阿曽原温泉小屋

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肩ひじ張らず?

2020-12-12

写真

鐘釣上流には、巨岩が積み重なっているのです。

昨日は、鐘釣駅から少し奥での作業でした。

鐘釣~小屋平の間は、トロッコ列車の沿線で「黒部」の本来の姿を残しているエリアだと思っています。

昭和二年に「冠松次郎」が黒部川を遡行した 記録映画「黒部峡谷探検」 が残されていて、何度か上映会の解説を引き受けたことがあるのですが、開発される前の黒部峡谷は険しく切り立った峡谷の底には巨岩が折り重なり、その間を大量の水が勢いよく流れる様は圧倒的なパワーで・・・恐れを感じてしまうほどの映像です。

電源開発・砂防事業・治山事業等の開発が進み、水量が減り巨岩の間を流れ下る激流は見られなくなり、河川勾配が緩くなって砂利や砂が堆積するようになって巨岩が埋もれてしまって河原?になってしまった場所が多くなって、本来の姿ではない場所が増えてしまいました。

しかし、そのおかげで暴れ川だった黒部川の氾濫は押さえられて、人間が生活するエリアである下流域では農業がまともに出来る様になり工場を操業することが出来る様になって安心して生活できるようになったのも事実です。

「保全」と「利用」! 元々大きな問題なのですが、黒部の様に激しく険しいエリアでは短い時間スケールで大きな変化が出てしまいます。(黒部川が出来て、数千万年?人間が開発し始めてたったの百年余り)

でも人間は、困難に立ち向かって来たからこその「今」があるはずで、なんでもかんでも「保護」「保全」して行けばいいってものではないし、今まで人間はそうして来たから今の繁栄?があるはず!

山小屋経営しながら、開発・維持管理の現場作業に当たりながら「黒部」に接して、何が大切で?何をしてゆかねばならないのか? 大きな話になるけど「黒部」を見て考えて発信してゆくのも、務め?定め?義務?運命?宿命???・・・まとまんない~っ!(そんなに肩ひじ張らずに・・これからも見てゆきまーす)

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