阿曽原温泉小屋

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嘘やろⅡ(発生!)

2021-03-23

写真

快晴の夜明け前の稜線には雪煙が(馬場島より)

岩壁バンドに張り付いた雪のトレースを「三ノ窓」に向かうが、バンド幅は狭いし雪に付けられたトレースは崩れそうに不安定な場所もあります。登りのラストは、ザイルに頼ってバランスをとる事も出来ますが、下る場合はランニングビレイ(中間支点)が自分より低い場所にあるので頼ることは出来ません。

幸い?ガスが湧いて断崖の池ノ谷側の視界が効かず高度感は感じないけど、現場がどれだけ危険な場所だか知っているし、なにより先輩の事故の情報が入ったばかりで平常心で居られるはずがありません。

「三ノ窓」に着くと先行していた小窓隊と合流しますが、それぞれ厳しいコースを頑張って登って何日振りかで顔を合わせた仲間ですが皆言葉少なく・・・。

今後の行動をどうするのか?班長が馬場島の訓練本部と無線交信しますが、訓練本部もそれどころではないのでしょう「その場で待機せよ」との指示が出されたまま対応に追われているようです。

まだ昼前だし行動できない天候でもない、このまま剣岳頂上経由で「カニのハサミ」まで行けばよいのか? 二班合流して人数が増えて行動が遅くなるはずだし、これだけのメンバーがビバーク出来る場所を確保できるだろうか? 広さが確保できる 剱岳頂上 で雪洞を掘った経験があるが、そこを捜索の前線基地にして捜索にあたる?訓練後半で食料補給は? そもそも経験の浅い隊員も含まれているし動揺している我々が普通に登れるのか?

なにより鍛冶さんは大丈夫なのか? 同行していた二名の隊員は、どうしているのだろう?無理して池ノ谷右股に突っ込んでいないだろうか? (昭和54年の正月登山で、「カニのハサミ」の隣にある「シシ頭」で池ノ谷右股へ転落した2名がしばらく生存していた事が解っている)

次々と思いや不安が湧いてくるが・・・どうすることも出来ない。

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