明かりが見え始めたのです。(オモチャは当たっていました)

御前の稜線側はまだ風が強そうだし「降りよう!」薄暮の中を駆け下りて、雷鳥沢ヒュッテに転がり込んだのです。 馴染みの御主人には、「誰が来たのか分からなかった」と言われるほど三人とも眉毛や目出帽からツララが垂れ下がっていたそうです。 その晩は、そのまま泊めてもらうことに、かくして朝獲れ「ホタルイカ」は、雷鳥沢ヒュッテのお客様の食卓に!

翌朝、剣御前から室堂に向かったパーティが行方不明との通報があり、そうこうするうちに間違って立山川を下って馬場島に着いたとの連絡が入り一件落着。 ホワイトアウトの中を、強引に下山してルートを見失ったとのことでした。 

一歩間違えれば我々もどうなっていたやら・・・!   

※教訓!

「通い慣れたルート」でも、強引な行動は事故に直結します。いくら「ホタルイカ」を食べさせたくても自重しましょう!

私は、痛い目に沢山遭って来ました。これからも、痛い・怖い話しを載せますが、良い子は、真似しないでねっ!

立山では、5月でも一旦荒れだすと真冬に逆戻りです! 厳冬期のアルペンルートに、人間を(ましてや観光客は)入れるべきではありません。 

今年4月15日のオープニングは、悪天候(暴風雨)により延期! 昨年11月下旬も、降雪で室堂までバスは乗り入れられませんでした!(この時期チョコチョコ止まります) この事実を以てしても、冬期間の営業を検討する意味が分かりません!

除雪オペレーター・交通機関の運転手・施設管理者・ガイド等、現場で働く者は皆分かっているはずですが、表立って声を出していない?出せない?諦めている?様な気がします。 

富山を「海のあるスイス」ってアピールしたいみたいですが、富山は富山!って胸張ればいいのでは? 

それとも、何か別の意図が有るのでしょうか???

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