阿曽原温泉小屋

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噓やろⅣ(雪洞六泊目)

2021-03-26

写真

北陸自動車道 立山インター近くより

翌日は、引き続き悪天候でヘリコプターでの人員輸送も見合わせとなり頂上経由で向かうにも新雪が積もり「池ノ谷ガリー」の急斜面を登り返すには余りにも雪崩のリスクが大きすぎるので、本部指示で我々は「三の窓」で待機となる。

動きが取れず歯がゆい思いをしていると、断片的に聞こえて来る無線交信で事故を知った山岳ガイド・山小屋関係者・民間救助隊員が続々とサポートに馬場島に来てくれて行動して頂いている様でした。

午後には民間の大型ヘリコプター「スパーピューマ」が支援に来て捜索に当たってくれていますがガスが湧いていて「池ノ谷」の中に侵入できずにいるようでした。

夕方になって「三ノ窓」の風は強いもののガスが薄くなって上空は抜けて来たので、我々を捜索ポイントに配置転換するために「スパーピューマ」が上空まで飛んで来てくれました。

しかしコルへ出ると「池ノ谷左俣」から吹き上げる風は増々強くなり、重装備で重くなっているにもかかわらず風で飛ばされるほどで、コルで頭を風上にして片足は風下に伸ばして屈んで踏ん張らないとその場に留まっていられません。

爆音が聞こえて来て、はるか上空に来てホバーリングしていますがそれ以上高度を下げて来ません。(さすがスーパーピューマ!我々が立てない風の中でもホバーリング出来るとは) 

ホイストが装備されている巨大でパワーのある機体でしたが、地上までがあまりに長い距離で風に煽られてホイストのワイヤーを降ろすことが出来ないのでしょう。

そもそも危険な急斜面が両サイドにあって、我々自体が強風で立つことが出来ないのに、ワイヤーの先に付けられたフックが風に煽られて何処に行くか分からないのに・・・まして10人の隊員が居るのですから一人二人は吊り上げられても全員はどう見ても無理に思えました。

結局、我々の吊り上げは諦めて我々はもう一晩雪洞ビバークすることになったのでした。

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